第58話 セモアのダンジョン

ジンとヒューイの部屋の窓を開けて居ると磯香りを風が運んで来てくれる。

ジンとヒューイが起きて朝練のために地下の訓練場に行く。


ジンはバスターソードの『剛力』で5000回の素振りをして、『煌剣』で馬庭念流一文字派の型をなぞり、最後は抜刀術を繰り返し行い朝練を締めくくった。


ヒューイはドールを相手に、模擬戦を繰り返している。

ドールもかなり早い剣さばきで攻めるが、ヒューイ相手ではやはり攻め切れていないようだ。


暫くして3人は朝練を切り上げ1階のリビングに向かった。


朝食を食べて、ジンとヒューイが『空飛ぶ車』でセモアの冒険者ギルドに行きクエストを見た。


この街は殆どが漁業を生業としており、冒険者の人数もそれほど多くはない。


クエストも薬草、とか逃げたペットの捕獲依頼とかばかりで魔物の討伐依頼はなかった。


ジンは<タブレット>に『セモアの近辺のダンジョンあるいは未知のダンジョンか古代人の遺跡跡があるか?』と打ち込んでenterキーをポチった。


『セモア南東部2キロに未だ未発見のダンジョンが1箇所、存在します。又港から真東の3キロの所に古代人遺跡が隠蔽されています』と表示された。


ジンは一旦家に戻り、皆にその結果を話し、全員で先ずは未発見のダンジョンを踏破することにした。

ギルドに全員で向かい、全員の冒険者カードを出し、受付嬢に未発見のダンジョンの説明をすると・・・


「少々お待ちください、ギルドマスターに話を通して来ます」と言って2階のギルマスの部屋に行くと、数分で一人の中年の男性が受付嬢と一緒におりて来た。


「初めまして、ここのギルドマスターをしておりますハロルドともうします。高名なジン殿とヒューイ様そして我が王国Sランクの魔法師、イリーナ様達にお会いでき光栄です」


「ご丁寧な挨拶恐縮です。実は我々此のセモアに先日から引っ越しして定住して居るのですが、【サーチ】をすると、未だ未発見のダンジョンが存在することがわかりました。今からそこを”ジンと5人の魔女達”が潜ろうと思いまして」とジンが言った。


「セモアにもダンジョンが有ったのですね?それは喜ばしい!一応確認のために入り口まで私も同行させていただきダンジョンを登録したいと思いますが宜しいですか?」


「全然、問題ないよそれじゃ私の魔道具の乗り物に一緒に乗ってください」といい、『空飛ぶ車』に乗り込み2キロ南東に有る岩の突き出た丘に移動して来た。


「見た所岩肌しかありませんが・・・!」とハロルドが少しがっかりした表情でいうが、「ハロルドさん、がっかりしないで見ていてください」とジンが言って、【サーチ】をかけると岩肌の部分の向こう側に空洞があり階層になって居るのが検知された。


ジンが掌底破を当てると岩盤が砕けて人3人が通れるほどの穴が現れた。


ハロルドが覗くと階段になっており、下に降りていける。


「ジン殿確かに未知のダンジョンですね!名前を”セモア・ダンジョン”として登録しておきます。気をつけて潜ってください。無事のお帰りをお待ちしてます」と言って、徒歩で帰って行った。

