第12話 打倒うつけのシミュレートの結果は?
馬括と趙謖が死闘を繰り広げていたころ、信景と四郎信頼もまた熱い論戦をしていました。
ただし、彼らの論戦は共通の敵であるうつけとどう対峙し、彼の勢力に勝つかにエネルギーが集中していました。
彼らは賢いことに2020年のパソコンを使い、ある方法で自分たちの時代をシミュレートしていました。
そうです、コーエ〇テク〇のシミュレーションゲームで当時の状況を再現していました。
彼らが最初に行ったのは、生前の自分たちが行ったことをゲームで行い、どこまで現実の結果と異なるかを調べました。
流石にゲームは娯楽用なので戦国大名だった彼らにとってとてもやさしい結果、つまり勝利を得ることが出来ました。
これで、一時的にはとても喜んでいた信景と四郎信頼でしたが、モブ神の一言で吹き飛んでしまいました。
その一言とは「これ、子供のお遊戯だから!」
少し、解説をしたいと思います。
信景や信頼の時代、これほど数字ばかりの遊戯はありませんでした。
あるのはせいぜい大雑把な地図と凸印の軍勢、あとは大人たちが頭の中で戦局を考えていました。
それが、この現代のゲームだと全て数字で表され、地図もより詳しくなっています。
でも、それを見て、有利になるのは信景たちだけではありません。
いつけの英雄もまた、このゲームに合わせて思考を変えてくるでしょう。
つまり、コンピューターの思考ではうつけを再現できません。
そうしたことも含め、モブ神は彼らに分かりやすく、これは現実とは違う遊戯だと看破して見せたのです。
お遊戯と言われた以上、信景や四郎信頼も黙ってはいません。
では、もっと厳しい条件でシミュレート?をしてもらいましょう。
モブ神は彼らの願いを聞き入れ、ゲームのAIをより賢明なものに変えて、彼らを訓練します。
何度も何度もゲームを行い、信景も四郎信頼もどんどん勝率が高くなりゲームがうまくなりました。
ちなみにゲームの傾向ですが、信景は生前得意だった内政、外交、茶器などの名品集めをさらに無駄のない効率的な形で行えるようになりました。
なにしろ、ここでは酒も女もないので、いわゆる暗君コースである酒池肉林に落ち込むことがありません。
環境がよければ、信景は伸びる子(?)です。
彼は自分の領地を豊かにし、そしてバランスの取れた軍事を整え、京に近いということで朝廷や幕府とのやり取りをより精密に行うことが出来るようになりました。
四郎信頼はゲームをやっていくうちに無理な増税を控え、軍備を益々精強にし、部下の裏切りを監視して国を強くしていきました。
そして、さすがと言うべきか戦の際には機動力が強い馬を縦横に用い機動力をフルに発揮する戦術を磨きました。
それと同時に、敵の城や砦、拠点などを攻める際には以前にはなかった慎重さを身に付けました。
信景は本来殿様意識の強い人物で、同じ立場の人とのやり取りは苦手です。
なので馬括や趙謖との相性は必ずしも良くないのですが、四郎信頼とは相性が凄く良いみたいです。
モブ神の分析によると、信景は昔、味方に武神のような人物がいて軍事をすべて彼にまかせていました。
そして、彼自身も弓の使い手であり、決して軍事に暗いわけでも戦を軽んじてもいませんでした。
しかし、武神のような頼りの味方が病死し、その後は朝廷や将軍家と付き合う機会が多くなることで武から遠ざかったようです。
武神亡き後の彼の家には物足りない武者ばかりとなったのも彼が武を軽んじる理由になったようです。
でも、四郎勝頼はかつての頼もしい武神を思わせる素晴らしい軍略の持ち主でした。また四郎勝頼も女神から四郎の名前をもらったことの意味を理解していたため、信景に敬意を抱いていました。
ゲームでの連携も含め、お互いを認め、補うことが出来るこの二人はとても良い相棒でした。
信景は上機嫌になり、モブ神と四郎信頼にこう言いました。
「四郎勝頼殿とわしが前世で組んでいれば、天下泰平も夢ではなかったであろうな。ハハハッ」
四郎信頼も「左様ですな、今から信景殿と前世に戻ってやり直したいものです」
和やかな空気の中、モブ神は彼らのゲーム特訓で最後の試練を与えることにしました。
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