支部長
「おう、攫ってきたか?」
「へい、この通りに!!」
ラナークとレティシアは縛られた状態でこの支部の頭らしき人物の前に連れて行かれる。
僕らは魔法迷彩服で、隠れる。
セリスは二人の監視を、僕は彼を観察する。
「お~、これは中々将来有望そうじゃないか」
嬉しそうな顔を浮かべる。
「こいつは味見してから、あの方に売るとしよう」
レティーの方を見て下卑た目を浮かべながら、なめるように観察している。
レティーは、その視線に涙を浮かべる。
すまん、もう少し我慢していてくれ。
そう思いながら、ギリギリまで情報を引き出そうとする。
「頭、この子はどうします?」
「あ~、お前達の好きにするか、牢屋に入れとけ」
引き出せないか。
「レティー、暴れていいぞ」
その瞬間、レティーは魔力を解放する。
縛られた縄が生き物のように動き、彼女の身体から離れると彼女は一本の小さな枝を取り出す。
そして彼女は男に向かって手を向けると、気が成長して蛇のように絡みつき一瞬で顔以外全てを覆って男を中心に一本の木が出来る。
「な、なにを!? お、おま……!!」
仲間を呼ぶ前に、口元も覆われる。
「これで、いい?」
「最高だ、偉いぞ」
「えへへ、頑張った」
ぐっと拳を握りながら僕を見てくるレティーを撫でた。
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