お嬢様のレトロゲーム実況深夜放送

「ようこそいらっしゃいました。お嬢様」


「はい。すっかりレギュラーになってしまった桂華院瑠奈です!

 なんでパーカー姿なのかというと、私のブランド『ティル・ナ・ノーグ』の夏水着で……」


「脱がなくていいので、進行すすめていいでしょうか?」


「……はい」



--ここまでお約束--

--この撮影は7月に行われています--



「という訳で、お嬢様には着替えてもらったのですが」


「で、今日は私に何をさせ……うわーーーー!

 これ、すっごい懐かしいぃぃぃぃぃ!!!」


--お嬢様こと桂華院瑠奈さんは、この時生まれておりません--


「というか、何処でこれ見つけてきたのよ?」


「お嬢様のお話で国道のドライブインや喫茶店を巡って。

 残っているものですね」


--今日のお嬢様のゲーム--

--レースゲーム・アクションゲーム・パズルゲーム--

--全部1980年代のレトロゲームです--


「では、お嬢様の挑戦!

 最初はレースゲームから始めてください!」


「ああ。懐かしいなぁ。これ……」


「質問なんですが、お嬢様これらのゲーム何処で出会ったんですか?」


「昔、墓参りに酒田に行ったのだけど、墓地って町から外れた所にあるでしょう?

 お参りした後でタクシーを待つ間、国道沿いのドライブインに入って待っていたのよ」


「で、そこで稼働していたのがこれらのゲーム機と」


「ええ。

 単純だからこそハマると駄目よねー。

 一回百円だから、どんどんなくなって執事の人にたしなめられて……きゃーーーーーー!!!」


ちゅどーん!


「もう一回よ!もう一回!!」



--攻略のポイント--

--体当たりをしてくる敵の車をうまく煙幕でかわすことがポイント--

--旗を取る順番に戦略が求められます--



「なるほど。

 面が進むにつれて、敵の車が増えてゆくのですね」


「で、挟み撃ちに注意……きゃーーーーーーーー!!!」


ちゅどーん!


「もう一回よ!もう一回!!」



--お嬢様。撮影を忘れています--



「これ穴ですか?」


「岩だと思う。

 もちろん当たると……」


ちゅどーん!


「ってなる訳」


「なるほど」



--30分後--



「では、お嬢様の挑戦!

 次はアクションゲームを始めてください!」


「やっぱりこれよねー

 この音楽が癖になるのよー」


「ドレミファ……ですか?」


「そうそう。

 果物が8つで集まっているでしょ?

 全部順番に食べると『ドレミファソラシド』ってなる訳」


「何かボールのようなものを投げても敵を倒せるのですね」


「このゲーム、色々凝っていて、他にもリンゴで敵を潰し……きゃーーーーーーーー!!!」


ちゅどーん!


「……なるほど。

 自分も潰れちゃうと」


「もう一回よ!もう一回!!」



--攻略のポイント--

--ボールは一個しか投げられず、手元に戻るまで時間がかかります--

--敵を倒す際には注意--



「お嬢様にとってゲームって何ですか?」


「……そうね。

 正しさかな?」


「またこちらが想定していない答えが出てきましたね」


「システムがあって、ルールが提示されて、その通りにやればクリアできる。

 隠しデータや裏技もあるけど、ゲームの基本はこれでしょう?

 これってすごく大事なことだと思うのよ」


「世の中は色々ありますからねぇ……」


「まあ、やってて楽しいってのも大事だけどね。

 けど、母親代わりのメイド長は良い目で見てくれないのよ」


「もちろん今みたいに長時間するのでしょう?」


「あったりまえじゃない!

 あーーーーーー!!!!!」


ちゅどーん!


「もう一回よ!もう一回!!」



--30分後--



「では、お嬢様の挑戦!

 最後はパズルゲームを始めてください!」


「あー。

 これも懐かしいわねー」


「この時期のゲームはどれも音楽に凝っていますね」


「そのせいか、覚えちゃうと忘れられないのよ」


「このゲームは敵を倒すことでクリアですね」


「で、倒すためには、氷で押しつぶすか、四隅の壁を揺らして怯えさせるか……きゃーーーーーー!」


ちゅどーん!


「敵は四体までしか出ないのですね?」


「最初は三体なのよね。面が進むと四体。

 残りは、氷の中に潜んでいるから、その潜んでいる氷を壊してもOKという訳」


「この三つの何か違うブロックは?」


「縦か横に三つそろえるとボーナスが……きゃーーーーー!」


ちゅどーん!



--攻略のポイント--

--ダイヤモンドブロックは無理してそろえる必要はありません--

--あくまで敵を倒すのがゲームクリアの条件です--



「そういえばゲームショウに出席するそうですね?」


「ええ。何でか知らないけど、ゲーム会社とかあるからそれの陣中見舞いという事で」


「へー。奇遇ですね。

 うちもゲームショウで何かやるんですよ」


「……まさか、また私を使って何かしようと……」


「お嬢様。手が止まっています」


「あっ……」


ちゅどーん!



--という訳で、帝都ゲームショウ2003--

--『お嬢様の挑戦!番外編』何かやります!--

--多分お嬢様の水着姿がおがめるんじゃないかなぁ……--



「ちょっと!

 『ないかなぁ』ってなんで疑問形なのよ!?」


「いえ、この番組上層部にとても嫌われていまして。

 『お嬢様の水着姿を何故見せない』と。

 そこそこの視聴率とお嬢様のノリノリで黙ってもらっていますが、ショウでそのノリをしたら暴動起きそうなので」


「あんた、その配慮をもう少し私に向けてもいいんじゃないかしら……」




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YouTubeでレトロゲームを眺めていたら、過去がぶん殴ってきた。

全力で若い人を置いてきぼりにするお話。


作者の思い出とそのゲーセン

 基本あの時の大分においてゲーセンはスーパーやデパートの屋上にしかなかった……


レースゲーム『ニューラリーX』(ナムコ)

 やったのは大分のジャスコ。トキワの前にあったのだが今は別の店に。

 なお、お金が無くなってゲーセンから子供服売り場の遊具室で暇を持て余していた時そなえつけのTVで流れていたビデオが『うる星やつら ビューティフルドリーマー』である。

 あれ、絶対趣味人が洗脳の為に流していたんだろうなぁ……


アクションゲーム『Mr. Do!』(ユニバーサル)

 やったのは竹田市の個人経営の喫茶店。

 大人になって行ってみたら既に跡形もなかったのだが、良い感じに寂れた扇森稲荷神社とまだ残っていたタピアことサンリブ竹田店を見て不覚にも涙が出たのは良い思い出である。

 なお、あの当時の個人経営の喫茶店はこれか『ディグダグ』か『1942』が大体置かれていた覚えがある。


パズルゲーム『ペンゴ』(セガ)

 やったのは中津のサンリブ。オープン直後、あそこのゲーセンはニチイや寿屋と対抗する為に頑張っていた思い出が。が。

 『マッピー』も置いてあったんだよ。この時のゲーセンは。



TVのノリ

 この頃から内輪ネタが顕著になってゆくが、そのTVの内輪に視聴者が喝采をあげていた時期がこの頃である。

 その為、このあたりから番組制作の現場指揮官であるプロデューサーや制作会社が力を持ち出して……

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