追撃

 案の定、休憩する間もなく次々と敵が迫ってきた。


「おい、どんどん増えてるぞ!!」

「やはり、ゆっくりできそうにないな」


 ここは一度引くべきか……。


「撤退する、退路を開きつつエリンを抱えながら逃げるぞ」


 そう言ってミリアが彼女を抱えて、撤退する。

 僕が後ろの奴を足止めし、その間にラナークが剣に姿を変え、セリスが振るう。

 

「死にたくなければそこをどいてください!!」


 そう言って彼女は剣に魔力を込める。

 ラナークも自身の魔力を解放し、凝縮させる。

 その間の攻撃はレティーが凌いでいる。


破漸はざん


 全力で振り切ると、しばらくして巨大な斬撃波が一直線に向かう。

 堕羽は複数で魔法防御に徹しようとするが、まるで紙きれのように斬撃が堕羽を覆い消え去っていく。

 斬撃が通り過ぎて行った後は何も残らない。

 ただ、そこには通りやすい通路になっていた。

 

「行きましょう!!」


 急いで走り出した。


「うあぁぁぁっぁぁっぁぁ!!」 


 エリンが発狂しだした。

 洗脳の解除が半端なため、意識と洗脳の間でもがき苦しんでいるのだろう。


「おっと、暴れないでよ」


 頭が直接殴られるような痛みだ、相当な痛みだろう。


「すまん、ミューリ……頼めるか」

「おっけ~」


 そう言うと、ミューリがエリンに触れる。


「眠れ」


 その瞬間、彼女の魔力かはわからないが帯が彼女の頭を覆う。

 彼女は帯が回ると、発狂するのをやめゆっくりと眠るように目を閉じた。


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