「よし、ギルマスが確認までしてくれたので揉めるようなことはないだろう!全員行こう」


先頭にドール、すぐ後ろにヒューイ、イザベラ、イリア、イリーナとジンの順でドールとジンが【サーチ】をかけながらゆっくり降りて行った。


1階層はいきなり平原ステージになっており、ホーンラビットが23匹突進してくる。


ドールとヒューイが剣で首を切り落として行く。

撃ち漏らしたホーンラビットはヒューイが簡単に『神龍剣』で4匹程首を落として、殲滅した。


2階層は砂地のようになっていて、ポイズンスコーピオンが2匹いる。


ドールが頭部の鋏1対を切り落とし、ヒューイが尾の毒針のところを切り落とし、未だ生きていて動き回るところをイザベラが【エアカッター】で頭部と胴体を切断して殺した。


2匹目はヒューイが頭部と鋏1対を同時に切り落とし、イリアが尾の毒針と胴体の部分を【ファイアカッター】で切断した。


3階層は野原で、キラービーが2000匹襲いかかってくるが、ジンが【結界】でまとめて囲って中の空気を真空にして2000匹の死体を潰さずに回収する。


4階層は死臭がする洞窟で、ドールが【ライティング】で照らすと、ミイラが30体、スケルトンが50体出てくる。


イザベラが『浄化の杖』で全てを浄化して霧散させた。


奥にスケルトンキングが盾と剣でケタケタ笑いながら襲ってくる。


ドールが首を切り落とし両腕を切り落としても直ぐに再生して剣を振り下ろしてくる。

「ドール、心臓部の魔石を破壊しなくては再生を繰り返すよ」とジンが叫ぶ。


「了解です!」と返事して、ドールが【縮地】でスケルトンキングの懐に潜り込み『魔剣』でひと突き!魔石を砕いて、首を落とすと動きを止めて横たわった。


5階層はボス部屋になっている。

扉を開けると矢が飛んでくる仕掛けの罠が有るのでドールが【ディスペル】で解除して、重い扉を開けた。


中にはゴーレムがいた。

ヒューイは少し安心して油断していたがジンから「ヒューイ、気をつけろ奴はスキルでネクロマンサーの力があり、奴本体も再生のスキルが有るぞ」というので慌てて『神龍剣』を構え直した。


ネクロマンサーのゴーレムは、地表からスケルトンや鎧を着た騎士団を数十体蘇らせてジン達を襲わせた。


切っても、倒しても、湧き出てくる亡霊達。


イザベラが『浄化の杖』で消し去っても直ぐに地表から同じ数のスケルトンと鎧の騎士達が現れる。


肝心のゴーレム迄行き着けない!


ジンが【奪取(スティール)】を発動して、ゴーレムの二つの魔石を奪い取って、【アンビジュブルハンド(不可視の手)】の闇魔法を初めて使い

ゴレムの首を切り落とした。


魔石を二つとも取られたゴーレムは再生もできずネクロマンサーとしてのスキルも発動できず倒れてやっとスケルトンや鎧の騎士団は土に還った。


「ジン、今の魔法は?」とイリーナ。


「うん、闇魔法の【インビジブルハンド】と言って、見えない闇の手で彼の首を切り落とした」


「そんな事もできる様になっていたの?」


「闇魔法のスキルが限界値越えしていたので夜の暇な時練習しておいた」と平然として答えるジン。


5階層のボス部屋の宝物は『シールドの指輪』、”嵌めている人がシールド”と叫ぶと瞬時にシールドに変わって全ての剣撃、魔法を防ぐシールドになる”とでた。


3人の魔法師はシールドがあり、問題ないのでドールにつけてあげる。


ドールの右中指にジンが嵌めてあげると顔を真っ赤にした人工物の美女は「私にこれをくださるのですか?」というので、「ドールだけシールドをかけられないからこれで魔法も剣も防げるから有る程度天下無敵だぞ」とジンが答えた。


6階層に行くとかなりつよい魔力を感じてくる。


ゆっくり進む道の先にメデューサがいた。

目を合わせると石にさせられる魔眼の持ち主だ!髪の毛は毒蛇の髪で、首が360度クルクル回る厄介な相手だ。


後ろからイリーナが【アイスアロー】で目を狙ったが剣で弾かれ目を潰せない。

ヒューイが『神龍剣』で魔眼の力を剣に吸い取って奪い、無効化して首を切り落とした。

未だ髪の毛の毒蛇が動いて噛み付いてくる。


ヒューイが上段から剣を打ち下ろし頭を真二つにかち割って殺した。


7階層はトロール2体が大剣を構えている。


側にはキラーアント1万匹がうじゃうじゃと侵入者に向かって移動してくる。

ジンが【結界】でキラーアント1万匹を全て囲い込み【重力魔法(グラビティー)】で押しつぶして、キラーアントの煎餅を作った!


