第16話 ヘルちゃんの苦手な叔父様
儀式にあたっての下調べと準備。
その他一切が終わり、わたしもひと段落が付いた頃、噂の勇者様御一行がニブルヘイムに到着しましたの。
案内役として、一行を取りまとめるのはヘルモーズ叔父様ですわ。
叔父様は
血の繋がりはあっても特に親しくはないのですけど、彼が勇者という重要な位置づけの人々の取りまとめに任じられたのには理由がありましてよ。
叔父様が俊敏のヘルモーズという二つ名を持っているのは伊達ではないですわ。
戦場において、先駆けを命じられ、外交特使として方々を巡る。
お祖父様の
それが神々の使者たるヘルモーズですわね。
彼の言動はお祖父様のものと受け取る、と言い切ってしまうと少し、言い過ぎかもしれませんけど。
「よっ! おひさ!」
「ご、ごきげんよう。叔父様」
ただ、わたしは苦手ですの。
こんなにノリが軽いのに目は笑ってませんのよ?
人を値踏みするような鋭い視線を感じますもの。
『鷹の目』のヘムヘ……ヘイムダルも同じ癖がありますけど、彼はそれを隠そうともしない裏表がない性格の真っ直ぐなところに好感を持てますの。
叔父様は何を考えているのか、分からないところがいけませんわ!
同様の愚痴はお祖父様についてもでしてよ。
それでもお祖父様に対して、あまり悪印象がないのは縁の違いかしら?
「ヘイムダルがスカウトした選りすぐりの強者達だよ」
「そ、そうですの? ありがとうございますわ」
含むところはあってもあまり、表には出さずに対応はしないといけませんわ。
多少、顔が引き攣っている気がしないでもありませんけど。
ヘルモーズに続いて、転移門を潜ってくる面々を見ると引き攣った笑顔になるのも仕方ないと思いますわ。
選りすぐり……。
強者……。
「姫様。スマイル。スマイル」
「わ、分かってますわ」
スカージに肘で突かれ、アグネスから無言の圧力を加えられましたわ。
でも、分かっていても笑顔が引き攣りますわ~。
仕方ありませんのよ。
多種多様。
種々雑多。
言い方を変えても、受け入れられるというものではございませんの!
総勢およそ二十名の勇者様御一行。
その陣容があまりにもバラエティに富みすぎでしてよ!
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