第42話 大好きな人から求められるのって凄い嬉しい

 どうしよう? 


 このまま流れでヤッたら避妊出来ない。

 初めてだからこそ、大好きで大切なアイリだからこそ……



 キスをやめてアイリから離れると「どうしたの? 」と、不安そうに聞かれる。


「えっと、ゴム持ってなくて」


 ここでコンビニとかで買ってくるのも何かなぁ

 せっかく良い雰囲気だったのに



「持っ……アタシあ……るから」



 タオルケットを少し上げて、浴衣から、はだけた胸を隠すアイリ。

 片手でモゾモゾと枕の下をまさぐる。



 これってネット画面で見たことあるやつじゃん!

 デフォルメされた蝶が書かれているお洒落な小袋を手渡してくる。



「なんか、強力イボ付きとか強力スキンとか……変なのだと怖いし」

「そ そうだよな」



 どうしよう! アイリが持ってるのは良いとして、その変なの蓮に上げちゃったよ!!

 野々宮さんと使ってたら2人の中がまずくなる??

 さっき蓮と野々宮さんからRINEがいくつか入ってたけど、それだったら……考えるのが怖い



「颯太とこういう事も……あるかなって、あ…あお。な、なんでもない」


 恥ずかしそうにタオルケットを両手で掴むアイリに我慢できない


 優しくアイリの頭を支えながらベッドに寝かせ、お団子ヘアーにしてるヘアゴムを取る。


 アイリの長い髪がサラサラと綺麗にベッドに広る。

 柔らかくサラサラなアイリの髪が好きだ。

 思わず顔をうずめてしまう。

 シャンプーのフルーティな甘い匂いが鼻腔も心もくすぐってくる。 



「俺、初めてだから、分からなくて」


 いまさら格好つけても仕方ない。

 アイリは無言で優しく俺の頭を撫でてくる。


 外はいつしか大雨になってるのか、窓に打ち付けられている雨音が耳に入る。



「颯太の好きにして良いんだよ」


 その言葉にまたスイッチが入ってしまう。

 アイリの細く綺麗な指に、しっとりとした透明感のある手の甲に、程よく柔らかい二の腕にキスをしていく

 誰にもアイリを取られたくなくて、俺のだって印を付けていきたい


 キスマークを付けたがる女の気持ちが少し分かるかも


 手を繋ぎながら首すじ鎖骨、のどや胸に唇を押し当てていく

 ボディークリームなのか、シャンプーと同じフルーティな甘い匂いが理性を壊してくる


 少しずつアイリの肌がピンクに染まり吐息が激しくなっていく


「んっ」

「ごめん。痛かった? 」


 胸を触るも加減が分からない……強く触りすぎたか


 小さくアイリは首を振った


「大丈夫だよ」


 俺を安心させるようにオデコにキスをしてくれた


「大好きな人から求められるのって凄い嬉しい」


 ギュッとアイリに抱き締められると、めちゃくちゃ満たされる、心から


「「大好きだよ」」


 同じタイミング、同じ想い、同じ言葉を紡ぎ出す。

 いつしか雨音は気にならなくなった。俺とアイリ以外は全部が消え去った世界。

 アイリに触れられていたいし触れていたい

 静かさと激しさが混同しては溺れいく感覚


 












「目、覚めちゃったの? 」


 耳元で囁かれる

 甘く、くすぐったいアイリの声


 腕枕なんて初めてしたけど、腕と胸にかかるアイリの重みが心地良い


「って、アイリは起きてたのか? 」

「アタシもさっきまで眠ってたよ」


 クスクスと笑い出すけど何か面白いことでもあったか?


「初めて颯太の寝顔見ちゃった」

「イビキとかやばかった? 」

「ぜんぜん。可愛い寝顔だった」

「なんかハズっ。喉かわいた」


 起き上がろとするもアイリに腕をガシッと掴まれる


「アタシも喉かわいた」

「じゃ。一緒に行くか」 


 って、ここアイリの家なんだけどな。




 キッチンでグラスにスポドリを注いでアイリに持っていくと窓際で背伸びをしていた。



「もう6時なんだね」


 バスタオル巻いてるし後ろ姿だけど目のやり場にこまる。



 アイリを後ろから抱き締めながらグラスを手渡した。初めてアイリと話したときは、こんなことになるなんて夢にも思わなかった。

 まさか一緒に朝を迎えるなんて……初めての相手がギャルなんて


 アイリの肩に顔を乗せると優しく撫でてくる。

 人から頭を撫でられるなんて、子どもの時しかなかったけど、これはこれで何か良いな。


「めちゃくちゃ晴れてんな」

「だね。夕べは凄い雨だったのに」


 窓から見下ろす街並みは、大雨が降ったせいもあって

 街全体が洗い流され、大掃除が終わったあとみたいにピカピカと輝いて見えた



「今日も暑くなりそうだね」

「まぁ、真夏だし」

「だね。ってか眠っ」



 ソファーへと向かっては横になるアイリ



「風邪引くぞ」

「ん」



 ソファーで寝転びながらアイリは両腕を伸ばしてくる


 はぁ〜 可愛すぎて、ホントしんどっ!



 セッ○スをしたからといって世界が変わるわけじゃない

 変わるわけじゃないけど、今まで以上にアイリが愛しく思える。


 そんなアイリを抱き締めながら2人ソファーで微睡まどろみ始める。

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