第40話 ”ジンと5人の魔女達”のダンジョン初制覇

王族派ではない貴族派のリーマン伯爵領に有る”傲慢のダンジョン”20階層を踏破したジンは途中リーマン伯爵の騎士団に追いかけられたがジンの【幻覚魔法】で引き返して行った。


どうやら、ギルドマスターが伯爵に言ってジンを貴族派に取り込もうとしたようだが、その辺はジンは全く分かっていない。


追われたので逃げたという感覚でしかなかった。


翌日いつものようにジンは『剛力』で素振りを5000回して一人、シャワーを浴びて着替えて、降りていくと、イザベラが朝食を用意してくれていた。


「ああ、ジンおはよう!」


「おお、おはよう」とジンは昨日『地獄耳』を嵌めて聞いたイザベラの言葉を思い出して、一人で顔をあからめている。


「ジン、熱があるの?顔が熱っぽそうよ?」


「いや、素振りをしてシャワーを浴びたばかりだからだろう?」


ヒューイも降りてきて、「パパ、イザベラさんおはよう」と食卓にさっさと座った。


ジンがキッチンに作った【次元ストレージ】に入れてあるウィンナーソーセージを10本程炒めていると、イリーナ、イリアが降りてきて席に着いた。


イザベラが慌ててウィンナーソーセージを追加で10本出して炒めて紅茶をジンがみんなに用意して、パンはクロワッサン、野菜サラダにイタリアンドレッシング、スープは人参とジャガイモを千切りにバター炒めして、コンソメスープにしてジンが作ってだした。


今日は”魔女の道楽”は第二日曜日で定休日だ。


朝食を終えたら全員で冒険者ギルドに行って、レンブラント内の未踏のダンジョンを潜ろうと3人の魔女達が張り切っている。


ジンが事前に<タブレット>で調べて、ダルゼの北西でルーバレーの南西にあるコモドの街のすぐ側に未踏破の”新緑のダンジョン”があるのでそこに行くつもりだ。


コモドの街は昔イリーナは冒険者時代に行ったことがあるそうでダンジョンが有ることは知らなかったようだ。


ジンとヒューイとドールが【転移】し、イザベラ、イリーナ、イリアが『転移盤』を使って【転移】して6人は一瞬でコモドの街の入り口に着いた。


衛兵にカードを見せて、街に入りイリーナの案内でギルドに向かう。

受付でカードを出して「”ジンと5人の魔女”のパーティーが”新緑のダンジョン”に潜ります」と受付に述べてダンジョンに向かった。


街の門を再びでて3キロほど離れた岩場に入り口があった。

周りには数軒の屋台も出ていてすぐにわかる。


衛兵にカードを見せて、ドールが先頭で潜り始めた。


1階層は魔石で照らされていて明るい。


[ドールもヒューイにも今回は俺たちは脇役に徹して、イザベラやおば様たちに主役を務めて守ろう]と念話で伝えて有る。


ゴブリンの群れが20匹ほ来るところを、イザベラが覚えいたての【エアカッター】の連続で全て一人で打ち倒し、耳をジンがとって死体はそのまま放置した。


2階層はオークが15頭向かってくる。

イリーナの【ファイアアロー】とイリアの【エアカッター】で簡単に討伐して、イリーナの【次元ストレージ】に入れた。


3階層に行く手前で、先に潜っていた3人組の冒険者が休憩しているのでやり過ごしてジン達が先に行こうとした、ら文句を言ってくるのでジンが「ならこんなところで休憩せずに進んだらどうだ?まだ2階層だろう」というと、いきり立った冒険者の青年が殴りかかってくるが、その手を逆手に取って締め上げ、人を殴ろうとするぐらい元気あるならさっさといけよ、行けないなら俺たちが先に行く」と言ってプラチナカードを見せた。


やりたくはないが若者3人のCクラスで2階層辺りで休憩されていてはおば様がたのスキルアップにもならないと冒険者カードで黙らした。


流石に自分達より弱いと思った青年が遥か高みのSランクのプラチナなのを見て何も言えず黙りこくっていた。


「ジン、以外にえげつなくやるのね」とイザベラが言うので「のんびり3日ぐらい掛けているなら俺も文句を言わず待つけど、少なくとも3人には集中的にレベル上げをして欲しいから昼頃までをめどに進みたいんだ。あの程度の力でダンジョンは無理なんだよ」と冷たく言い放った。


