第41話 呪いと除術
ジンはイザベラ親子とイリア叔母さんをいれた魔女5人とパーティーを組んで”ジンと5人の魔女達”でコモドにある”新緑のダンジョン”を制覇してイザベラ以下3名の魔女は冒険者に俄然やる気を出していた。
ジンは”魔女の道楽”のお店が休みの第二日曜日に出来るだけ、パーティーを組んでレンブラント王国に囚われず色々な国のダンジョンを潜ろうと考えた。
そのため普段は出来るだけ王都の冒険者ギルドのクエストをドールとヒューイと3人でこなして行こうと、今日もギルドに3人で来ていた。
3人はクエストのある掲示板に向かい、特別ランクの依頼から見ていった。
ヒューイがBランク対象のクエストの中に、呪術の解毒依頼が有った。
ジンは呪術や呪いにも興味があり、このクエストを持ってリリアンの元に持っていく。
「リリアン、これは討伐とかではないけどどんなことか簡単に説明してくれる?」
「ああ、これね、これは王都から少し行ったレリースと言う村にいる雑貨屋の息子が何かの呪術に侵され困っていると両親からの依頼で銀貨70枚でジンくん達には
余りにも金額的に合わないわよ」
「いや金額の問題ではなく、呪術に興味が有るので行ってくるよ」
ジン達3人は『空飛ぶ車』に乗り込み門を出て、リリアンから聞いた道を数分走ってレリースについた。
「パパ、この村薄いけど瘴気が村全体を覆っているわ、この瘴気の元はどこからなのかしら・・・」
「そうだな、とりあえず後で突き止めるとして先ずは雑貨屋の息子さんの呪術の件をクリアーしようぜ」そう言って、目的の雑貨屋に行って、扉を開けた。
「いらっしゃい!なにをお求めですか?」と中年のオバさんが愛想良く接客に出て来た。
「いや、客として来たのではなく冒険者ギルドの依頼を見て来たんだ」
「息子さんの呪術の除術をしようと来たんだけど、息子さんはどんな状況なんだ?」
「ああ、あんたが息子の呪いを解いてくれるのかい?息子はこちらの部屋で横になっているよ、一応起きない様に手足を縛り付けて抑えている」
「ちょっと状態を見せてもらえるかい」と言って、隣の息子の部屋に入る。
「パパ、うっ!すごいわこれは・・・」ヒューイが小声で言うのもわかるほど凄い瘴気に満ちていた」
「村全体の瘴気はここが大元か?先ずはここを浄化してからだな、【浄化】」と呟き瘴気を浄化すると、横に寝かされていた息子が急に暴れ出した。
取り敢えず静かにしてもらうために、意識を奪い、彼を【鑑定】してみる。
『状態異常、『マンドラゴラの呪い』と『黒球根の呪い』の二重呪いにおかされています。解除方法は最初に『マンドラゴラの呪い』を解き次に『黒球根の呪い』を解きます。この順番を違えると2度と除術できなくなります』
ジンは息子の母親になぜこの様な状態になったのか聞くと、「ちかくの森の草原に薬草を取りに行ってくれと頼んで帰りが遅いので行ってみると、草むらに倒れている息子を発見した」と言うのだった。
背中に黒い刺青の様な痣が浮き出て、日に日に大きく成長して来ていると言うのでジンが背中をみると、背中一面近くまで黒い根の様な痣が広がっている。
この痣は『黒球根の呪い』による痣だと【鑑定】に出ている。
先ずは『マンドラゴラの呪い』の除術から始めなくてはならない。
ジンは<タブレット>の【GOD】に”『マンドラゴラの呪い』の除術方法は?”と打ち込みenterキーをポチった。
”『マンドラゴラの呪い』は神級ポーション『エリクサー』を数的飲ませばすぐに除術でき呪いは解ける”と出た。
ジンは息子の母親に言ってコップを持って来てもらい、『エリクサー』の液を数滴入れてそれを息子さんに飲ます様に言った。
意識がない息子の口を手で強引にこじ開けて、『エリクサー』の液を流し込むお母さん。
意識がない息子が激しく上下に動き、震え出したが間も無く落ち着いて、少し顔色が良くなった。
【鑑定】をすると『マンドラゴラの呪い』が消えて『黒球根の呪い』だけが残っている。
ジンは<タブレット>の【GOD】に”『黒球根の呪い』の除術方法は?”と打ち込みenterキーをポチった。
”『黒球根の呪い』を除術するにはカイワレ草の根を良く洗い、熱湯に浸して20分ほど湯がいた根を細かく刻み、茹でた熱湯と一緒にコップ半分ほど飲ませれば良い”
と出た。
ジンが<タブレット>【GOD】『カイワレ草の群生地は?』と打ち込みennterキーをポチった。
すぐ近くの森に群生しているので、ドールとヒューイに彼の様子を見てもらってジンはカイワレ草を取りに行く。
<タブレット>に【サーチ】させて緑の点滅のカイワレ草を束にして根から摘み取って、戻って来た。
息子さんのお母さんに「カイワレ草の根を良く洗って熱湯の中に入れて20分湯がいてくれ」と頼んだ。
30分ほどして出来上がり、ジンが根っこを細かくみじん切りにして、湯がいた熱湯の中に戻して、コップ半分のところまでお湯とカイワレ草の根を刻んだ物をいれ
意識を戻した息子にこのお湯を全部飲むように言った。
躊躇する様子なので母親に頼んで『マンドラゴラの呪い』を解いてこの呪いも解かないと死ぬと伝えた。
息子は目をつぶってごくごく全てを飲んだ。
