第4話 廃病院の鏡1

 浪江なみえ市には、心霊スポットとして有名な廃病院がある。

 過去には数十人の焼死体が見つかったいわくつきの場所である。

 この廃病院では奥にあるトイレの鏡に自分の姿を映すと1週間後に死ぬ呪いにかかるという噂がある。

 昔、テレビのオカルト番組で鏡に姿を映したアイドルとカメラマンが1週間後に急死した事件も起きている。

 そのため、有名だが恐れられ気軽に近づくものはいない。

 酒に酔った大学生が酒の勢いを借りて2人、病院の廃墟に入り込み奥にあるトイレの鏡に自分の姿を映す。

 2人は酔いがさめた後、怖くなり1週間目になった日、友達の一哉かずやに協力を頼む。

 3人で廃病院の鏡を割ろうと考えたのである。

 一哉は2人の必死のお願いに断ることができず、一緒に行くことになる。

 3人は恐る恐る廃病院の中へ入っていく、何も起こらす奥にあるトイレにたどり着く。

 一哉は来る途中に拾った鉄パイプでトイレの鏡を割ろうとする。

 すると鏡に青白い顔をした女が映る、目は恨めしそうに一哉を睨んでいる。

 驚いた一哉は鉄パイプを放り出して逃げ出す。

 友人2人も同じように逃げだす。

 息を切らしながら廃病院の外に出ると3人は鏡を割ることは諦める。

 そして帰ることにする。

 その時、制服姿の女子高生にすれ違う時に

   「あなたたち呪われているわよ、助か

    りたかったら五條ごじょうを訪ねなさい。」

と言われる。

 3人は、気持ち悪く思い、助言に耳を貸すことはない。

 その夜12時頃、2人の大学生の下宿の床に黒い穴が開く。

 2人は同じ経験をする。

 黒い穴から青白い手が出てくる。

 さらに手はズルズルと這い出てきて黒い髪の頭が出てくる。

 2人は恐怖のあまり固まる、そして逃げ出そうにも体が動かない。

 それは這い出し2人に向かってズルズルと這いずってくる。

 手が2人の足に触れる、全く体温が無いように冷たい。

 それは裸の全身を現す、青白い女である。

 女はズルズルと2人の体を這い上がって来る。

 ついに女の顔が見える、感情の無いうろのような目をしている。

 2人の顔は恐怖に歪む、そして魂を吸われるように倒れる。

 既に2人は息をしていない。

 一哉は翌日、2人と連絡が取れなくなる

 一哉は警察に連絡すると駆け付けた警察官によって2人が死んでいるところが発見される。

 一哉は、女子高生の言葉を思い出し、浪江市にある五條家を訪れる。

 家長代行の五條樹ごじょういつきが応対に出る

   「助けてください、このままだと殺さ

    れてしまいます。」

   「落ち着いてください、何がありまし

    たか。」

   「浪江市にある廃病院の奥にあるトイ

    レの鏡に姿を映してしまったので

    す。」

樹は冷や汗が出てくる、廃病院の鏡のことは、家長の五條美月ごじょうみつきから聞いて知っていたのだ

   「そうですか。」

   「今日、友人が2人死んでいるのが発

    見されました。」

   「あなたはいつ鏡を見たのですか。」

   「昨日です。」

   「いつ死ぬのですか。」

   「6日後です。」

   「分かりました。」

この時、声がかかる

   「あなた、やっと来たのね、あと2人

    はどうしたの。」

   「死んだよ。」

   「間に合わなかったのね。」

   「樹、彼は私のお客さんよ。」

   「美湖様、これは危険です、控えてく

    ださい。」

美湖はふくれて奥へ入っていく

   「彼女は何ですか。」

   「美湖様は家長の娘です。」

   「そうですか。」

   「話を戻しましょう。」

   「はい。」

樹は説明を始める

   「これは怨霊の呪いです。」

   「怨霊ですか。」

   「まず怨霊を除霊してから、解呪をし

    ます。」

   「はい。」

   「依頼料は払えますか。」

一哉は依頼料を聞いて驚く。

 そして父親に事情を話し依頼料を払えることになる。

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