第24話 王様との謁見

今日は”魔女の道楽”の増築新規開店の日だ。


ジンが作成した『マジックテント』と『魔物避け薬』の売れ行きが気になるところだが、ジンは自分の部屋に閉じこもって、今まで古代人の遺跡等で手に入れた古代語で書かれて居る資料や本それと設計図を読み解いて過ごすことにしていた。


それとヒューイに渡すつもりの『魔剣』作製の詰めをする予定だ。


ドールとヒューイはお店を手伝うべく、朝食を食べたら張り切って店に出て行った。


ジンがまず目にしたのは、昨日隠し戸棚に入っていた『空飛ぶ乗り物』の設計図面とその理論の説明の解説文だ。


ジンは一応前世ではゲームのソフト会社に入社したばかりの理系の人間だったので、飛行機がなぜ飛ぶのかの基礎理論はなんとなくは理解していた。


その基本になっていたのは確か”ベルヌーイの定理”とか言っていたと理解していた。


ジンは思い出すために<タブレット>の【GOD】で”ベルヌーイの定理”を記入してenterキーをポチって見た。


①運動エネルギー+ ②位置エネルギー + ③圧力エネルギー + ④熱エネルギー=(一定)

式でよく見た形は

ρu2/2 + ρgh + p =(一定)


そんな事が表示されたが、ジンはあまり理解できなかった。


ただ揚力によって飛行機は飛ぶのだということぐらいは知っていた。


図面を見ると四輪の自動車の様な絵が書かれており、読み込んでいくとレベル7以上の魔石を2個使用して揚力を生み出している様だ。


運転席のハンドルの部分に魔石を設置する場所が有り、道路を走るときは翼は無く、今でいうオスプレイの様に垂直上昇から水平飛行に移行する乗り物の様だ。


地上を走るときはレベル5のもう一つの魔石を使用して走る様だ。


全部で3個の魔石を利用して陸と空を走る乗り物の様だ。


今のジンには『フジ』がいて亜空間を利用した快適な馬車があるので時間が有れば作ってもいいかな?程度に考えて次の資料を見た。


魔法解析書なる本を読みだした。


ジンは7特性の魔法を一応使え、ほぼ3/4の魔法がレベル測定不能の上限値迄到達して居るが全く未知の魔法が有るのか読み込んでいった。


そんな時、イザベラがジンの部屋に来て「ジン、『マジックテント』が大人気であと1セットしかないのよ、大至急20セットほど作り込んでくれない?凄い売れ行きよ」


「残って居る『マジックテント』を至急作業場に持って来て魔法を使って作り込むから」


ジンは新たに作った、作業場に向かいイザベラから『マジックテント」を受け取った。


【複製】を唱えてマジックテントを持ちながら発動すると、目の前には全く同様の『マジックテント』5張りが出て来た。


【複製】魔法を繰り返すこと4回。


20張りの『マジックテント』を作り出して、イザベラに渡した。


さらに、フード付きのマントを先日洋服屋から購入していたのでそのマントに、耐熱、耐寒、耐物理攻撃をレベル70程つけて『マジックマント』を作り、【複製】で10着を作りイザベラに説明してから渡した。


