精霊剣編

精霊との出会い

 エレナとノウェムが居なくなって数か月。

 王国の調査の為に精霊の宿る森と呼ばれる場所に訪れた時の事。

 魔王軍がいるとの噂で訪れただけだ。

 ノウェムが死んだと聞いて、真相を確かめるべく魔王軍を探しているのだが……。


「君、何しに来たのですか?」


 突然木の陰から少女が顔を出す。

 こんな場所に少女がいるのは不思議だったが、雰囲気から人間ではないとわかった。


「すまない、ここに魔王が来てるそうなんだ……君は精霊か?」

「わ、私は微精霊なのです……」


 微精霊……精霊として形を成す前の姿、その姿は曖昧で名前を持つことで形を成すそうだ。

 精霊王に名前を与えられるか、もしくは信頼した者と契約することで完全な形を成すといわれている。


「精霊に話を聞きたいのだが、案内してもらえるか?」

「ちょっと待ってください」


 微精霊の少女は目を閉じる。

 目を開けると、僕の方をじっと見る。


「貴方のお名前はと……」

「あぁ、この聖剣の勇者だと伝えてくれ……それで通るはずだ」


 聖剣の所持者は顔パスだ、この聖剣を見せるだけで勇者の証として名乗らなくとも通じるのだ。


「勇者レウル様、どうぞこちらへ」


 再び目を開けた微精霊は許可が出たのか、僕を精霊王がいる場所へ案内してくれた。 

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