2、3分してから手足が震えだし、背中が痒いのか盛んに手で背中を描こうとするので軽く手刀を首に当て、意識を奪った。
この部屋の瘴気が完全に消えて、村全体を覆っていた薄い瘴気も一緒に霧散して、彼の背中を見ると、黒い痣は綺麗に消えていた。
目が覚めたら、薬草を取りに行くときは注意しながら、言われた薬草だけを取って他のことはしない様に伝えた。
母親に聞いたら、取りに行った薬草の側にニンジンに似たマンドラゴラとニンニクに似た球根をかじって味見したらおかしくなったそうだ。
「今後は絶対にわからない植物には手を出さない様に息子に言い聞かせてくれ」と伝え納品書にサインをもらって清算金70枚を受け取って、ギルドに戻って行った。
「リリアン、これがサイン。お金は既に依頼主からもらったから」と言って”魔女の道楽”に戻って来た。
「パパ、呪術というより食べもに当たった感じだよね!なんだか変な感じだね」
「ヒューイもそう思うだろ?呪術と言うからには根をかじったぐらいでは呪いは受けないよな?今回の場合も呪いというのか俺にもわからん!」
「まぁ、今回は術を解除するということではなく薬で直せたから良しとしないとな」
そんな会話をヒューイと話していると、先ほど別れたリリアンが”店に飛んで来て「ジンさんいますか?あっ、ジンさん済みません緊急依頼で冒険者Bランクの人間がオークキングにやられて重症を負いまして、通常のプリーストでは直せない傷なのでお願いします」
「わかった!一緒にすぐ行こう」とジンは走って冒険者に向かった。
ヒューイも一緒にくっついて来た。
冒険者はカウンターの向こう側の医務室のベットで重症というか足を太ももから切られて大量の出血して意識不明の状態だ。
彼に【エクストラハイヒール】を掛けて足を再生させてあげ、まず血止めは終えた。
次に先ほど数滴使った『エリクサー』を彼に全て飲ませてあげた。
みるみる顔色が元に戻り、意識ももどった。
ジンに涙を流しながらお礼をいう冒険者。
「まだ少し横になっていた方がいいぞ」とジンはリリアンとヒューイを連れてカウンターに戻った。
「ジン様、本当に助かりました。この度のクエストとして金貨10枚、『エリクサー』の金額にはとても届きませんが申し訳ありません」
「いいよいいよ、助かってよかったよ。ありがたくいただくねカードに入れて」
と言って履歴を打ち込んでもらい金貨10枚をもらって下宿に戻って来た。
「ジン君、冒険者は助かった?」とイリーナ。
「うん、なんでもオークキングにやられたと言って、片足を付け根から切られていたよ。【EXハイヒール】と『エリクサー』で一命はとりとめたから大丈夫」
「割に合わない仕事だったわね」とイリーナが慰めてくれた。
「そろそろ晩御飯だから、食堂に行ってて、イリアが用意してくれているわ」とジンとヒューイを促した。
きょうは魚料理だ、ヒラメのバター炒めの様な白身の魚でバターが効いて美味しい。
パンはガーリックパンで食欲をそそるパンだ!
野菜サラダにジンはイタリアンドレッシングをかけて食べた。
「ねぇイリーナさん、植物に当たって体調をを崩しても呪いって言うの?」
「俺たちの居たところでは、食あたりと言って呪いとは言わないのだけど」
「そうねぇ、『マンドラゴラ』などは人型なので呪いと言う言い方をするわね」
「でも瘴気まで発する物なの?」
「瘴気って、ある種の病気を引き起こす毒気を指して言う言葉が語源だから『マンドラゴラ』や『黒球根』の毒気が強いと、瘴気は出るわね」
「そうなんだ、空気が汚れて周りにその瘴気が悪い影響を及ぼすこともあるんだね?ほっといたらあの村も『マンドラゴラの呪い』と『黒球根の呪い』にやられている可能性はあったのかもしれないな」
「通常はその瘴気は本人だけだけど、伝染する瘴気なら村人も同じ症状になって、苦しむことになった可能性はあるわね」
「イリーナさん、例えばゴブリンやオークのシャーマンが掛ける呪術の呪いはそれとは又違うわけでしょ?」
「そうね、シャーマン達が敵対する相手に呪詛を掛ける呪いは、一種の魔法的なところが有り、それを除術するのは呪詛を解読して、ジンの【イレージング】の様な
魔法とか強力な【浄化】をすることで除術できるわよ」
「【解毒(キュア)】とか【解除(ディスペル)】とかでは呪いは解けない?」
「シャーマンあたりの呪いならそれで十分だけど、呪いスキルを持つ魔物や人間の呪いはそれでは解けないと思うわ、おそらくそれよりはジンの特別なスキルの【アトラクト(引き寄せ)】とか【スティール(奪取)】の方が呪いには効くわね」
「確かに、何となくわかった!すごく勉強になったよ」
「でもジン君のスキルは特別でこの世界でできる人間は一人もいないわよ」
「強い念を持って訓練を重ねれば誰にでも出来る気がするけどなぁ?」
「はいはい、難しい話はそこまでにして、お母様ケーキタイムにしよう!」とイザベラが言って除術の話は打ち切りになった。
「ジン、今度の第二日曜日に潜るダンジョンをちゃんと調べて候補を出しといてよ」とイザベラが言うので、まだ第二日曜日まで一週間以上あるが、ケーキタイムが終わったら調べて置くと答えた。
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