第6話 四人目の英雄、女神の涙を見る
さて、ここは異世界の天界。
今まで三人の悪名英雄たちが異世界の女神と出会った場所。
今、その女神は泣いていました。
そして、四人目の英雄が彼女の前に出現します。
英雄は驚きました。
彼から見れば、この世の者とも思えぬ美しい女性が泣いているのです。
「どうなされたのですか、お嬢さん!」
この言葉を聞いて益々女神はおいおいと泣き崩れました。
どうもこの異世界の女神は四人目の英雄の生き様を見て、さらにこうして会ってみても素敵な人物だと再確認することで、その悲劇に心打たれてしまったようです。
それまでの三人の悪名英雄とはえらい、扱いの違いです!
どうにか落ち着いた女神は四人目の英雄に走馬灯のようなまぼろしを見せます。
すると、英雄は再び悲惨な過去を思い出しました。
「御屋形様!御屋形様!!」
英雄が声をかけているのは布団で苦しんでいる甲斐の虎です。
「わが死を隠せ、そしてお前が家督を継ぐのだ」
そして舞台は変わって英雄の領地の金山
金山の坑道の奥深くに山師の声が聞こえます。
「もうこの鉱山の金は期待できません」
領地の農民たちの声も聞こえます。
「負担が大きすぎます、年貢を減らして下せえ!」
英雄曰く
「今は大事な戦いの最中だ!辛いだろうが我慢してくれ」
そして時は経ち、先ほどまでいた山師たち、農民たちがそれぞれ武器を持って英雄とその家族に攻撃を仕掛けてきます。
そして家族は天目山という所に逃げ、そこで最期を迎えます。
英雄はと言えば、もはや家族を助ける力も、立ち上がる事すらできずに敵の兵に討ち取られました。
英雄のまぼろしは続きます。
火事によって燃える寺とそこで手を組んである言葉を叫ぶ僧侶の姿が見えました。
その言葉は
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
英雄は正気に戻ると、女神も涙を拭いて彼に言葉をかけます。
「武運拙く散った英雄よ!あなたにもう一度機会を与えます!」
「もし、あなたが泰平の世のために戦う意思が残っているのであれば、私の世界でその力を奮ってみなさい」
「言い遅れましたが、私はあなたの世界とは別の世界の女神です」
「もちろんあなたが信仰する神々とは友人ということになります」
英雄は少しの迷いがありましたが、彼女の言葉と涙を見て、嘘やまやかしの類ではないと直感で判断しました。
そして質問します。
「これから私はあなたの為に何をしたら良いのですか」
女神からすると、前の三人があまりにも俗物だったので (笑) この言葉もしびれてしまいました。
「あなたにはこれから元の世界に戻り、私の世界をよくするための勉強をしてもらいます、そこにはあなたの他に物わかりの悪い三人の英雄がいます」
「彼らと共に自身の過去の行いを学び、そして次の機会に活かしてください、あなたは性根がとても良いのできっと良い未来が待ってるはずです」
なんかこの女神さん、四人目の英雄がよほど気に入ったのか、前の三人と明らかに扱いが異なります。
さて、この後別の世界の女神はお気に入りのこの英雄に何をプレゼントするのか?
それは次回のお楽しみ。
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