父親が同じ私たちは霊でこづかいを稼ぐ

ぽとりひょん

第1話 六郎邸

 中野沙衣なかのさいのスマホに五條美湖ごじょうみこから連絡が来る

   「明日、仕事あるから寄って。」

   「わかった。」

翌日の放課後、沙衣は美湖と一緒に帰るが五条の家に行く。

 そこで運転手付きの車に乗り込む。

 沙衣は美湖に聞く

   「今日はどんなところ。」

   「幽霊屋敷よ。」

   「強いのいないでしょうね。」

   「強くても問題ないでしょ。」

   「命がけだから割に合わないわ。」

   「そればかりは自立しないとだめ

    ね。」

2人が話しているうちに目的地に着く。

 彼女らには霊を見ることができる。

 六郎邸ろくろうていを前にして、沙衣は強力な霊の気配を感じる。

 沙衣は美湖に

   「運転手さんに車で離れているように

    言って。」

   「分かったわ。」

美湖は運転手に車ごと離れているように言う。

 2人が門を開けて入ると2人の霊が向かってくる。

 沙衣と美湖は手のひらをかざすと陽の光が手のひらから出て霊を消し去る。

 沙衣はミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開けると水の刀を作り出す。

 美湖は沙衣に言う

   「あなたのそれ便利よね。」

   「私の力だから仕方ないでしょ。」

   「龍神の巫女の力かあ。」

   「そうよ。」

2人は緊張した様子もなく歩き、玄関にたどり着く。

 沙衣は水の刀で玄関ドアを突き刺す。

 玄関ドアに人の顔が浮かび消える。

 美湖が沙衣に言う

   「乱暴ね。」

   「手っ取り早いでしょ。」

   「ドアに穴が開いたわ。」

   「不可抗力よ。」

   「なるべく壊さないようにしまし

    ょ。」

   「なるべく努力します。」

美湖は借りてきたカギを出す。

 彼女がカギを外しドアを開ける。

 玄関から廊下にかけて4人の霊がいる。

 沙衣は玄関を駆け上がり刀で4人の霊を切る、霊は霧散する。

 美湖が沙衣に言う

   「靴を脱いだらどお。」

   「脱がないほうがいいよ。」

   「どうして。」

   「逃げることになるかもしれないか

    ら。」

   「そんなに強いの。」

美湖は霊を見ることができるが霊の気配の大きさまではわからない。

 2人は居間に入ると中央に霊がおり、美湖が手のひらをかざし陽の光で霊を消し去る。

 沙衣は隣の台所を見ている。

 美湖が聞く

   「強い気配のがいるの。」

   「違うけど悪意を感じるよ。」

沙衣は、ゆっくりドアを開けると包丁が飛んでくる。

 包丁は壁に刺さる

   「大した歓迎ぶりね。」

沙衣が言うと

   「もう少しで死んでいたでしょ。」

   「かわせたわよ。」

   「嘘ね。」

美湖は決めつける。

 台所に沙衣が飛び込むと黒い靄を纏った悪霊が包丁を2本宙に浮かせている。

 悪霊は2本の包丁を沙衣に投げつける。

 彼女は1本をかわしもう1本を水の刀で弾き飛ばす。

 そして、悪霊に突っ込み上段から切り裂く。

 沙衣に切り裂かれた悪霊は霧散する。

 美湖が沙衣に言う

   「いつも無茶するわね。」

   「ちゃんとかわしたでしょ。」

沙衣は平気なようだ

   「次の部屋にいるわよ。」

   「強い気配ね。」

   「帰るなら今のうちよ。」

   「さっさと片付けましょ。」

美湖に撤退の文字はないようだ。

 いったん廊下に出て、居室のドアの前に立つ。

 美湖にもこれはやばいという感じが伝わってくる。

 沙衣がドアを開けるがすぐに閉める

   「あれの相手いやだ。」

   「どうしたのよ。」

   「マッチョのパンツ1枚のおじさん

    よ、セクハラよ。」

   「たとえ変態でも倒さないとお金は入

    らないのよ。」

   「でも、キモイ。」

   「なら私が行くわ。」

 美湖が入っていく、沙衣は仕方なく入る

 部屋の中には黒い筋肉をまとった悪霊がいる。

 美湖が手をかざし陽の光を当てる。

 悪霊はふらつくが、すぐポージングして健在であることを誇示する

   「ちょっと無理。」

美湖は自分では歯が立たないことを感じる。

 沙衣は水の刀を構える、悪霊はサイドチェストのポーズで迎え撃つ。

 彼女は上段から切りつけるが、黒い筋肉には歯が立たず刀は折れる。

 折れた刀は悪霊の下に水たまりを作る。

 彼女は2本目のペットボトルの蓋を開ける。

 悪霊はポージングを解く、その瞬間、悪霊の下から水のとげが突き上げ悪霊を串刺しにする。

 沙衣は再び水の刀を作り、悪霊を切り裂く、悪霊は霧散する。

 美湖が言う

   「これでおわりね、良かったわ。」

   「良くない、あれが夢に出てきてらど

    うするのよ。」

   「除霊すればいいでしょ。」

   「筋肉おやじよ、いやでしょ。」

   「私に男の好き嫌いはないわよ。」

   「嘘つき、全部ふっているでしょ、知

    っているのよ。」

   「五条にふさわしい男じゃないとだめ

    よ。」

   「私たちのお父さんはよかったの。」

   「そうじゃないかな、顔覚えていない

    けど。」

   「私も覚えていないよ。」

2人は父親が同じなのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る