戦闘

「ルナリィー、背中に乗れ」


 そう言うと、彼女は不思議そうな顔をする。

 なんか、赤子の様だった。


 腕を肩の方に送ると、彼女は僕の首に腕を回した。


「よし、いい子だ」


 そう言うと、僕はバジリスクに向き直る。

 

「あ~う~」


 そう言うと、身体から力があふれてくる。 

 これが、彼女の魔力……。

 身体強化系の魔法の様だった。


「これならすぐに片付きそうだ」


 そう言って僕は魔物を見つめる。

 僕は力を込めて駆けだす。

 そしてバジリスクに攻撃する。

 まるで紙でも切り裂くようにバジリスクを切り裂く。

 こんな感覚は初めてだ。

 

 そのまま普段通りに切り裂くと、バジリスクは速度に反応できず切り刻まれる。

 そして、バジリスクは原型をとどめずに複数のサイコロになった。


「これなら!!」


 そして次々魔物に突っ込み最短で切り裂いていく。

 時間にして数分。

 本来なら五分ほどかかるが、明らかにそれより早く片がついた。


「全員、あの城に向かうぞ」


 そう言うと、セリスとレインは走り出した。

 そのまま結界に中に入ると、身体が楽になる。

 魔力が回復していくような感じだ。


 中に入ると、精霊達が複数いた。

 その中でも、見知った顔が目に入る。


「久しぶりだな、ピノ」

「あぁ、久しぶりだな、勇者さ……いや、もう勇者じゃなかったな、レウル様」

「様はよしてくれ、レウルでいい……それで、どうしてこうなった?」


 そう言うと、彼女は暗い表情で話し始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る