お待たせ!
緑生い茂るモミオカ公園の入り口で、ンベルは空を見上げていた。
(青い空が素敵。これは遊ぶのにぴったりな日だよ! ……外で遊ぶよね?)
すると、電動ローラースケートに乗ったホノカが明るい笑みを浮かべながら大きく手を振り、ンベルにゆっくり近づいていく。
「お待たせ―!」
ンベルはホノカに顔を向け、尻尾をくねらせながら微笑み、両手を振る。
「お待たされましたー!」
ンベルが口元に装着している薄青色の透き通ったマスクに視線を向けるホノカ。
「あれ、そのマスクどうしたの?」
「んー、なんか熱が出ちゃって。
「え、風邪?」
「かなー?」
「いや……風邪なら連絡してくれればよかったのに。また今度遊べばいいんだしさ」
「これくらい平気だよー。ちゃんとお薬も飲んできたし!」
「うーん、心配だなぁ……」
「早くホノカと遊びたかったからイイの!」
ホノカは眉尻を下げながらゆっくり手の平をンベルの額に当てた。
ンベルは目を見開きながら尻尾を立てる。
「ミャッ!? なにしてるの!?」
「え、どれくらい熱あるのかなーって気になったから、
「ちょっと体がぽかぽかする程度だから平気だよー! しゃごっ、しゃごっ!」
ンベルは顔をしかめながら数回咳をする。
そして、眉尻を下げて心配そうに見つめるホノカ。
「本当に大丈夫?」
「今のは、喉になにか絡んだだけ!」
「それならいいんだけど……」
一方、ホノカとンベルの近くを通りかかる通行人は、横目で彼女たちを眺めながら歩き続けた。
(あの子、
そして、ンベルは顔の近くで手を叩き、小首をかしげる。
「それよりっ! 今日はどこに行くのー?」
「うーん、そうだなぁ……静かそうなヒガシヤマ通りいく?」
「うん、いいよー、いこいこー! ……もしかして、ボクを気遣ってくれた?」
ホノカはこわばった笑みを作り、遠くの空を見つめた。
「えっ、いやぁ? なんとなくだよー」
「しゃごっ、しゃごっ! まぁ、ホノカが決めたところにボクはついていくだけだよー。さぁ、出発ー!」
二人は、首から下げているペンダント型端末に触れ、眼前に長方形の映像を映し出す。
それから、映像をつつくと、二人はほぼ同時に道路に移動していき、電動ローラースケートで道なりに進んでいった。
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