精霊の森最終日
そうしてしばらくして僕が滞在できる最終日になった。
馬車には既に精霊狩りの盗賊一味を乗せて待機していた。
「なぁ、俺達は逃げねぇよ」
「そうか」
僕は縄を解く。
その行為に男は驚きを隠せない顔になる。
「なんか、お前さん変わってるな」
「君がそれを言う?」
「いやだって……」
言いたいことは解る。
普通、自分に刃を向けた人間の縄を解くなど殺してくれと言っているようなものだ。
「君達がするっていうんなら、また縛るけど?」
「いや、逃げたりはしねえ……」
「なら信じるよ」
まぁ、逃げたり襲ってきた所でこの五人ならすぐに鎮圧できるから問題ない。
「じゃあ、俺達交代で馬車運転させてもらうぜ……な、皆」
「「おう」」
「あぁ」
「えぇ」
「別にそこまでしなくていいよ」
「いいや、させてくれ……どうせ戻れば殺されるか、最悪王国で死刑さ……最後くらい、誰かの役に立たせてくれよ」
最後か……僕が報告すれば、彼らは死刑だろう。
それに道中、こいつらの追手が殺しに来るかもしれない。
こいつらの縄を解いたのはこれが理由でもある。
動けなければ、それだけ殺され奴らの居場所を口封じにする可能性があるからだ。
こういう時の追手は大抵自害するほど忠誠心の強い奴が多いので彼らを失うのは得策ではない。
「わかった、だが僕の指示には従ってもらうぞ」
「了解した」
「それじゃあ、精霊王の元へ行く……じゃあお任せします」
近くにいた精霊の人たちにお願いをして僕は精霊王の元へ向かった。
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