森の奪還

「とにかく数を仕留めるしかないか」


 僕は深く溜息を吐く。

 もう一度、あの気持ち悪い群れに突っ込まないといけないのだ。

 中には先程のバジリスクや同じくS級の……なんか毒蜘蛛がいた。


 数増えすぎだろ。

 異常だった。

 S級モンスターは獰猛で、他のSやA級は食料だと思っている。

 なのに、一直線にこちらに来ている。

 

「……テイマーか」


 テイマーとは動物やモンスターを使役して戦う者。 

 だけど、彼らはせいぜいA級モンスターが限界のはず。

 それにこの毒に複数体だ、術者の身体が持たない。

 

 だけど、現に持っているのはどういうことだ?

 

「おい、男以外に誰かいたか?」

「いえ、誰もいませんでした」


 ピノは、恐る恐る僕に言う。

 もし、もしも僕の予想が正しければ……。

 頭上を見渡すと、何か違和感があった。

 

「ミリア!!」

 

 そう言って彼女が剣に変わると、僕は違和感の方へ飛ぶ。

 そして、ポケットから魔力伝導石を取り出し、それを剣に形態変化させ違和感の方へ魔力を込めて剣を突き刺す。


 すると、突き刺した方から血が流れる。


「覚悟はいいか」


 そう言うと、横から魔法が飛んでくる。

 迷彩ミラーズか。

 中級魔法で反対側の鏡を映し出す魔法だ。

 テイマーはもう魔法を使えないだろう。


 そう言って魔法の放ってきた方を見る。

 それは先程の魔法とは違い、違和感がまるでない。

 

「だったらこれならどうだ?」


 魔力伝導石を解析して素材を投影し、無理やり生成する。

 投影はいわば偽物……素材を本物と仮定して魔力伝導石を生成した。

 

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