「イザベラ、魔物避けの薬はどんな感じ?」


「魔物避けの薬は後2本で無くなるわ!」


「20本ほど作り込むか?」とジンが言う。


「お願いできる?」


ジンは1本サンプルを店から持って来て【複製】を4回ほど繰り返して、散霧器付きの瓶詰めを20本作って店に出した。


イザベラは『マジックマント』、『魔物避け薬』、『マジックテント』の1個を店の奥の棚に見本として置いておくことにした。


「イザベラ、なんだかジン君に全ておんぶにだっこ状態で魔道具だって殆どジンが作った物ばかりが売れて居るわよ」とイリア叔母さんが痛いところを突いてくる。


イザベラもこのところ店番ばかりしていたため、魔道具をこしらえたのはジンが狩って来た岩竜の鱗をこなにして防護力を強化した盾1個だけだった。


ジンは表通りに出て、どの程度客が入って居るか見て見るとかなり評判がいいのか、いつもの数倍の人だかりがいまだに続いている。


「イザベラ、ポーションなどは薬屋で買うよな?魔道具屋では余り売らない?」


「そうね、薬屋のテリトリーを犯すからポーションは扱わないわ、あと武具に関しても、何か魔法絡みの剣とか盾なら扱うけど武道具店との絡みが有って難しいわね」


「それじゃ、魔法師用の杖とか魔法書とかマジックアイテムとかだね?結構限られてしまうな・・・」


「その辺を母が帰ってきたら企画を考えて3人でどんなものを今後出していくか考えるわ」


「ダンジョンのお宝は余りにもレア過ぎて高価だしなぁ」とジン。


「ジンが余り悩まないで、充分やりすぎるぐらい貢献してもらっているから・・・、本来の冒険者が錬金術師になってしまってるものね。申し訳ないわ」


「考えて作るのが嫌じゃないからいいよ」


「ジン君そろそろお昼よ、食堂に行ってて」とイリア叔母さん。


「ヒューイ、食堂に行こう!昼飯食ったらドールと一緒にギルドに行こう」


「はーい、やはり魔物を狩っている方が楽しいわ」


昼食はファングボアの味噌生姜炒めとパンにスープとサラダだ。


店はドールに任せイリアとイザベラも一緒に食事した。


「ジン君きょう姉が帰宅したら3人で店の方針をもっと具体的に打ち合わせするわ、ジン君が払っている建て増し部分の名義の件もあるじゃない?」


「名義変更して構わないよ、たいした金額ではないから下宿代の前払いという事で今度暇な時に名義変更しに商業ギルドに行きましょう」


「いゃ、そんな訳には行かないわ、私とジン君が世帯を持つなら別だけど、イザベラが怒るしね!」


「ななんでそこに私が出てくるのよ!」


「俺ははなから、イリーナさんとイザベラにあげるつもりだから、好きにしてください」


「午後からヒューイとドールとで冒険者ギルドに行って来ます」


ジンは昼食を食べ終え、ギルドに向かった!


「リリアン、へルカスの近くにダンジョンが有るよね?そこに潜って来るよ!」


カードを出して履歴を打ち込んで貰って、3人で【転移】と【MAPing】を併用してへルカスの2キロ程南にある"青のダンジョン"の入口に降り立った。


兵士にカードを提示して中に入って行く。


ドールが【サーチ】と【ライティング】を掛けながら1階層に降りた。


フォレストウルフの群れ15匹が現れ、ドールが『雷剣』で、ヒューイは【ファイアスプラッシュ】で、ジンは素手で3人3様で瞬殺して行く。


全て倒し、【次元ストレージ】に回収して2階層に向かった。


2階層にはマナバイソンが5匹、フォレストボアが3匹いた。ドールがマナバイソン5匹を簡単に首を切り落とし、ヒューイは素手でフォレストボアの頭を握り潰して倒した。    ジンが全て回収して3階層に向かう。


3階層は密林のステージで、ジャイアントスネークが待ち構えていた。


ジンが【エアカッター】を連発して6分割に切り刻み殺した。


更にスフィア・フロッグが毒液を飛ばしてくるがドールが頭を切り飛ばし殺した。

更に進むとリザードマンが5体いて、剣を構えて向かってきたがヒューイが【ファイアスプラッシュ】で一気に瞬殺した。


4階層は海のステージだ!


ヒューイが龍になって、ドールを乗せ、ジンは【飛翔】で海上約1メートル程を飛び、前方にいたケートスにジンが【アイスアロー】を3発放ち、浮いて来た所をトドメを刺して回収した。


更に行くと、クラーケンが2匹もいた!


ジンが2匹とも【アイスアロー】で殺し回収した。


5階層はボス部屋で扉を開けると岩竜の上位種だろうか、通常の2倍程も有る岩竜が凄い勢いで岩を飛ばして来る。


ヒューイが【瞬足】を使い、岩礫を避けながら、真横に行って一気にひっくり返し、柔らかな腹を上にしてしまった。


ドールがまず首を切り落とし、腹を切り裂いて内臓を出して焼いてしまった!


ジンが【次元ストレージ】に回収して、そばにある宝箱を開けた。


中には丸いペンダントが付いたネックレスがあった。


【鑑定】をすると身に付けた人が窮地に陥り死亡する危険がある時、身代わりに一度だけなるネックレスと出た。


【次元ストレージ】に回収して"魔女の道楽"にあげようとジンは思った。


6階層は火山が激しく噴火して硫黄の匂いが凄い。


グロテスクなキマイラが1匹居る。


口からは炎を吐いて威嚇して来る。


ジンが『煌剣』を抜いて上段から剣を一閃すると、未だ5メートル以上離れているにも関わらず、キマイラの首が綺麗に切られて落ちた。


更に進むと40メートルを超える赤龍が3人に向かって火炎咆哮を放って来た。


ジンが『煌剣』で切って霧散させ、ドールが硬い首を一撃で切り落とした。


7階層にはワイバーンが群れていた。    全部で8頭の群れだ!


