第31話 学園の問題

「面白いことに……バラバラなれど……望む声の一致というのも珍しい」


 学園を代表する生徒たちで構成された、魔法学園生徒会執行部。

 生徒会室の執務室に座りながら、書類を眺める一人の男子生徒。

 長い銀髪を靡かせて、銀縁眼鏡をかけた男は苦笑していた。


「副会長……例の……新入生のセブンライトくんのことですか?」


 執行部の一人の美しい黒髪ショートの女生徒も苦笑しながらそう尋ねると、副会長と呼ばれた男は執務椅子の背もたれに体を預けながら頷いた。



「ああ。学園に設置している目安箱……『平民に対する強い差別的な態度や発言を公衆の面前で行い、人間的にも大きな問題があると思われるセブンライト氏の処分が、決闘に対する説教だけではあまりにも軽い』、という意見と……『誇り高い貴族でありながらも大勢の者たちの前で平民に平伏すというあるまじき恥をかいたセブンライト氏を学園から除名すべし』……おそらくだけど、平民と貴族の生徒両方からの投稿だろうね……」


「生徒会長が設置した目安箱……貴族や平民分け隔てない忌憚のない意見を欲しいと設置したもの……無記名なのに投稿した人が貴族か平民かが分かるというのも呆れますが、こんなこと初めてですね」


「そうだね。セブンライト氏に更なる処分と、何だったら退学にしろ……か。こんな形で生徒たちの意見が一致するとは何とも皮肉」


「どうなるのでしょう? 本来、多額の寄付金をされている由緒正しい貴族の家系である彼にはそう簡単に処分は下せないでしょうが、この学園には彼よりも身分の高い家の生徒も多く、そして寄付金もまた……そんな生徒まで声を上げるとなると……」


「そうは言われても……私たちだって一生徒。教職員との会議で上げることはできても、処分の権限はないわけで……」



 彼らの話題のネタはセブンライトに関することであった。

 

「でも、どうします? 会長にこれを見せると、きっと怒るかと思いますが……」

「だろうね。とはいえ、これだけの意見を無視するのも、私たち学園生徒会執行部としての機能が批判されそうだし……やはり一度、この件の生徒のことを、我々の目で見たり、あと……彼のクラスメートからも話を聞いた方がよさそうだね。会長も不在だし、私が預かろう」


 そう言って、副会長の男は黒髪女生徒を手招きし……



「彼のクラスメートには、クルセイナ嬢もいる……彼女から話を聞きに行こう。ついでに、彼女には執行部に入ってもらわないとだしねぇ…………ほら、おいで」


「……はい♥ ちゅっ♥」



 話の流れの中で、黒髪女生徒は椅子に座っている副会長まで歩み寄り、腰を下ろして、そのまま副会長の唇にキスをした。

 そのままいやらしく互いの舌を絡め合い、濃厚さを増していく。



「ふふふふ、そう、ついに彼女がこの学園に入学してくれたのだ……あの強く凛々しく、そして真っすぐな心をもった美しい彼女が……」


「んちゅぶ♥ 副会長は、んちゅっ、クルセイナさんを狙っているんですかぁ?」


「狙っているなどと下品な言い方はやめてくれ。ただ、パーティーなどで以前から彼女に目を付け……気になっていた。私にふさわしい女性だと思っている。会長も彼女とは懇意だし、是非とも彼女にも執行部に入って、私の右腕になってもらわないとね」


「えへ、そんなこと言ってぇ、クルセイナさんも私のようにエッチなこともさせる気ですかぁ?」



 いやらしく微笑む黒髪女生徒のスパイナ。

 慣れた手つき、副会長の体に身を寄せて……


「何を言う、これはただのご褒美じゃないか。君だって私に抱かれて嬉しかろう?」

「ふふふ、どうですかねぇ♥」

「さぁ、今日はどんな下着を穿いているか、まずは見せてもらおうか?」

「あは♪ こんなことを部屋でやっているなんて、会長にバレたらどうするんですかねぇ?」


 スパイナは言われた通りに背中を向けながらスカートをたくし上げ、薄いグリーンの下着を見せる。副会長はスパイナの下着をマジマジと見つめ、ニコニコと笑みを見せる。


「ふ、ふふふ、もうすぐだ……クルセイナ……君を私のものにできる……あの美しい唇にキスをして、胸も尻も堪能し、存分に……そして、将来この私の……ふふふ、ふふふふふ! 早速、昼休みに会いに行こう!」


 歪んだ思いを抱いて、他の女を抱きながらクルセイナに対する卑猥な欲望が溢れ出る副会長。


「も~その前に~副会長は私を可愛がってくださいよ~♥」

「ふふふ、そうだな! この私のテクにかかれば、君同様にクルセイナも……ふふふふ、彼女を迎えて真に素晴らしい生徒会執行部を作ろうではないか! 安心したまえ、君もたまには抱いてあげるよ」

「わーい、うれしー…………………ちっ、へたくそのくせに……キモ」


 魔法学園生徒会執行部も一部歪んでいた。



 そして、副会長はそのクルセイナが既にどうなっているかをまだ知らない。







「ったく~、学園改革は、まずは執行部からだねぇ~。一番頭が痛いのは、会長である私だよ~」




 そして、副会長とスパイナが全く知らず、気づかぬところ、生徒会室の天井裏の秘密のスペースで、寝っ転がりながら一人の女がそう呟いていた。




――あとがき――

いつもお世話になっております。


本作の極めてガッツリエロ描写ありの上品版をノクターンノベルズにも投稿しておりますので、ご興味ありましたらどうぞ~



勉強不足な魔法蹴撃士~勉強しながら最強の足腰で♥イロイロ♥学園無双

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