雑談
「どうして三人だってわかったの?」
「魔法でここら一帯に魔力の波を流して数を把握したんだ」
「魔力の波?」
「つまりこうすると、音が消えるだろ? それは空気が振動しているから聞こえるからだ、この魔法はそれの応用で魔力の波を放って当たった相手を見つける感じなんだ」
指を彼女の前で鳴らし、わかりやすく説明する。
「わかりやすいです」
「そりゃどうも」
魔法についてはノウェムと勉強したのでそれなりに使うこともできる。
まぁ、彼女に比べれば僕なんて可愛いものだ。
「勇者様は魔王を倒したらどうするのです?
「どうした急に」
「いえ、勇者というのはこの世界の守護者……破壊する魔王を倒した後はどうするのかなっと……」
世界を魔王から救った後か……。
考えたこともなかった。
今までの勇者でそれを出来たものはいないし、勇者になれば地位と名誉も手に入るが、その代わり一部では死神の足枷とまで言われていた。
勇者は必ず死ぬ。
寿命ではなく、戦い苦しみながら死ぬ。
戦争とはそういう物だ。
戦う者の全てが何かしら苦しむ。
だからそんな世界についてなど考えたことはなかった。
「何かないのですか?」
両親や ノウェムとエレナ《彼女たち》を失った僕には何も今はなくなってしまった。
「う~ん、一人で静かに暮らしたいかな」
僕は空を見ながらそう言った。
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