51話 詰められ

「ところでどうして今回は協力してくれたんだ?」

「今回は勇者がどんな奴か知りたかった、ただそれだけだ」

「知りたい? 何故?」


 彼女の言いたいことは最もだ、自分はもう関わりたくないと言っていたのにそんなことを言うのはおかしな話だ。


「なんとなく……じゃあ駄目か?」


 僕とウルスラはしばらく見つめあう。

 しばらくして彼女は溜息を吐くと立ち上がる。

 そして魔法を放ってくる。


「何の真似だ?」


 僕は魔法を弾き返し、ウルスラに問う。


「ちゃんと目的を言え」


 目的はなかったんだけどな……。

 ここは何か理由付けしておかなければウルスラはきっと納得しないだろう。


「奴、聖剣の力は知ってるな?」

「もちろんだ、あの聖剣は我が軍にとって脅威そのものだ」

「魔族の王、魔王と同じで聖剣の所持者にもヤバい奴はいる」


 人が聖剣を持つ限り、可能性はないとは言い切れない。


「それを確かめる為に僕は出向いただけだ」


 ウルスラはそういうと、不思議そうな顔をする。


「貴様、聖剣の所持者と戦ったのか?」


 しまった……。

 魔族からすれば聖剣所持者は魔王以外は戦いにすらならない程強力なものだ。


「いや、その……」


 ウルスラは僕を睨む。

 ここは正直に話すべきか……。


「正直に話すと、聖剣持ってるやつと何度か戦ったことはある……聖剣ありで」


 事は追放される前、聖剣所持者にアドバイスするためにハンデとして聖剣の力を行使させて戦ったことがある。

 元々、聖剣の力なしでも魔王を倒していたこともあって戦えないこともなかった。

 びっくりして声が出ない魔王軍一同。


「っといってもあの聖剣は最大威力では戦ったことはないからどうとはいえんが、あの聖剣には弱点がある」




 


 

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