映画見た感想

@teasol07

黒澤明 「生きものの記録」

生きものの記録 を見ました。

これについて何か語れるかと言われると、正直すごくすごく自分を掘り進めるしかなくて、今はほとんど何も言えない。

すごくすごく掘り進めて、汗を拭いてふと上を向くとこんなに掘り進めたのか。と思う時にやっと、全て言えるかもしれない。

しかし私は今ここにいるので、言わなければいけない。それに、それに原爆、水爆の話だし。

見終えて思ったことは、初めて黒澤明の映画を見た!という印象ではなく、私は何も言えないなー。これについて批評する言葉を持たないかもしれない。という現実だけだった。

すぐに感情移入してつらくなってしまう私が、誰にも感情移入せずに、ただ黙って映画を見ていた。

私だったらどうするか、なども想像せずにただジッと、映画を見ていた。

1955年公開、67年前。あんまり変わっていなかった。しかし、今はもっと悪いんだけれど。この時より良いか、というより、多分、この時よりもっともっと悪くなった。

私は黒澤明に顔向けできるだろうか。

地球が燃えている!と叫んだ中島さんを見る人の背中が、一瞬、映画を見る私の背中と重なった。

こう言った人々が、不安で眠れず、叫び恐れた世の中になってしまった。今この世を見て、どれだけ絶望するだろうか。

白黒映画というけれど白黒ではなかった。白黒映画って言い方、変なの。

自分の持つ善意とか悪意とか、当てはめられる人や部分は確かにあったんだけれども、それを私が批評できることはないと思った。

どれだけの人が反対していても、原爆という言葉が出ると、日本国民全員の根底にある抗いようのない恐怖が場を支配する。

黙り込みます。

今、核に対抗するために日本も核を持たなければ。という意見が多いことを知ると、どう思うだろうか。

核は日本に行き着くという言葉は、太平洋の水爆の影響も、広島長崎の原爆のことも全てのことを意味するんだろう。

核から全ての人を救うために、日本から逃げなくてはと言う言葉をどう受け止めたら良いだろう。わからなくても、この人が未来を考え、日本国民、周りの家族を愛していたのは事実だと思う。

国に期待することなんて、考える暇もなく全く、砂つぶほどすらもないんだろう。

戦争を起こした日本国が原爆から俺らを守ってくれるわけがない。これは私の意見か?

狂っているのは、私たちの方で、こうして順応した気になって、みんなで大丈夫大丈夫と肩を叩いて、円を組んで、ずっとそのまあまでいるんだろう。

今の世の中で叫んでも誰も聞いてくれないだろう。寧ろ、死んでしまうに近いのではないか。

お父さんの言い分に対して、嫌だと言う人々に対してこれは人権なので認められると当たり前のことをしかし当たり前にちゃんと声に出していたのには驚いた。いや、当たり前だが、今は「お互いの正義が」とか変な言葉で言われたりするし。おおおお、これだけでも正味、見た意味があるな。

しかし今まで見た映画の中でも、全くない不思議な気持ちでいる。

どう言う気持ちなんだろう今、私は。

実を言うと、わたしはわたしのことだけを考えなければ。というのが最も近い。

もう誰も関係ない。私はどうするか。という気持ちが最も、近いと思う。

また見なければ。

おすすめの黒澤明の映画があれば、教えてください。

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