第13話
ゆっくりゆったり時間が過ぎているように見える。
時間の流れもきっと違うのかもしれない。
今日の給食は、カレーライス。
金曜日はなぜかカレーライスの確率がすごく高い。
作りやすいからかな。
一週間の仕事の〆にカレーライスを持ってくる栄養士さんの気持ちってどうなんだろう。
最後の最後に作りやすい献立で〆る?
でも結局、綺麗に残さず食べる人なんてイマドキノ小学生には希少価値だから、食器洗いが「厄介」だとしか思えないのだけれど。
金曜日にカレーライスって何か決まっているのかな。
そう言えば、うちのお父さんは、高校卒業してすぐ、海上自衛隊に就職したらしい。
日本の海上自衛隊では、「金曜日がカレーライスの日」と決まっているそうで、全国どこの所属になっても海上自衛隊では、「金曜日はカレーライスの日」なのだそうだ。
まさか、うちの町の給食センターにも「金曜日は、カレーライスの日」にしなければいけないような謂われが存在したのだろうか。
あるわけないか。 あってたまるかだよね。
平日のしかも週末の金曜日にカレーライス。
ただ単なる偶然か。
何にしても、カレーライスは好き。
ご飯もいつもより多め。
付け合わせのマカロニサラダもいつもより多めに装ってくれるけど、食べ盛りの私たちにはうれしいメニューなのだ。
デザートの果物のヨーグルト和えの中に刻んだイチゴが少しだけ入っていただけでも、女子から歓声が上がる。
そりゃそうだ。イチゴって女子のテンションを上げてくれる食べ物だもの。
ちょっぴりでもすごく満たされた気分。
飲み物は、牛乳。
牛乳を苦手な人がすごく多くて、何か混ぜないと飲めないとか言う人もいるから、最近は、最初からフルーツ牛乳やコーヒー牛乳の日も多くなった。
牛乳の代わりにチーズが添えられたり、何かと「飲む牛乳離れ」が多くなったと思う。
だけど、カレーライスには、やっぱり白いストレートの牛乳が一番合うと思う。
私は、家でもカレーライスの時は白い普通の牛乳が飲みたい。
給食のカレーライスは、一年生も食べるからあまり辛いカレーライスにはできないけど
うちのカレーライスは、お母さんが休みの日に作ってくれる「手加減なし」のカレーだからほんとに食べているうちに汗がふつふつ出てくるほどに辛い。
世の中的には、お年寄りは、あまり辛いカレーライスって食べないものらしい。
ところがうちの年寄りたちは、ひいおばあちゃんもみんなお母さんの作るカレーライスが好きだ。
一心不乱にばくばく食べる!
「九十九歳になってもこんなに刺激的なカレーライスを食べるなんて、うちのひいおばあちゃんすごいよね?」
って、お母さんに言ったら、
「ひいおばあちゃんの長生きの秘訣は、このカレーライスなのよ」
なんて、下唇に力を入れてあごをくいくい上げて笑っていた。
お母さんが得意になっている時の変な癖。
下唇に力を入れて、あごをくいくい上げて笑ってみせること。しかもちょっと斜めに。
これが出ると、
(あ、お母さん、調子に乗っちゃって)
と、笑ってしまうんだ。
うちのカレーライス、そういえばしばらく食べていない。
今朝、すき焼きなんて頼まないで、カレーライスにして!と言えば良かった。
そんなこと言ったら、お兄ちゃんが、
「肉食いたかったの!」
と怒り出しそうだけど。
ま、いいや。
今夜は、すき焼きでいい。
お母さん、明日明後日は、連休だ。黙っていてもカレーライスにしてくれるはず。
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