はよこいつら付き合え、そう願う。

「はい、というわけで今日はちょい時短な一般的なカレーを作っていきます」

「定番だな」


「まず最初に材料がこちら」

「主に具材は玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、それでメインの豚肉とカレールーだな」

「野菜とか肉はお好みの量で大丈夫です」

「肉じゃなくて、シーフードでも美味いよな」


「手は猫の手で切っていきます」

「にゃんこ」

「いや突然なに」

「猫の手っつったじゃん」

「何言ってんだこいつ」

「いや思ったこと言っただけなんだが……」


「とりあえず玉ねぎは薄めにスライスしていきます」

「慣れてないと涙でてくるやつな」

「慣れてないというか、アンタはやらないじゃん」

「俺が作る理由がない」


「……気にしないことにします。次ににんじんを乱切りで切っていきます」

「皮付きの方が栄養素高いからおすすめだぞ」

「はい、んでじゃがいもを大きめに切っていきます」

「なるべく煮崩れしない品種がおすすめだ」

「とりあえず、仕込みは以上です」


「次に圧力鍋に油を敷いて、今回は玉ねぎを投入していきます」

「飴色に近づいてきたらと感じたら、肉を投入するといいらしい」

「ネット情報?それ」

「そうだが?」

「……」

「レシピ掲載サイト様様よな」


「豚肉に火が通ってきたら、野菜たちを鍋に投下します」

「ついに入れるのが雑になってきたな」

「おなかに入れば皆同じ」

「まあそれはそう」


「そのあと全体を混ぜて、水を入れます」

「野菜とかに水分を考えて、水はそれなりでOKだ」

「んで、シューシューなるまで煮ます」

「煮る時間は?」

「テキトー」

「そうか」

「……」

「……」


「火が止まっても余熱で加熱されるので、いったん放置します」

「そうなんか」

「根菜に火が通ったなって思ったら、一度火を止めてルーを入れます」

「おい、ルー中辛じゃねぇか」

「いやアンタ最初っから市販のルーのパッケージ出してたじゃん、見てなかったのか?」

「俺辛いの無理だっていったじゃん」

「後でチーズとかかけてあげるから、我慢してくださーい」

「……」


「じゃ、お皿にご飯をよそってカレーを盛りつければ完成です」

「はいよ、盛り付けといた」

「あんがと」

「辛いけどチーズでまろやかになってて美味い」

「よーござんしたねー」


「材料は以下の通りです」


「つか前から思ってたけど、感想美味いしか言わないじゃん」

「だって美味い以外の言葉出てこねぇ」

「はいはいありがとーございますー」

「では、動画は以上になりますご視聴ありがとうございましたー」

「あざっしたー」


――――――――――

 コメントには、


毎度毎度夫婦漫才すな。

こいつら高校生ってマジ???

この幼馴染の男女、健全すぎておじさん泣きそう

マスター!ブラックのコーヒー1つ!

俺たちは何を見せられているんだ……


といったことが載っていたという。

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