「ジン君の言うとおりよ、イザベラ、あの坊や達の実力じゃダンジョンに潜ること自体が無謀なのよ、2階層辺りで引き返した方が彼らのためよ」とイリーナも手厳しい。


3階層は平原にリザードマンとリザードマンジェネラルがいる。


「相手も剣を持っているし、魔法を避けることもできる、イザベラ慎重にね!」とイリーナがジンが言いたいことを的確に言ってくれている。

流石Aランクの元冒険者だ。


イザベラが見えない【エアカッター】を多連で撃ち放った。


5匹のリザードマンの首をはねたがリザードマンジェネラルは剣で避けて無事だ。


イリーナが「イザベラこう言う時は一つは足をもう一つは首を狙うのよ」と見本を見せて、リザードマンジェネラルの首に2発、足元に2発【エアカッター】を放つ。


リザードマンジェネラルは刃の音を聞いて、首の2発を剣で防ぐが足の【エアカッター】は防げず倒れ込んでしまった。


そこにつかさずイリアが空中から【アイスアロー】を胸めがけて放ち串刺しにして刈り取った。


イリア叔母さんはリザードマンも7匹倒しておりトータル12匹とジェネラル1匹をイリーナの【ストレージ】に回収した。


4階層は砂漠ステージでジンが『空飛ぶ車』を出して皆んなを乗せて、砂上2メートル上を飛んで行く。


途中で<タブレット>の【サーチ】画面にサンドワームが2匹写り込んだ。


イリーナが【アースニードル】で2匹を串刺しにしてジンが【スティール】で回収する。


「ジン、今の魔法は?」


「ああ、俺のスキルだよ」


3人の魔女は「・・・」


さらにその先にサンドスコーピオンが1匹いる。


今度はイリアが【アースアロー】で頭と胴体にやを当てて葬った。


ジンが同様に回収して5階層に行く。


ボス部屋でドールが開くと、ミノタウロスが大剣を構えている。


イリアがすぐに【ファイアスプラッシュ】を顔にぶっつけ足を狙って【アイスロック】をかける。


イザベラが【エアカッター】で首を切り落とした。


流石のミノタウロスも3発の違った魔法を放たれて剣で避けることもできずに瞬殺されてしまった。


イリーナがストレージに回収して、宝箱を慎重に開けた。

中には『属性強化の杖』が入っていて、持つ人の属性をすぐに引き出しやすくする杖と出ていた。


イリーナがストレージに回収する。


「イザベラ、店に戻ったらジン君に【複製】してもらって金貨50枚ぐらいで店に出せば売れるわ」とイリーナが喜んでいる。


6階層は海のステージで、ここはドールとジンとヒューイが『竜宮の果実』をジンとヒューイが飲んで20メートル先に見えるクラーケンを【アイスアロー】2発で葬り、さらにケートスをドールが『雷剣』で切り倒して回収した。


7階層は平原ステージでワイバーン2匹がいる。


「イリア、【ファイアーアロー】で4枚の翼に穴開けて、私とイザベラで首を【エアカッター】で切り落とすわ」と的確に指示出してあっという間にワイバーンを討伐した。


8階層は密林のステージで高温多湿、女性には少し辛い。


大蛇が太い幹から紫色の舌を出して毒液を飛ばしてくる。


イザベラはシールドをして、イリアとイリーナはシールドの指輪で身を守りながらイザベラの【エアカッター】の3連発で大蛇を切り刻んで討伐した。


さらに先にはウォーターベアが1匹いる。


硬い毛に覆われてエアカッターが通るかわからない。


イリーナが【アイスロック】で足を氷漬けにして足止めをする間にイリアが【アースアロー】で目を狙って放ち、イザベラが【アースカッター】の魔力を最大限にして二人が同時に放った。


アースアローが目を串刺しにして脳まで達し、イザベラの放った【エアカッター】は見事に首を切断して回収した。


9階層は火山ステージで赤龍が火炎咆哮を放っている。

全員シールドをしているので問題はない。


イザベラ、イリア、イリーナ3人は魔力3倍のマジックアイテムを使いイザベラが【エアカッター】、イリアが【アースアロー】、イリーナが【アイスアロー】それぞれ今日一番の魔力を放った。


赤龍の硬い鱗も3人の300を超えるそれぞれの魔力で作られたカッターやアローに抗しきれず首は【エアカッター】で切り落とされ、胸は【アースアロー】の矢を受けて貫かられ、腹は【アイスアロー】で突き破られて死んだ。


10階層はラスボスでヒュドラがいた。


「イザベラ、順番に右の首から【エアカッター】で切り落として、イリア【ファイアボール】で切り口を焼いて再生を防いで、私は隙を作るために他の首の前でシールドをかけながら気を惹きつけるから」


「わかったわ、お母様」


「了解よ、姉貴」


息のあった返事が帰ってくる。


イザベラは動き回る首に慎重に狙いを定めて【エアカッター】を放って行く。イリアが【ファイアーボール】で切り口を焼いて行く。


そうして最後の9本目の首をキリトとして、焼いた時にヒュドロはドスンと横たわって動かなくなった。


イリーナが【次元ストレージ】に入れて回収し、宝箱を開けると『遠距離通話器』が入っていてイリーナが回収した。


1階層に転移盤で戻り、歩いてギルドに行って素材置き場に魔物を納品して行く。


コモドのギルドにダンジョンコアとジンが製作した地図、それと素材置き場から上がってきた納品書と一緒に皆のギルドカードを提出した。


「みなさんにドラゴンスレイヤーの称号が打ち込まれ、イザベラ様は晴れて

Aランクに昇格いたしました」と言って、イザベラにはゴールドカードの新しい冒険者カードが渡された。


「清算金は白金58枚、金貨85枚、銀貨90枚銅貨45枚ですが何方のカードにご入金しますか?」


「イリーナさんのカードに全て入れて」とジンが言ってイリーナのカードに入金した。


冒険者ギルドの食堂で5人で昼食をとった。


周りはゴツゴツした男性のパーティーばかりだが、ジンのところのテーブルだけ華やいでいる。


みんなが注目しているが中には昔のイリーナとイリア姉妹を知っている冒険者がいて、寄ってきて挨拶して席に戻って行った。


食事を終えて王都に【転移】で戻りイリーナから順番にシャワーとお風呂に入り着替えてお茶にする。


ジンがティラミスとチョコレートケーキにサバランと苺紅茶を出してワイワイガヤガヤ反省会をしながらケーキを美味しく食べた。


その日の夕食はイザベラのランク昇格祝いと初のパーティでのダンジョン制覇のお祝いで、ジンがお好み寿司を振る舞うことになった。


具はホタテ、赤貝、マグロ、キュウリ、カンピョウ等を大皿に持って、ノリと醤油にワサビを出して皆に食べ方を教えた。


全員に大好評で時々は皆で寿司パーティーをやるべきだとイリーナがいつもに増して饒舌だった。



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