残るトロール2体はドールとイリアが剣と【アースアロー】でそれぞれたおした。


7階層は岩場に岩竜が3匹もいて、岩礫を飛ばしてくる。


一匹をドールが間合いを詰めて岩を吐き出す瞬間を狙って、首を切り落とした。


二匹目はイリーナがやはり岩を吐き出すタイミングを見て【エアカッター】を放って首を切り落とし、三匹目はヒューイが首を切り落として全て殺して回収した。


8階層は火山ステージでキマイラが1匹とバジリスクが1匹いる。

どちらもグロテスクな魔物だ。


キマイラは頭が獅子で胴体は山羊で竜の尾を持ち口からは火を吐く。

頭部は獅子の鬣が硬く通常の剣は通らない。


一方バジリスクは石化の魔眼を持ち、見つめられると石になり死ぬ。

姿は鶏の姿をして、頭部は環状のトサカが隆起していて、翼種は羽毛の生えた蝙蝠のような羽で尾は蛇だ。


キマイラはイリアが【土の槍(アーススピア)】で比較的柔らかい胴体の山羊のところを狙い撃って下から放って串刺しにして殺した。


バジリスクはイザベラが【エアカッター】を2連発して、首と尾を同時に切り落として殺した。


9階層は海のステージで眼前に大海原が広がっている。


6人は『空飛ぶ車』に全員乗り込み、2メートルほど海上に浮き飛びながら【サーチモニター】を見ていると、ケートスが1匹、クラーケンが1匹サーチにかかった。


ケートスの近くまで近寄り『空飛ぶ車』に搭載している『魔導砲』で【ウォーターカーター】を2発撃ちケートスを分断して、回収する。


クラーケンは同様に【ウォーターアロー】を放ち、眉間を撃ち抜いて殺し回収した。


「ジン、『空飛ぶ車』から『魔導砲』を打てるように装備したの?」とイリーナが聞いてくる。


「はい、中から俺が放つよりは車に【複製(コピー)】魔法で作り込んだ奴を装着して全ての魔法を打てるようにしました」と答えていた。


呆れているイリーナを尻目にどうってことないとジンは10階層に向かっ

た。


10階層はボス部屋で罠がないのでドールが開けた


そこにはヒュドラが9本の首をくねらせて一つの首からは火を吹き出し、もう一つ隣の首からは毒液を吐き出しそれぞれ個性のある首だ。


ヒューイが首を切り落としてはドールが焼いて再生を防ぎ、反対側の首はイザベラが狙いを正確にエアカッターを放って、イリアが【ファイアボム】で切り口を焼いていきあっという間にラスボスのヒュドラを討伐して

回収した。


側には結構大きいダンジョンコアがあり、宝箱を罠がないのを確認して

開けると『滅亡の弓』、『魔力100以上の者が持ち得る弓で、何百というやを同時に射る事が可能で矢は数キロまで飛び的を外すことはない』

と【鑑定】された。


イリーナに渡して後方から上空の魔物などを相手にするときに使うように

【次元ストレージ】にいれた。


ダンジョンコアを持って、【転移盤】に乗り1階層の出口に戻った。


古代人の遺跡跡は午後からゆっくり探検することにして冒険者ギルドの素材置き場に討伐した、魔物を納品した。


小さなギルドでは初めての大量の魔物でスタッフ総出で解体したりしている。


ギルドの食堂で果実ジュースと野菜サンドを頼んで待つこと1時間ほど。

やっと納品書が出来上がり、受付にカードと納品書に地図とダンジョンコアを提出した。


ギルドマスターのハロルドがニコニコして降りてきてダンジョンコアを受け取っていた。


「ジン様清算金が白金40枚、金貨85枚、銀貨93枚、銅貨88枚となりました、尚従魔のヒューイさんとドールさんのカードも作成させていただきお二人ともプラチナカードのSランクです。おめでとうございます」


ジン達は全員が冒険者カードを持つことになり全員がSランク以上の冒険者になり、ギルドの情報網によって、Sランクの冒険者がヒューイ、ドール、イザベラ、イリア、イリーナ、ハリス侯爵、アリシア、デイマール王国近衛騎士団長エドモンド8人となりその上のSSランクにジンがいることが伝達された。


6人はセモアの定食屋で海鮮鍋を二つ頼み、みんなで食べて昼ごはんにした。


セモアにもダンジョンが発見され、今後は魔物達もこのダンジョンに再び住み着き、冒険者ギルドももう少し活発になってくるだろうし、海辺の美味しい海産物もすぐ買えて静かな環境で魔法の研究ができるのでジン達はここセモアに定住地を建てたことに皆が喜んでくれていた。


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