第7話 廃病院の鏡4

 五條美湖ごじょうみこ中野沙衣なかのさいは放課後、一緒に下校する。

 2人は五條家に立ち寄ると運転手付きの車で廃病院へ向かう。

 廃病院に着くと美湖には強い怨霊の気配を感じる。

 沙衣には廃病院が黒いもやに包まれて見える。

 沙衣は言う

   「これやばいよ。」

   「逃げるの。」

   「冗談。」

沙衣はミネラルウォーターのペットボトルから水を出し、水の刀を作る。

 2人は廃病院の中へ入っていく。

 中には物が焼けた跡や壁に落書きがある。

 そして、2人には多くの霊が見えるが無視して奥へ進んでいく。

 沙衣は美湖に言う

   「もうすぐ怨霊のテリトリーよ。」

   「分かるの。」

2人とも霊を見えるが見え方が違っているのだ。

 まだ、奥のトイレについていないが髪の毛が襲ってくる。

 沙衣は水の刀で髪を切り裂いていく。

 美湖は髪の毛に巻き付かれるが体を光らせて陽の光で焼き切っていく。

 2人は髪の毛と戦いながら奥のトイレに近づいていく。

 すると髪の毛が引いていく。

 トイレの入口まで来ると青白い腕が2本出てくる。

 沙衣は水の刀で切りつけるが切ることができない。

 右手が沙衣の首を絞める。

 そして、左手は美湖の首を絞める。

 美湖は陽の光を両手に集中して伸びてきた腕を焼く。

 左手は怯みトイレに戻っていく。

 沙衣は集中し水の刀を硬化させ右腕を切りつける。

 右腕を切り落とすことはできなかったが、深手を負わせる。

 右腕も沙衣を放しトイレに戻っていく。

 沙衣は美湖に言う

   「刀が通用しないかもしれないよ。」

   「その時は陽の光で弱らせてから戦お

    う。」

   「分かったわ。」

2人は簡単な作戦を練る。

 トイレに入ると鏡から青白い女の怨霊が出てくる。

 美湖が手をかざし陽の光を怨霊に当てる。

 沙衣は怨霊が陽の光にひるんだすきに水の刀で上段から切り下す。

 怨霊は傷つくが傷は浅い。

 沙衣はさらに左手に陽の光を集中し怨霊の腹に打ち込む。

 怨霊は後ろに下がるが、そこには美湖が待ち構えている。

 美湖は陽の光を怨霊の背中に右手の掌底しょうていで打ち込む。

 さらに怨霊に沙衣が迫り水の刀で袈裟切りにする

 傷はすぐに戻るが怨霊の気配は弱くなってきている。

 沙衣は、水の刀で切り続ける。

 美湖は陽の光を怨霊にあて、怨霊に反撃の機会を与えない。

 最後に沙衣が怨霊を真っ二つにすると怨霊は霧散する。

 美湖が沙衣に言う

   「ずいぶんてこずったわね。」

   「水の刀が通用してよかったよ。」

2人は一息ついて廃病院から出てくる。

 美湖は樹に電話する

   「除霊すんだわよ。」

   「ご無事ですか。」

   「大丈夫よ。」

   「分かりました、解呪をします。」

樹は一哉かずやに連絡することにする。

 樹の連絡で一哉は五條家に来る。

 離れで樹は呪具で一哉の頭を5回叩く。

 樹は一哉に言う

   「解呪しました、もう大丈夫です

    よ。」

   「ありがとうございます、あの子にも

    礼を言っていたと伝えてくださ

    い。」

一哉はホッとする。

 沙衣は今回の仕事の報酬の多さに驚く

   「こんなにもらっていいの。」

   「正規の報酬よ。」

   「どういうこと。」

   「私たちプロじゃないでしょ。」

   「高校生だからね。」

   「だから、安い報酬で仕事している

    の。」

   「なんか不公平ね。」

   「仕方ないわ。」

沙衣は何となく納得いかない。

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