第2話 スキルの授け

 ロテスとサラの2人は、教会へと訪れシスターに声をかけ、普段は牧師達が神へ祈りを捧げ、時には13歳になった人達にスキルを授けてもらう、聖堂へ案内してもらった。


「まだ6時少し前だと言うのに、わたくし達以外にも人が結構いるわね」


 朝早くなのにも関わらず、スキルを授けてもらいに来ている少年少女が、15人くらい既に教会へ来ているようだ。


「みんな、今日が楽しみだったみたいだね! それじゃあ、僕たちも牧師さんに声をかけてスキルを授けてもらおう」


 2人は、大きい十字架の隣に立っている牧師である初老の男性へ「僕たち13歳になったのでスキルを授けてもらいに来ました」「よろしくお願いしますわ! おじさま!」と声をかけた。


 牧師は、名簿へ2人の出席確認をチェックをチェックを入れ「名前を呼ばれるまで、椅子に座って待っててね」と言われたので、ベンチのような長い椅子に2人隣同士で座る。


 2人の後ろの席に座っている少年達は、サラを見るやその後ろ姿を眺めている。こそこそ彼女について話している人もいる。


 その反面、貴族で美人なサラの隣に、体格にも恵まれている訳でもなく、容姿に特別優れている訳でもないロテスが隣にいることを気に入らない人たちもおり、彼の悪口をこそこそ話している声もする。


 当然、この話声は2人の耳に届いており、サラは彼の手を握りこう告げる。


「ロテスがいつも頑張っているのわたくしは知っているから、今日授けてもらえるスキルで見返しましょう」


「うん! ありがとうサラ! 今日から僕は君を守るからね!」


 周りの心無い言葉にいつも言われているとはいえ、悲しく悔しい思いをしている自分を励ましてくれるサラに心からの感謝と決意を告げる。


「サラ・シェングオン、十字架の前へいらっしゃい」


「呼ばれたからわたくしはいくわね」


 サラは十字架の前へと立つ。


「我らがこの世界の神よ! この少女へ力を授けたまえ!」


 牧師は、スキルを授けてもらう言葉を述べると、十字架から丸い形の光輝くオーブが出現し、サラの胸の中へと入っていった。


「君が授かったスキルは、聖なる光を放ちそれを操るものだ」


 牧師は、彼女のスキルはどういう能力なのかを簡潔に告げた。


 この光景見ていた人たちは、「聖なる光ってかなり珍しく、かなり強力なスキルじゃん」「流石サラさん!」などと歓声が上がっていた。


 ロテスも「サラは凄いなぁ」と呟いた。


[僕もサラみたいに凄いスキルだよね! あんなに頑張ってきたんだもん!]


 彼は今までの努力がスキルになると信じる。


「ロテス! ただいま!」


「サラ、おかえり!」


 機嫌が良さそうにサラが戻ってきた。


「聖なる光だって! わたくし凄いスキルに目覚めたみたいだわ!」


「それもそうだよ! サラがいつも努力しているの僕は知ってるよ! 君が頼りない僕を守る為に護身術や武術を習ってあいつらを毎回返り討ちにしているし!」


「それなら、次は貴方の番ね!」


「うん!」


「ロテス・グリーク、十字架の前へいらっしゃい」


 2人が会話していると、牧師が彼の名前を呼ぶ。


「それじゃあ、いってきます!」


「いってらっしゃーい!」


 ロテスは、十字架の前に立った。


「我らがこの世界の神よ! この少年へ力を授けたまえ!!」


 サラの時と同様、十字架からの光のオーブが彼の胸へ入っていった。


 オーブが身体へ宿るとすぐに牧師はどんなスキルなのかを説明してくれる。


 だが、牧師はすぐに声を発せず、10秒くらい経っても何も言わないのでロテスは牧師の方へ向く。


 牧師は苦笑いしながら固まっていた。


 ロテスは、「牧師さん! 僕のスキルの説明をお願いします!」とやや大きめに声をかけると、牧師は「はっ!」と声をあげ「す、すみません……」と意識が戻ってきた。


「えぇと、君が授かったスキルは、その……」


「はい」


 牧師は言葉が詰まっていたので、彼は相槌をうち続けさせる。


「そばかすを増やしたり減らしたりする力だ」


「え!? えぇえ!!?」


 悪い意味で凄いことを聞かされて、ロテスはかなりの衝撃が走った。

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