「ヒューイとドール、三人で先ずは一斉に翼を切るか穴を開け、飛べなくしてから、頭を狙って狩り取ろう!」


三人は瞬時に【瞬足】を使って片っ端から翼を切り、次に首を切り落としていく。


ヒューイは頭を握り潰していた。


8階層は遺跡の跡のステージにガーゴイルが3匹潜んでいた。


通常の剣では剣の方が折れてしまうが、ドールの剣もジンの剣も普通の剣では無い。


ドールが一瞬で羽と首を切り落とし、ヒューイも羽をもいで頭をちぎって殺し、ジンは掌底破を放って腹に穴を開け狩り取った!


9階層は青々とした湖にシー・サーペントが1匹、ケートスが1匹居る。


ジンが【闇魔法】の【ダークハンド】を使い両方の魔物を一気に湖岸に引っ張りこんで1匹はドールがもう一匹のケートスをヒューイが殺した。


遂に10階層ラスボスの部屋に来た。


扉を開けるとヒュドラが9個の首を擡げて威嚇してきた。


ジンは【結界】で一気に9個の首を囲い中の空気を一気に抜いていく。


最初は炎を吐いたり、毒ガスを吐いたりしていたが、数分で9個の首はダラリと垂れ下がり更に数分すると胴体が倒れ、全く動かなくなった。


宝箱を開けると『遠距離通話器』が一対入っていた。

ジンが回収して、ダンジョンコアも回収した。


王都迄3人は【転移】してギルドの素材置場に回収した魔物を全部出して食堂でヒューイとジュースを頼んで待つこと40分、納品書が出来たので、リリアンに地図とダンジョンコア、納品書にカードを提出した。


「ジン君やり過ぎよ!一人で4箇所のダンジョンを踏破するなんて・・・」


待っていると「はい、精算金は白金35枚、金貨84枚、銀貨95枚、銅貨72枚よ!どうする?カードにいれる?」


「うん、お願いします」


「カード金額が白金291枚、金貨183枚、銀貨182枚、銅貨283枚になったわ!はい、カードをお返ししますね」


ジンとヒューイ、ドールは"魔女の道楽"に戻って来た。


ジンは『身代わりのネックレス』と『遠距離通話器』のコピーを作っておこうと思い【複製】を作って【次元ストレージ】にワンセットずつ入れた。


「イリア叔母さん、ダンジョンで手に入れた『遠距離通話器』と『身代わりのネックレス』店に出すなら使って!」とイリアに渡した。


イリアは余りにも二つのアイテムが高価な物なので、イリーナが帰ってから話し合うことにした。


そんな時イリーナが帰宅した。


「ジン君は戻っている?」


「さっきダンジョンを踏破して戻って来たわ」とイリア。


「部屋に居るのかな?」


「どうしたの?お母さん」


「遂に王様が動いて、どうしてもジン君に会わせろとうるさいのよ!」と言って、イリーナはジンの部屋をノックした。


「ジン君、ちょっといいかな?」


「どうぞ!」


「きょう、学院に王様と侯爵様がきてね、明日王宮にきて欲しいそうよ」


「俺の方には特に会う用事は無いけどな!」


「でも、何時までも会わないとうるさいからさっさと会ってさっさと帰ってくるよ、イリーナさんの立場も有るだろうからね」とジン。


「私の立場なんて、あと数日で学院を去るから考えなくて良いわ」


「イリーナさん、例の王都の地下に広がるダンジョンの件は言わない方が良いかな?言って、俺を益々頼りにされても嫌だけど、何かの拍子に図書館では無い所から入口が開いて王都に見た事も無い強力な魔物が出てきたらそれこそ不味い気がするけど」


「何かそんな兆候が有るの?」


「いや、はっきりとは言えないけど、古代人の資料を整理していたら、王都の地下の古代大ダンジョンの事が書かれていて、魔界と次元が繋がった、はるかいにしえの時に魔界の魔物を地下に閉じ込めて封印したと書かれていたんだ!」


