47話

 ノウェムは不思議そうな顔で僕を見るが、真剣なことを察したのかノウェムは何かを取り出す。


「僕も戦うよ、君にだけ負担はかけれないからさ」


 ノウェムは彼女特製の魔力回復薬を取り出すとそれを口に含む。 


「うん、元気満タン! これで足手まといにはならないよ~」


 ノウェムは立ち上がり、僕に杖を向ける。

 彼女が強化魔法をかけると、身体中から力がみなぎる。


「どう? 行けそう?」

「久しぶりに強化魔法受けたけど、やっぱりいいな……」

「うん、それならよかった。 もしもの時のためにこれ……」


 お守りのようなものを渡してくる。

 

「これを首にかけといて、いざって時に役立つからさ」


 ノウェムの魔導具か何かだろう。


「あぁ、ありがとう」


 ノウェムに首飾りをかけてもらう。

 

「お揃いだね」


 楽しそうに言うノウェムに笑顔で見つめると、敵が来たようだ。

 静かに歩いてくる敵は……まるで天使そのものだった。

 白銀の綺麗に腰まで伸ばしている髪に透き通るような瞳、白の装束をした女性がそこにはいた。

 

「何者だ?」

 

 気配は途中まではなかった。

 勇者一行の位置と半分の距離でしか捕捉できなかった。

 急にそこに気配が現れたのだ。


「貴方、レウルですね? 元勇者の……」

「あぁ、そうだが?」

 

 透き通るような声に心を奪われそうになるが、魔力を流して弾く。

 ノウェムは、大丈夫そうだな……。

 声に魔力を流して攻撃する精神干渉系の魔法だ。

 

「私は、そうですね……神の使徒と呼ばれる存在です」

「神の使徒ねぇ~、天使ではないのか?」


 顔に表情がない。

 まるで心が壊れたかのような表情をしているのだ。


「貴方のいう通りの存在です」

 

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