かつて世界を救った勇者は世界に見捨てられる

ゆうき±

勇者剥奪

1話 勇者、かつて封印した封印を解く

「やっとついた……」

 

 山を越え、谷を越え、数々の厳しい場所を乗り越えて僕は今、黒く濁った水晶を見つめる。

 目の前にはかつて封印した魔王ウルスラと四天王の水晶が鎖に繋がれている。

 場所は未開地の綺麗な花が咲き誇る場所に建てた僕の別荘。

 

「もう、管理するのも面倒くさいし、目覚めさせるか……」


 僕、レウル・ラーガスはかつて封印されていた魔王の水晶に手をかざす。


「今をもって封印を解き放つ……鎖束解!」


 そういうと、周りにあった鎖が解け、水晶が地面に着くと亀裂が入り、やがて亀裂が全てに達すると水晶が割れ、5人が姿を表す。

 そのまま地面に倒れそうだったので風魔法で5人ともゆっくりと寝かせる……そのままだと印象悪くなるからな。


 まぁ、底辺からこれ以上下がる事はないだろうが、そのまま放置は相手の怒りを買いかねないのでっという側面もある。

 少しして黒い服装に身を包んだ魔王ウルスラが白銀色の綺麗な瞳を向けてくる。


「なぜ貴様が封印を!?」


 驚いたように僕にそう告げるのも無理はない。

 だって僕がこいつらを封印したのだから……。

 その言葉と共にウルスラ直属の四天王が続々と目を開ける。 

 各々、僕をみるとすぐさま警戒態勢に入る。


「おいおい、敵対はもう辞めだ……それに戦った所でお前達は僕には勝てない……そうだろ?」


 これはブラフである。

 一対一ならまだしも、四天王と魔王が相手では流石に勝ち目は低い。


「話を聞いて、それからでも良いでは無いか?」


 ウルスラが言うと、四天王達は渋々ながら後ろに下がった。

 








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