ポンコツ微精霊

「投影開始……既存物質解析完了……同一個体生成」


 そう言うと、全く同じ地図が生成される。

 元の方の地図を彼女に渡す。


「これで迷うことはないな」

「そ、そんなことないです! 全然、そんなことありませんよ~! 全然迷ってなんてないです!」


 涙声で強がる微精霊。

 完全に迷ってたよな。


「わかったわかった、ほれ行かなきゃいかないんだろ?」

「あ、そうだった! 行かないと!」


 地図を受け取りながら、その場に駆け出す。

 少し心配だな……。

 彼女はなんだか放っておけない感じがした。


「はぁ、なんだかな~」


 溜息を吐きながら彼女のあとをついていく。

 地図を持って尚、彼女は迷っていた。


「あれ~、ここじゃない?」


 地図を見ながらその場であたふたしている。


「どこ行きたいんだ?」

「またついてきたんですか?」

「心配でな、それで? どこ行きたい?」

「あ、えっとここです……だけど、貴方がわかるわけ……」


 足元に魔力を集中させる。

 地形把握……完了……。

 魔力でこのあたりの地形の把握をする。


「こっちだ」

「え~、私でも苦戦するのに貴方如きがわかるわけ……」

「この先に三人の魔力があるから、行くぞ」


 彼女の嫌味を無視して言いながら歩くと、彼女は不満そうについてきた。

 


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