第33 護衛依頼−2
ランスでジン達の強さを知らされた他のパーティーが夜遅くまでジンの噂を話していたが翌日の出発が早いと皆そうそうに部屋に戻り次に向かう準備をした。
翌朝は少し早めに6時に朝食を済ませて、次のトロピアに向かって出発する。
前衛はジン達、中衛を”炎の怒り”のディアンヌ達、後衛は”雷鳴の轟”のグロス達が務める。
街を出てから、1時間ほどすると、上空にハーピーの群れ8匹が馬車を狙って来ている。
ヒューイとドールが【飛翔】で飛んで行き、剣で首を切り落として8匹を回収した。
暫くは何事もなく昼食休憩を途中にある村で休憩をとった。
ジンとヒューイは馬車の中でカツカレーを食べている。
「パパ、私このカツカレーが大好きよカレーにトンカツがよく合うわよね」とのたまう、ヒューイ。
”お前日本人か?っと突っ込みたくなったジン”
「ジン君いる?もう食べ終わったら、ドールさんと模擬戦させて」とディアンヌが外で叫んでいる。
馬車から顔をだし、ドールに相手するように言って、ついでに念話で[手加減しないで実力差を見せてやれ]と伝えた。
御者台からヒューイとジンが見守って、他のメンバーも興味を持ってみている。
グロスが開始の号令をかけて、始まると一瞬で、ディアンヌの剣が飛び、ディアンヌの腹にドールの剣が当たって終わった。
その剣の速さにジンとヒューイ以外は見えてなかった。
悔しそうに負けを認めるディアンヌ。
「ディアンヌ、あまりにもあっけない終わり方じゃねぇかよ、今度は俺が相手だ」とグロスが模擬刀を持って、ドールと対峙した。
開始の合図が有るかないかの瞬間コンマ5秒後にはグロスがうずくまって負けを認めていた。
普通のAクラスではドールの相手にはならない。
他の仲間達は一様に驚いて、改めてSクラスとの差を感じているようだった。
昼休みの余興も終えて再び走り出した。
トロピア迄あとわずかという時に、強盗団が30人程襲ってくる。
「ドール、ヒューイ、トロピアまで連行するから殺さないで手足の片側を切りおとせ」と伝え、ジンも参戦して、30人の片足、片手を全て切り落として止血し、【ダークジェイル】に入れてジンの馬車に繋いだ。
トロピアに入る時、衛兵に途中で強盗団30人に襲われた旨伝え、引き渡した。
衛兵達は30人の顔つきを見て、手配書と見比べて驚いていた。
指名手配で金貨30枚の報奨金が出ている連中だった。
衛兵がジンに書類を書いて渡し、「これを冒険者ギルドの受付に出せば報奨金金貨30枚をもらえます」と伝えた。
ジン達はとりあえず宿に入って、鍵をもらい、シャワーを浴びてからギルドにヒューイと向かった。
衛兵が書いてくれた書類を渡すと「指名手配の強盗30名を捉えて下さりありがとうございます。報奨金金貨30枚です」と言ってくれた。
一応カードを出して、入金して貰い、印字もしてくれた。
ついでにざっと掲示板を眺めてみた。
夕方なので、薬草の採取依頼とか農家の家畜の保護依頼とかしか残っていなかった。
宿に戻って、夕食まで待って階下に降りて来た。
夕食はファングボアの内臓の煮込み定食で味が濃くご飯が進んだ。
食後ヒューイと果実ジュースを飲んで喉を潤して、二人は2階に上がった。
翌朝は最後の目的地、王都シューベルに向かう。
朝食を食べ終えて、ジン達が先頭で動き出した。
ジン達は王都シューベルに着いたら、王都で1泊して、『空飛ぶ車』でダルゼにいったん戻ろうとヒューイと話しながらシューベルに向かって馬車を走らせている。
4時間ほど走って、途中の平原で昼食休憩になった。
馬車6台を全て【結界】で囲い、魔物が襲って来ても大丈夫なようにした。
