最善の選択

 撤退しようとするが、次々と魔法を放ち追ってくる。

 

 追手が多すぎる……。

 

 数十以上の堕羽がおってきている。

 そのまま駆け抜けると、途中で堕羽は足を止めて追ってくるのをやめる。

 怪しさ満載だったが、今のうちに安全な場所へ彼女を運ぶのが先決だ。


 近くの転移拠点の村に着くと、違和感が全身を包む。

 

「セリス、王都の方を見てくれるか?」

「了解しました」


 そう言ってセリスはじっと王都の方を見つめると、急に焦り出した。


「不味いです、大規模魔法の詠唱をしてます」 


 大規模魔法……一人ではできない魔法を複数で行い、魔法陣を駆使して扱う魔法だ。


「属性からして火属性、恐らく 爆炎陣エクスプロージョンだと思います」


 その魔法はこの距離なら村ごと焼き払うだろう。

 関係のない人を巻き込むなんて、どこまでこの国は……。


「こうなったら、ラナークとベル……頼めるか?」


 二人の融合魔法ならあるいはどうにかなるかもしれない。


「ですが……」

「あぁ、わかってる」


 融合魔法は二つの魔法を波長を合わせて使う高度な魔法だ。

 成功した事例は数少ない。

 少しでも間違えれば、魔法は暴走し威力が通常の半分ほどに減少する。

 

 諸刃の剣だ。

 

 僕もノウェムと一度だけ行い、成功したきりだった。


「やるぞ、爆炎陣を押し返す」


 そう言って魔法陣を地面に刻んだ。

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