痛い痛い痛い!

 笑顔のエレナが僕の腕を折れそうなほどの痛みが走る。


「エレナ、痛い……」

「あ、うんごめんね~」

 

 悲痛な声で言うと、エレナは僕から離れて再び剣を引き抜く。

 結論としいてまた振り出しに戻ってしまった。


「ふふふっ……」


 ノウェムはいつの間にか腕から背中越しに絡みつく。

 僕を盾にエレナを見ている。


「どいてレウル……」 


 この状況をどうしろと……。

 どこうにも、彼女が背中に絡みついているので逃げようがない。

 その間にも先程の形相でゆっくりと近づいてくる。


「落ち着けエレナ!!」

「そうだそうだ~、自分の魅力がないからって暴力はいけないんだぞ~」

「エレナは十分魅力的だと思うぞ」


 ノウェムの言葉に間髪入れずにいう。

 正直、エレナは十分魅力的だと思う。

 僕は彼女が努力家なのを知っている。

 彼女だって今は剣で最強とうたわれているが、昔は泣き虫で剣だって僕達と大して変わらなかった。

 だけど、彼女は努力した。

 努力して努力して血の滲むような努力の上で今の彼女がある。

 まぁ、強くなる理由が 「レウルやノウェムを守るため」っていうのが少し重いが、それだけの努力を出来るエレナは十分魅力的だし、尊敬する。

 僕の言葉にエレナはピタリと歩みを止め、顔色を変えずに僕の方を見る。


「………本当?」

「そりゃそうだろ」

「………具体的にどこが?」

「具体的にって言わなきゃ駄目か?」


 エレナがこくりと頷くと、ノウェムが後ろの方で、


「え~、もしかして~小さい派ですか~?」


 もう黙ってくれませんかねノウェムさん。

 僕がたしなめる前にエレナが睨むと引っ込む。

 隠れるなら言うなよ。






 

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