第36話 試練のダンジョン
王宮でアリシアと並ぶデイマール王国のSランクの近衛騎士団長エドモンドとの模擬戦を一瞬で勝ち、王国筆頭魔法師と2人の魔法師相手の3対1の魔法戦も勝ったジンはSランク、ギルドマスターのアリシアに教えてもらったルルカの”試練のダンジョン”に潜ることになった。
ルルカの街に着いたジン達一行は、まず宿に入ってツインで1泊をおさえた。
そしてルルカの冒険者ギルドに3人で行く。
「すみません、"試練のダンジョン"に潜りますので場所を教えて下さい」といって、カードを提出した。
「このギルドを出て、南に5キロ程行った丘の中腹にあります。衛兵がいますので直ぐ分かると思いますよ!」
ジン達は【転移】でアッという間に"試練のダンジョン"の入り口に着き、兵士にカードを見せて入って行った。
中は魔石によって明るく照らされていて【ライティング】の必要は無い。
フォレストボア3匹が向かってくる。
ドールとヒューイで簡単に対応して回収した。
更にファングウルフが15匹が向かって来る。
ジンが『煌剣』を抜いて華麗に舞うが如く切り倒して13秒で殲滅して回収した。
2階層は平原にファングボア20頭が突進して来る。
【結界】で纏めて囲い、空気を抜いて気絶させた後、頸動脈を切り、血止めして回収する。
更に先のほうにはワイバーンが1匹居る。
『煌剣』を抜いて横に薙ぐと、離れているにも関わらず首が地面に落ちた。
「パパ、きょうは何か凄い気迫だね!一人でどんどんタオシテイルシ・・・」
「何時もお前達二人にまかせているのでたまには俺もと思ってな!」
3階層は海のステージでクラーケンが2匹、【サーチ】に掛かった。
”深淵のダンジョン”の15階層で手に入れた『竜宮の木の実』をヒューイとジンは飲んで、3人で潜った。
ヒューイも、ジンも魚のように自由にすごいスピードで動ける。
ドールは既にジンが改良して自由に水中で活動できるので問題はない。
ドールが1匹のクラーケンを斬り、魔石を取り出し殺し、もう1匹をヒューイが顳顬に【アイスアロー】を放ち、ジンが【スティール】で魔石を奪い取って2匹を【次元ステージ】に回収した。
さらに3人で潜って進んでいくと300メートル先にケートスが居る。
水中でも【身体強化】が効くのか試すとヒューイもジンもドールに負けない
スピードでケートスに迫った。
ドールが剣で、ヒューイが【アイスアロー】で攻撃して、ジンが【スティール】で魔石を奪い取り、回収して4階層に向かった。
ジンとヒューイは濡れた洋服を【ドライ】魔法で乾かして、4階層に行く。
4階層は鬱蒼とした森が続いている。
動くキノコが30体ほど向かってくる。
ドールが『雷剣』で全て倒して回収する。
フォレストウルフが20頭、ジン達を取り囲んだ。
ジンが20頭を全て【結界(バリア)】で囲い込み空気を抜いて、窒息死させて回収する。
さらに進むとサウンドラーが凄い低周波の音で鳴いている。
サウンドラーの音は下聴下音で通常の人には幻覚を見せたり幻聴が聞こえたりして冒険者の五感を著しく狂わし、捕獲して食べる恐ろしい肉食魔物だ。
3人とも耐性が有るので、問題なく動けている。
ヒューイが『神龍剣』で一気に首を切り落とした。
直ぐに【ファイアスプラッシュ】で血止めして【次元ストレージに回収する。
5階層は死臭が漂う洞窟のステージでドールが【ライティング】で照らしながら進む。
「ドール、前からスケルトンが30体ほど来るからヒューイが前に出て【ファイアボール】を放ってくれ!」
ヒューイが放つ【ファイアボール】は強烈で通常の冒険者の威力の5倍強はある。
スケルトンを全て灰にして消し去った。
更に後ろに蠢いていたミイラ20体も一緒に焼き払ってしまった。
スケルトンジェネラルだけが盾で防いで、斬りかかるが、『神龍剣』で斬り倒し浄化してしまった。
6階層に行く手前に罠が待ち構えている。床の一部を踏み込むと50メートル下の剣のヤイバが待ち構えている地面に落とされる。
3人は【飛翔(フライング)】でとび、宝箱を慎重に開けた。
『遠距離通話器』が1組入っている。【次元ストレージ】に収納した。
6階層の草原にトロールが3体いる。
3体ともに大剣を振り回して、その風圧だけでも凄い。
ジンが【アイスロック】を両足に放ち、動きを止めた。
ヒューイとドールが後ろに回り込んで、首を切り落として止血し、回収する。
7階層は岩場のステージで、岩竜が2匹岩を飛ばしてくる。
ドールもヒューイも【縮地】を使い岩竜が岩を吐き飛ばす瞬間を狙って首を切り落とした。
8階層にはグリフォンが1匹いる。
強力な嘴と爪を持つ恐ろしい魔物でランクもBランク相当の魔物だ。
ドールが剣で斬りかかるが『雷剣』がはいらない、直ぐに間合いをあけた。
ジンが『煌剣』で上段から物凄い斬撃を放つ!
