何気ない会話

「何もいないじゃない!」


 振り返り、何も確認すると僕に向かって睨みながら言う。


「あはは、すまんすまん」

「全く心臓に悪いわ……っというかよくよく考えたら、そっちの方が見つかったらヤバそうね」

「うん、何故だ?」

「だって……まぁいいわ」


 なんだよ、その心底あきれたような顔は。


「はっきり言えよ」

「いや、本当に何でもないの」


 これ以上問い詰めてもウルスラは何も言わないだろう。

 

「それより、いい時間だし何か食べていくか?」

「え! いいの!?」

「あぁ」


 二人分も三人分も作るのは変わらんしな。


「何か調子の悪くなる食べ物はあるか?」


 ウルスラは意味の分からないっといった感じで見てくる。


「別に毒を盛ろうってわけじゃない、配慮だ配慮」

「特にないわ」

「そうか」

「私は~、お肉が食べた~い……ムニャムニャ……」


 意見してくるか、流石抜け目ない。

 っというかまだ寝たふり続けるのか?


「ねぇノウェム、レウルの料理って美味しいの?」

「少なくとも~、私のよりかはおいしいよ~このまま養ってもらいたいくらい~」


 片目を開けながらノウェムがそういうと、少し先を歩くと振り向き、後ろ向きに歩きながら僕を見てくる。


「じゃあ、楽しみね」

「男料理はお嬢様にはきついかもよ?」

「私、お嬢様じゃないわ……元々普通の魔族の家庭だし」

「そうか」


 そう言うと、ノウェムがいきなり目をぱちくり開けて飛び降りる。

 そしてそのまま立ち止まり右手をかざす。

 空間が歪み、ノウェムはそこに飛び込んだ。



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