【結界】の外側には6箇所ジンが作った【魔物避け薬】をふりかけてさらに安全をきした。
ジンとヒューイはきょうはスパゲティーのナポリタン4人前を二人で分けてたべ、ジンジャーエールを出して飲んだ。
サラ辺りがじっとヒューイ達を見て何を美味しそうに食べて飲んでいるのか観察しているがジンは勿論わかっていながらスルーして食べた。
午後から少し速度を早め王都シューベルに3時着を目指した。
何事もなく順調に来ていたが、ワイバーンが3匹空から馬車を見つけて襲ってくる気配だ。
ジンは『魔拳銃』を取り出して、当たって爆発する破裂弾をイメージして3連発放ってこめかみに当てた。
弾が当たると爆裂して、ワイバーンの頭半分が吹っ飛んで、3匹とも落ち
てきた。
他のパーティーの連中は何をしたのかさっぱりわからないがジンが何かをワイバーンに放って頭を砕いたのは確信していた。
その後は問題なく、王都シューベルに着き、城門の兵士に商隊の護衛依頼書と冒険者カードを提示して、簡単に街に入れた。
依頼書に3パーティはサインをもらってギルドに向かった。
ジン達だけは素材置き場に向かいワイバーン3匹を納品して納品書を貰い、それと護衛依頼の完了書を受付に出した。
「ジン様、護衛依頼金が金貨30枚、ワイバーン討伐が金貨120枚、合計金貨150枚をカードに入れますね」と言ってカウンターの奥に消えた。
「ジン様、カードに全額入金しました、またのお越しをお待ちしております」
ジン達は”炎の怒り”と”雷鳴の轟”と冒険者ギルドで別れた。
「ジン君、機会があったらまた一緒に冒険者を、それまで少しはレベル上げしておくわ」とディアンヌ。
「おお、またな!」とジンはギルドを後にして、宿を<タブレット>に料理が美味しく部屋が綺麗な宿と【GOD】に打ち込んでenterきーをポチった。
『ギルドを出て左に50メートルほど行った、左側の”流れ星”と云う宿がお勧めです』と出て、左前方を見ると看板が見える。
ジンとヒューリはドールを御者台に乗せ、馬車で行って、宿に入った。
「1泊ツイン一部屋予約できる?」ジンが聞いた。
「はい、大丈夫ですよ。1泊銀貨1枚です。夕食は5時から10時迄ラストオーダーが9時半で、朝食も5時から10時で9時半がラストオーダーです」
「それと、馬車を厩舎に泊めたいのだけどお幾ら?」
「水と餌を自分で世話すれば無料です」と宿の娘さん。
「それじゃ、1泊ツインで、カード払いで」とプラチナカードを出すと驚いて、「お客様Sランクですか?」
「そうだよ、何か?」
「Sランクの方は半額サービスしておりまして、銅貨50枚で結構です」
「あっ、良いよ!その代わり夕食だけ3人前頼むよ!朝食は普通で良いからね」と銀貨1枚をカード払いにした。
「211号室になります」と言われて、鍵を受け取り2階の211号室に上がった。
部屋は広く、お風呂もついている。
「ヒューイお風呂があるぞ、先に入れよ」
「パパは?」
「ヒューイの後に入るから」そう言って、ジンはベッドにゴロンと横になった。
「パパ、入って良いよ。おふろ上がったから」
ジンが入って、行き違いでヒューイが出てヒューイはベットに横になったら
あっという間に寝息が聞こえる。
まだジンが着替えている最中に、数秒で寝てしまった。
”疲れたんだろうなぁ!あいつはまだ赤ちゃんだもんな”と思いながらお風呂に入り、湯船に浸かった。
ヒューイの為にも、もう少しゆっくり街を散策したりしながら野宿でもいいから、景色を楽しみながら進もうと思うジンだった。
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