第15話 趙謖と登山と三国志
四人の英雄たちは疲れていた。
馬括と趙謖は舌戦で、信景と四郎信頼は決して勝つことの出来なかったシミュレーションゲームで。
馬括と趙謖はその後、信景と四郎信頼がプレイしていた2020年最新版の○○の野望を自分たちも楽しんでいました。
馬括と趙謖は少し抜けているところがあって、自分の欠点を認めない癖があるだけで、机上の作戦を語らせたら天下に響く才能の持ち主でした。
なので、この手のゲームとの相性も良かったのです。
彼らは信景や四郎信頼に引けを取らない程度の力をすでに身に着けていました。
とりわけ、馬括の持つスキルの完璧の知恵は外交で圧倒的な力を発揮しました。
それだけでなく、将としても文官としても高い能力を示し、欠点がないといういみの「完璧」を見事再現していました。
趙謖の持つスキルの丞相の勤勉も素晴らしい能力で、コンピューターの攻勢をことごとく跳ね返す段取りを実現していました。
こうして、四人がシミュレーションゲームで遜色ないくらいになった時、モブ神がある提案をしました。
「今度はこのゲームを皆さんでプレイしてみましょう」
モブ神が提示したゲームは同じコー○ー〇クモ社の開発した、三国志です。
これを見た趙謖は体に電流が走ったが如く衝撃を受けました。
それもそうです。
この三国志はまさに趙謖が生まれ、そして処刑された時代の中国のゲームです。
感慨深いのも至極当然のことでしょう。
馬括も趙謖ほどではないですが、やはり自分の国のゲームなので胸の高鳴りを感じたようです。
そんなこんなでゲームが始まりました。
まずは四人がそれぞれプレイヤーになり、好きなプレイヤーで戦ってみます。
なお、既に○〇の野望である程度慣れているので、コンピューターの難易度は極級でスタートです。
ちなみに一回目の勝利者は四郎信頼、ついで趙謖、馬括、そしてびりは信景でした。
戦況を開設すると、四郎信頼は南部をどんどん獲得し、豊かになったところで戦を巧みに行い、他の三人を圧倒しました。
趙謖は人材の多く、しかも自分が所属するプレイヤーを選んだため、シナリオが立てやすくどんどん勢力を広げていきました。
流石に戦上手の四郎勝頼には及びませんでしたが、うまくプレイしたようです。
なお、彼が戦闘する時に、他の三人が「とざん!トザン!!登山!!!」と連呼して挑発しましたが、史実の彼は別に登山家ではないので、あまり影響はありませんでした。
ただし、彼の持つスキルである丞相の勤勉が何度も働き、彼が怒りで我を忘れることがないように何度もストップをかけていましたが。
馬括は自分の故郷である大陸北部のプレイヤーを選びました。
彼は三国志に関する知識を持っていませんでしたので、その分不利になりました。
スキルの完璧の知恵が働きましたが、北部は人気が高く、奪い合いになります。
いわゆる中原という概念が中国人にはあり、馬括の時代は特にその思いが強かったため、洛陽など中心の都市に対する思い入れの分だけ勢力拡大が遅れてしまいました。
ラストになったのは信景です。
彼は北東の地域を基盤にしましたが、内政を中心にしていたため勢力の拡大がおくれたことと、馬括や四郎信頼と勢力図が重なってしまい彼の苦手な戦闘が多くなり最初につぶれてしまいました。
まあ、彼らは○○の野望を数え切れぬほどにプレイしたので、今更誰が一位だ誰がビリだというこだわりはあまりありませんでした。
それにしても、なぜモブ神はわざわざ三国志を用意したのでしょうか。
それは大きく理由が三つありました。
一つは○○の野望が日本を舞台にしたいわば信景、四郎信頼になじみのゲームだったように三国志はその地図を見ると馬括や趙謖になじみがある事。
なので、彼らにもなじみの場所で訓練を受けて、経験値を稼いで欲しいと考えました。
二つ目は日本のような小さな国ではなく。大陸という広い地図で戦うことに慣れて欲しいというのがあります。
外交なども、土地が広く勢力が多ければそれだけ多彩な方法があるからです。
そして三つめは趙括にくいを残さず異世界に行ってもらうために、北伐を徹底的に研究して欲しいと考えたからです。
次回はそのあたりのお話をします。
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