声も出さずグリフォンの首が地面に転げ落ちた。
9階層に行くと、地竜が3匹にアウルベアが2匹いる。
ジンが「アウルベアは動きが素早い」といい、【アイスロック】で足を氷漬けにしてその間地竜を3人が瞬殺して行く。
次にアウルベアの首をドールとヒューイが刈り取った。
何とか10階層のラスボス部屋にたどりついた。
ヒュドラの上位種なのか、突然変異種なのか、首が9本ではなく12本のヒュドラがいる。
ジンが【鑑定】をするとヒュドラには魔眼を持つ首はないが、この上位種ヒュドラの10本目の首の奴が魔眼の持ち主だ。
ジンが、【エアカッター】を連写で12発を全ての首にめがけて放った。
ジンの強力な魔力ゆえできる芸当で、威力も半端ではない。
すぐさまヒューイが再生を防いで切り口を【ファイアスプラッシュ】を放って焼き、回収する。
宝箱には罠はなく開けると、『魔導銃』と【鑑定】に出た。
ジンは『魔拳銃』との違いが分からず<タブレット>の【GOD】で検索してみる。
”『魔拳銃』は思い描く弾丸を出しうる銃で『魔導銃』は思い描く魔法を放つ銃です。つまり、魔法を導き出す銃ということで『魔導銃』なのです”と表示された。
イメージ的にはわかった。ケースバイケースで選択していこうとジンは思った。
結構手強いダンジョンだったと思い転移盤で1階層入口に戻り、【転移】で急いでギルドの素材置き場に行き、納品書作成までギルド食堂で待っていると、酔った冒険者3人がドールとヒューイの美しさにジン達に絡んできた。
ジンが無視して強烈な殺気を放ち3人を気絶させてスルーする。
周りの冒険者が驚いて、受付の職員を呼ぶと慌てて男性職員が飛んできてジンに何をしたのか聞いてきた。
「俺は何もせんよ、こいつらが絡んできたから【殺気】を放っただけだぞ!」と冒険者カードのプラチナカードを見せた。
それでも、何か言いたそうなのでめんどくさいから『王族の短剣」を見せるとすごすご受付に戻っていった。
やっと納品書が出来たので納品書と地図、ダンジョンコアとカードを持って行くと先ほどのギルド職員が慌ててギルマスを呼びに行った。
2階から壮年の男性が降りてきて、「ルルカのギルドマスターをしているデールだ、君は?」
「俺か?俺はレンブラント王国冒険者のジンだ。アリシアに紹介されてここのダンジョンを踏破した」
「もしかして、昨日アリシア殿やエドモンド殿を破ったというジン君?」
「何だ、昨日のことがもう、ここまで広がっているのか?」と驚くじん。
「ええ、ギルドの連絡網は結構早く正確なんです。今回は”試練のダンジョン”踏破おめでとうございます。流石にダンジョンコアも大きいですね!今後ともこの国をよろしく」と言って握手を求めて2階に上がって行った。
「ジン様、我が国のSランクのお二人に模擬戦で勝ったのですか?」と受付嬢が驚いていた。
「パパは一瞬で二人に勝って、筆頭魔法師にも勝ったのよ」とヒューイが自慢した。
「どうりで未踏破のダンジョンを踏破する実力ですね、清算金は白金65枚、金貨80枚、銀貨90枚、銅貨70枚と高額になってます」
「カードに入れますか?」
「そうしてくれる』
ジン達は清算金を受け取り急いで宿に戻り、シャワーを浴びて夕食の食堂に向かった。
”試練のダンジョン”が思ったより手強かった為にいつもより夕食が7時をゆうに回ってしまっていた。
いつもは割とがらがらの時に夕食を食べるのだが今回はかなり混んでいる。
周りからヒューイが見られているのを全く無視してもくもく食べるヒューイ。
ジンは慣れないのか、下を向きながら食べた。
「パパ、私をみんなどうしてみるのかしら?それ程綺麗?」
「ああ、癪だがそれ程綺麗だ!」
食べ終わって、そうそう2階の部屋に行って落ち着くジンだった。
「ヒューイ別腹でケーキとコーヒーでゆっくりしようや、あんな食堂で落ち着いて食べてられねえよ」
「私の存在が、罪なのね!」とヒューイがおどけていう。
明日は『空飛ぶ車』で久しぶりに下宿に帰る予定だ。
ヒューイも疲れたのか、ベッドに横になりすぐに寝息を立て始めた。
ジンも明日のことを考えながらいつの間にか意識を手放して熟睡していた。
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