星の呼び声
ドックン、と何かの心音が聞こえた。
ドックン。荒れ狂う雷が都市の崩れた建物の避雷針へ落ちる。
ドックン。避雷針によって伝わる放電は都市全体に駆け巡った。
ドックン。そして、ソレは都市の端へ。
ドックン。目指すは、白き剣。
ドックン。目指すは、人の意志。
ドックン。
「!」
シゼンは地中を伝って都市全体に響いた落雷の電流が、クライシスを伝ってコアに流れ事で、全身を刺激され意識を取り戻した。瞬間、【クライシス】の右のデュアルカメラに赤光が強く蘇る。
だが現状は人が感じるには、あまりにも早く、そして絶望的であった。
警報がコアに鳴り響く。強く、焦っているように、目の前の“
【オルトデューク】の
聞こえている――貴方を“クライシス”と認めよう――
『ACT3 IFAL』
シゼンの瞳には、眼前のメインモニターには、その単語だけが表示されていた。
【オルトデューク】の黒腕は間違いなく【クライシス】を捉えた。避けられない距離、避けられない態勢。どう考えても破壊の未来しか見えなかった。
『ようやく、わかった……』
その通信は背後で
躱された――
ノートは驚愕に眼を見開く。黒腕は【クライシス】の倒れ込んでいた建物を貫き、溶解している。
しかし、そこに【クライシス】の姿は無かった。外したのではなく、外されたのでもなく、躱された――
『オレが、
攻撃動作中の無防備な【オルトデューク】の背へ、【クライシス】は勝敗の決した一刀を振り下ろした。
星が揺らぎ、一滴が世界へと落ちる。
白銀の軌跡と共に――
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