「この事は俺の一存で知らんぷり出来ないんじゃない?」


「そんな資料があったのね?それじゃ私も一緒に行くわ、王様と侯爵様には事実だけを伝えて余り大騒ぎにならない様に言いましょ!」


ジンはダンジョンを踏破したあと、古代人の資料を全て整理し、あれ程高い文明を誇っていた古代人がなぜ滅びてしまったのか色々調べていたのだ。


イリーナに話しをして少し気が軽くなったジンだった。


夕方を食べ終え、皆でお茶にしながら、"魔女の道楽"に関して話し合いになった。


まず増設した家屋の名義変更を明日王宮の帰りにイリーナとジンがして来る事になった。


家のお金金貨40枚はイリーナがジンに渡した。


『マジックテント』や『マジックローブ』は月末に売り上げの10%をジンに渡すという事に決めた。


『エリクサー』は3ヶ月に1回程度オークションに出す。


売り上げの半分を店の収入にする。


そのほかのマジックアイテムは内容によるのでイリーナがその都度ジンと相談して決める事にした。


きょうジンが手に入れた『遠距離通話器』は店とジンとのホットラインとして使う。


『身代わりのネックレス』は白金2枚で店に置いてみる。


今後イリーナとイリアが店をメインにして、イザベラは魔道具を作る側にある程度重点を置く。


一応店としての方針を決め、ジンは明日の為に一応持っている中で一番礼服に近い洋服を用意して、明日のために早目にヒューイと寝る事にした。


翌朝、朝食を食べたジンはイリーナとヒューイ、ドールを連れて王宮に向かった。


城門で、衛兵にハリス侯爵様と王様に呼ばれて来た冒険者のジンと王立魔法学院教頭のイリーナだと言って、門で待つ事10分程、執事長が慌てた様子で迎えに来て、後に続いた。


王宮の客間に通され、ジンとイリーナ、ヒューイが座って待っていると、王様とハリス侯爵、それと宰相と騎士団長4人が入って来た。


「ジン君、急に呼び出してすまない、君にどうしても王様を紹介したくて呼び出した」


「ジンとやら、儂がこの国の王、ギルバート・フォッサ・レンブラントだ。この度は忙しい所すまなかったな」


「冒険者をしております、ジンです。お初にお目にかかれて光栄です。こちらは私の仲間のヒューイとドールです」


「ヒューイです」


「ドールと申します」


「ジン君そうそうだが君をSランクの冒険者にする事が決まった。昨日もダンジョンを踏破したと聞くが?」


「はい、王都では無いですが踏破して来ました」


「ジンよ、未だSランクの者が誰一人としてなし得てないダンジョン踏破を4箇所も踏破した者がAランクのままと言う訳にはまいらんのじゃ、分かってくれ」


「分かりました、慎んでお受け致します。ただし王様、余りに国に縛られたくはなく、勿論王様や侯爵様に何が起きた時には真っ先に駆けつけますが、のんびりと冒険者を楽しみたいのでその辺は大目に見て頂きたく存じます」


「おお、そうか!儂や侯爵に何か有ったら駆けつけてくれるか」


「勿論です。私はこの国が好きですし、侯爵様の人柄も好きです。そんな侯爵様が王様を立てて頑張って居らっしゃるのを私も応援致します」


「そうか!かたじけない。余はお主と知り合えて嬉しいぞ!」


「王様、ついては大変重要なお話が有ります」とここでイリーナが発言した。


「今から話すことはここに居る人間だけに留めておいて欲しいのですが、実は先日ジン君が王立図書館の地下道の調査に行ってわかったことなのですが、この王都の下には巨大なダンジョンが存在しております。たまたま図書館の書庫が満杯になり地下に書庫を作ろうとして、そのダンジョンの入口を間違って破壊してしまい、調査に行ったAランクの冒険者が12名も命を亡くしました。

ジン君が彼らを収容して戻って来ましたが、そのダンジョンは実は古代人が魔界の魔物達を封印して閉じ込めて居る場所だったのです。ですので王立図書館の書庫は別棟に新たに建てて地下には絶対に近ずかないようにして下さい」


「今はどんな状況になっておるのじゃ?」


「はい、私が強固な壁で【シールド】を掛けて尚且つ【隠蔽】を掛けて隠してあります。もし、破られればドラゴンクラスが中間クラスでそれよりも遥かに強い魔界の魔物がこの国を蹂躙してしまいます」


「ドラゴンが中クラスか?」


「はい、私が【サーチ】した限りではドラゴンの力を1とするなら5ないし6レベルの魔物がかなり居ます。古代人が滅びた要因にもなっています」


「古代人の滅亡がそのせいなのか?」


「それが全てでは無いですがそれもかなりの部分で影響しております」


「ジンはその事をどうして知り得たのじゃ?」


「実は古代人関係のダンジョンや図書館の地下にあった資料を読んで分かりました」


「お主、古代語を読めるのか?」


「はい、書けるし読めるし訳せます」


「心配なのはこの事を反王族派が利用しようなどと思ったら大変な事になります」


「あのクラスの魔物を倒せる冒険者は今いる中で一人か二人居るかどうかでしょう」


「この事は王都の冒険者ギルドも知りません、言わないで塞ぎましたので!」


「あいわかった!王都で地下をやたらと掘らないように気を配ろう!お主が侯爵と知り合いて本当に良かった礼を言うぞ」


「イリーナ殿、今後もジン君を頼んだぞ」


「はい、私らが頼っているくらいですから!!


