最高の攻撃

 ノウェムが触れると、輝いていた光が収束していく。


「さぁ、放って……」


 まるで凝縮された高濃度の魔法のようだ。

 

「三……二……一……」

 

 向こうの魔法が展開されていく。

 そうして、魔法が放たれる。


「零」


 その合図と共に剣を振り下ろす。

 その攻撃は、ただの斬撃だった。

 向こうの攻撃と比べれば、圧倒的に不足に見えるだろう……。


 魔法がぶつかり合う。

 しかし、軋み合う事もなく、両断にしながら斬撃は進み続ける。


 そして、そのまま魔法が爆炎陣に突っ込み、魔法陣ごと一刀両断して空中に消える。

 

「凄まじい力だった」

「でしょ~」


 本来なら、爆炎陣と同じ規模の攻撃のはずなのに、ただの斬撃で大規模魔法を切り裂いたのだ。

 ついでに王都の紋章のある部分を真っ二つにしたことに、なんだかスカッとする。

 ノウェムはエリンを見る。

 

「よかった、無事で」


 安堵した表情を浮かべるノウェム。

 いつになく、眠そうのない感じだった。

 

「もしかして……」

「一時的に魔王城の防壁を解除したんだよ~」


 それはつまり、今は魔王城は殻のない無防備だ。


「一時撤退する……ノウェム、門を開いてくれ」

「了解~」

 

 そう言うと、媒介の場所関係なく門を開く。


「媒介なしとか、化け物になったな~」

「常に使い続けると、魔力が上がるって研究は本当だったんだね~」


 魔力を常に枯渇している状態だったのか、魔力の容量が凄まじいことになっているようだ。


「ほら、行くよ~」


 僕らはそのまま門に飛び込み、魔王場へ一度撤退するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る