第7話 聖なる光VS強靭な肉体
「ホーリー・シャイン!」
サラはもう一度、聖なる光りで殴りかかって来る彼を包み全身を焼いた。
野蛮な少年は、「ウギャッ」と声を漏らし、振り下ろそうとする鉄拳が反射的に止まるほど、彼女のスキルでの攻撃は効いているが、何故か倒れない。
「ギャハハ! なかなか良いスキルを授かったみてぇだなぁ! オレサマの全身が痛ぇよ!」
巨大な不良少年は、悪魔の様な笑を浮かべながらサラを賞賛する。
「だがなぁ! 俺を倒すにはちと足りねぇよ!」
彼は、「ギャーーハハハハハ!!」と高笑いする。
「くっ」
サラの聖なる光を出すスキルから放たれる対象を包み焼くホーリー・シャインは、相手の悪意が強ければ強いほど強力な威力を出す技である。
[こいつは、見た目通り悪意に満ちており、街のガキ大将共なんかよりも強く焼かれているのに!]
確かに彼は、ブータンやその手下達よりも悪意に満ちている。技の威力も普段ちょっかい掛けてくる街の悪ガキ達よりも、かなり高くこの野蛮な少年へダメージを与えている。
[でも、痛みはあるみたいだから、長めに光りで包めば、倒せるかも!」
「もう1回! ホーリー・シャイン!」
もう一度、聖なる光が相手を包み全身を焼く。今回は、光を維持するのに、自信の魔力と呼ばれるスキルを使うたびに消費させる、この世界に存在する生物の体内に備わるエネルギーを使い、先ほどと違い継続的に炙っていく。
「ギャッ……」
2回ほど、ほんの数秒だが、確かに効いていたダメージを今度は、彼女が聖なる光の維持を止めるまで、焼かれることになり、辛そうに歯を食いしばる。
しかし、不良少年は激痛に耐えながらイメージをする。
[もっと痛くねぇ強ぇ皮膚……]
「グッ……ゥ……変身!!」
柄の悪い少年は、痛みに堪えながら変身と呟き、全身の皮膚が先ほどよりも強靭になり、聖なる光に全身を焼かれ続けても少しヒリヒリするくらいで住んでいる。
光で炙ってから3分くらい経過した。
サラのスキルは強力な能力だが、魔力が相当消費される。
普段から街のガキ大将のその手下達にスキルを使っているが、技を1回使うだけでも、かなり魔力が無くなり、魔力は一度に多く体内から無くなると、身体に強い反動が来てしまう。
それでも、辛い顔を一度もせず、スキルを多用しているのは、大切なロテスを守りたいからである。
彼女は、3分も聖なる光を維持している為、既に限界を超えている。
ロテスに危害を加えようとしていた野蛮な男は、焼き続けてから15秒くらいで何か呟いたようだが、それから何も声を出さない。
[これくらいで……いいかな……]
サラは、聖なる光を止めた。
しかし──
「ギャハハハハハ!! もう終わりで良いのかぁ?」
不良少年は、先程よりも強固になった状態で高笑いしていた。
「な……」
サラは、満身創痍なのにも関わらず、野蛮な少年は何事もなかったかのように、平然としており、絶句する。
「女ぁ! おめぇ面白ぇから、オレサマのスキルの事を教えてやんよぉ!!」
常識として他人に自信のスキルの事を話すと、相手と対立した時に対策されてしまう為、自分のスキルの情報は、基本的に語らず、人に伝える時は、最小限の情報に止めるもの。
だが、この不良少年は、ひ弱そうな少年に話しかけられる前の段階で肉体を何が相手になっても良い様に強化していた筈が、激痛を3度も与え、3回目にいたっては、自信を倒しかけたことに彼なりに敬意を払うのと、今後は自分の強力な手下兼性奴隷として自信が強く抱く野望の礎にする為に、自分のスキルについて語ることにした。
「オレサマのスキルは、まぁ簡単に言えばオレサマの考えた通りにこの身体を変身させる訳よ!」
ただ、彼は体を変化させる1番重要な事は語らないでいる様だ。
「なぁ、女ぁ! オレサマはおめぇに追い詰められちまったんだぜぇ? おめぇみてぇな女は、こんなナヨナヨした男より、俺と一緒になった方が良いぜぇ!」
「お断りよ! ロテスの事悪く言うな!」
サラはロテスを侮辱され怒鳴る。
だが、それが維持で抑え込んでいたものが解放されることになる──
「ガハッ……」
サラは、口から血を吐き出す。そして、膝をついてしまう。
彼女の身には、スキルで消費した大量の魔力の反動と自信の元からある分よりも多く使用する為に無理やり生み出した魔力生成の反動が重なり、通常ならあまりの痛みと疲労感により、身体が動かなくなり、声が出せるのなら絶叫しているほどだが、壮絶な疲労で叫ぶことが出来ないくらいの力の代償が払われていた。
彼女のスキルが誤って当たらないくらいの距離まで離れていたロテスは、平然としていたサラが突然血を吐き、苦しそうな表情をしているのを見てしまう。
「ど、どうして、サラ……」
野蛮な少年に、何も攻撃されてないのにも関わらず、ボロボロになっている彼女を見て、「いやーーーー!!」とロテスは叫ぶのだった。
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