「きょうは貴重な情報をジン君から聞けて良かった、ジン君礼を言うぞ」


「こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」


王様との謁見は和やかに終わり、ジン達は帰りに商業ギルドに寄り、名義変更をした。


イリーナさんは学校に行き、3日程早く退職する為に最終的な手続きと荷物を取りに行った。


戻って来たジンは、ドールに【付与魔法(エンチャント)】を施して【飛翔(フライング)】を可能にした。


更に水中でも自由に動けるように両足からマナ(魔素)を放出して推進力を得られるように改良した。


ドールと作業場から出て来たジンは、ヒューイを呼んで彼女にミスリル製の魔剣『神龍剣』を持たせた。


『神龍剣』は相手の魔法、スキルを奪い取り、己にその力を宿し、切れない物など無い正に神の剣だ。


「パパ?こんな凄い剣を私に?」


「あぁ、神龍のお前が持つ以外誰が持つ?」


ジンはヒューイとずっと一緒に戦いながら彼女のスタイルを観察していて、いつも魔物の頭をちぎったり、砕いたり破壊力だけで倒していたが、相手が同じ腕力の魔物に出会った時に力勝負になってしまう。


彼女は魔法も使え、動きも神級なので今後は技でも相手を瞬殺出来るようにしてあげたかったのだ!


その為、【エンチャント】や【万物創造】などのレベルが上がった時にヒューイが寝てから部屋でコツコツと彼女宛の『神龍剣』を作り込んでいた。


「パパ、私に剣を教えて!」


「あぁ、先ずは昼飯にしようや」


イリーナさんも帰ってきて、晴れて"魔女の道楽"のオーナーに返り咲いたので、ボルシチにピヤロシキ、野菜サラダにイタリアンドレッシング、マナバイソンのステーキで5人の新たな門出を祝った!


イリーナとイリアにはエールを出してあげた。


結局午後から店を臨時休業にして5人でワイワイガヤガヤ騒いで楽しく食事をした。


イリーナさんもイリア叔母さんもジンに抱きついてキスの雨だ。しかも、最初はおでこやほほ、最後の方は唇にしてくる始末。


ジンは熟女の胸の柔らかさに気持ちよくなり、されるがままになっている所に、強烈な口ずけをイザベラからされる。


"私だって負けてないから"って聞こえたような気がしたがいつの間にか、エールを飲まされ酔ってしまったジンには届いたかどうか・・・。

午後も既に3時を過ぎ、4時近く、ヒューイとジンが剣の訓練を始める。


「ヒューイ、『神龍剣』は相手の魔法、スキルを奪うが、今回は俺の【エンチャント】のスキルでお前に俺の剣技のスキルを全て付与する。剣神、剣聖、剣豪の全ての人の剣捌きを今伝授するぞ」


「はい、パパお願いします」


ヒューイの頭の中に膨大な今迄の剣神、剣聖、剣豪と言われたあまたな人達の剣捌きがコピーされて行く。


「ヒューイ、じゃ、始めるぞ!」

と言って【縮地】で一気に間合いを詰めたジンが光の速さで切り掛る。


ヒューイが軽く合わせて、袈裟に切り返す。


それをジンが弾き返し、小手を狙って来る。


それを直ぐに交わして抜き胴でジンを攻める。


ジンがそれを防いで間を取り、刀を引いた。


「ヒューイ、卒業だ!もう完璧に出来るようになっているよ!」


「パパのお陰、ありがとう」


「それと、これ【次元ストレージ】の腕輪、変身する時魔剣が邪魔になるからその中に入れておけよ」


これでヒューイもジン同様本当の意味で神龍になった!


あとはどこかでドールの【飛翔】と水中での動きを検証したいな!と考えているジン。


夕食はイリーナとイリアが二日酔いなのでさっぱりした食べ物という事で、ざる蕎麦をジンが作って出した。


また、これが大好評で二日酔いの二人がお代わりまでして来る始末、ジンとヒューイはそうそう2階に上がり寝る事にした。


夜はイザベラが家と店全体を【シールド】して強盗等が入らない様にしている。


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