49 思惑
舞台って言ったか?
この勇者と魔王の戦いが天使の思惑の戦いだとでもいうのか?
「舞台?」
「えぇ、勇者達人族と魔王達魔族の舞台に貴方≪レウル≫は必要ない」
「僕も人族なんだけど?」
それにノウェムやエレナだって魔族に協力しているにも関わらず、僕だけ駄目というのは納得いかなかった。
「貴方がいるとこの物語≪舞台≫が成立しない、だから貴方が関わらない形であったため見逃していたのです」
僕は異端だって言いたいわけか……。
「舞台ってどういうことだ?」
「それは言えません、禁則事項なので……それで、貴方が私が大人しくしているというのなら大天使≪あの方≫達は見逃すと……」
「もし無理なら?」
「その時は天使≪私≫メビアが今ここで裁きを下します」
どう答えたものか……。
今回は仕方なく、ノウェムの脅迫≪お願い≫なんですとは言う雰囲気じゃない。
そうすればノウェムに危険が及ぶ可能性がある。
「忠告はしました、次はありませんから」
返事を考えていると、メビアは僕の前から去っていく。
「今の話、どう思う?」
「う~ん、天使なんて見たことないし、伝承じゃそんな名前いなかったしな~」
確かに過去の大天使や天使の名前にそのような名前はいなかった。
だがもし、本物なら少し面倒なことになった。
天使の前の裁きを受けた者は誰一人として生き残っていないからだ。
「面倒な奴に目をつけられた……」
しかし、僕にとってはよかった。
これでノウェムの脅迫≪お願い≫から逃れることが出来るのだから。
「取り敢えず、戻るか」
「そうだね……」
両手を広げるノウェム。
ここにきてまだやるのか……。
「はいはい……」
また不毛なやり取りはご免なので素直に抱きかかえる。
「えへへ~」
猫のように嬉しそうな声でノウェムはいう。
そしてノウェムが門を開き、僕達は魔王城へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます