第43話 お風呂で密着イチャイチャ
奥の部屋に案内されていく。
オフィスビルには違いなかったが、メイドと執事がいるとはな。
部屋に連れられ、扉の向こうへ行くと――そこには、広々としたリビングがあった。なにこれ、サッカーコートかな?
三メートル以上はあろうかというガラス窓。天井高すぎ。
「どうかな、遙くん」
「どうかなって、凄すぎて圧巻です。というか、人のゴミのようです」
思わず高笑いしそうになったけど
赤髪美人メイドさんが紅茶を淹れてくれた。なんて良い香りだ。って、このメイドさん、どこかで見たような顔をしているな。……赤髪?
まあいいか。
「パパ、こんなところに呼び出して何なの」
「よくぞ聞いてくれた遥。うむ、それなんだがね――遙くん」
いきなり視線を向けられ、俺は紅茶を噴きだしそうになる。なんだ、この
「は、はい……なんでしょう」
「君にね、大切な遥を任せるのはもちろん、我が社の一部経営を任せたい」
「……へ、経営?」
「そうだ。私はね、この前の爆弾事件での君の英雄的行動に心を動かされたんだ。この男になら、遥と会社を任せられるとね。だから頼む」
頭を下げられ、俺は妙な感情でこそばゆくなる。けど、相手の親から“お願い”されたんだ。なら俺は、全力で遥を幸せにする。
だが、経営って。
まさかコネで『ヤッホー』に入社できるのか? けど、それなそれで将来が安泰だ。出世コースも間違いない。
就職活動もしなくていいだろう。
それに、パパさんを頼りにする方が都合も何かといい。
けど、いろいろ懸念はある。
「あの~、俺に務まるんでしょうか」
「大丈夫さ。ヤッホーの関連会社を任せるつもりだ。かなり
すげえな、俺が方針を決めていいらしい。会社を作る願望はなかったけど、こんな形で任せられることになろうとはな。人生、何が起こるか分からないな。
「本当に遙くんに会社を?」
「安心しなさい、遥。彼は強い男だ。だから、遥も彼を支えてやってくれ」
「パパ……うん、分かった。遙くんと一緒にがんばるね」
「これからも二人で支え合っていくんだぞ」
ここまで言われてはがんばるしかない。パパさんの期待を裏切らないためにも全力で。
「ありがとうございます、パパさん」
「いいんだ、遙くん。でもね、まだ高校生活も長いし、大学にも入るならまだ先の話さ。これから、じっくり決めるといい」
「はいっ、二人で話し合って決めていこうと思います」
「良い返事だ。では、私はそろそろヘリで空港へ向かわねばならない」
立ち上がるパパさん。
ヘリで!?
「え、パパもう行っちゃうの?」
「ああ、これからドバイのパーティへ行かねばならない。世界中の金持ちが集まるんだがね。ビジネスでもあるから仕方ない」
「うん、気を付けてね」
手を振ってパパさんは、屋上へ向かった。どうやら、この最上階にヘリポートがあるようだ。なんでもアリだな。
* * *
今日は、別荘ビルで泊まることになった。こんな街全体を見渡せるホテルのような場所で住める日が来ようとは。
バスルームも展望台になっており、強化ガラスの先は神奈川を一望できた。江の島も見えそうな気がする。
そんな最高級のお風呂で、花柄
プールのようなジェットバスに浸かって優雅に過ごしていた。
「これは贅沢すぎるな」
「ここ、パパの趣味が全開だからね。もともとはラブホテルにするつもりだったみたい」
「マジかよ!」
「けどね、さすがにママから反対されちゃったみたい」
だろうな。だから、別荘にしたわけか。
ていうか、設備が尋常じゃなく整っているわけだな。
「にしても、最高の眺めだな」
「夜景、綺麗だね」
「……遥の方が綺麗だぞ」
「そ、それ反応に困るしっ。でも、嬉しい」
寄り添ってくれる遥。
俺も少しは勇気を振り絞って、遥の腰に手を
いっそ、このまま俺の股の中に……そうだ、もっと欲望のまま密着したい。
「遥、こっちへ来てくれるか」
「う、うん……いいけど、今日はちょっと
「触らない触らない。お腹はちょっと抱えるかもだけど」
「それくらいならいいよ」
遥は一度立ち上がって、俺の股の中へ。小さな背中が俺の胸の方へ寄り掛かってくる。……わぁ、こうしてみると小さいし、背中が真っ白で綺麗だ。
腰も砕けそうなほどに細く、腕を回すという行為に
彼女の腹部に両腕を通していく。
抱き寄せて密着。
「……細っ」
「そ、そうかな……普通だよ」
「そんなわけねぇ。まあ目視するだけでも相当ウエストが引き締まっているとは思ったけど、こうして腕を通すと改めて凄いな。モデルかよ」
「そう言ってくれると嬉しい。良かった、陸上部で」
そうか、普段よく走っているみたいだし、肉体が自然と
そうして、まったりとしたお風呂を過ごしていった。
……だが、
遥のスマホが鳴ったんだ。
「あれ、誰だろう。パパかな」
俺から離れ、スマホを取りに行く遥。四つん
「電話か?」
「うん――って、ママからだ!」
「へ……そうなのか」
「やば。しばらく連絡取ってなかったし、嫌な予感がする」
「おいおい、大丈夫かよ」
「とりあえず、電話に出てみるね。――もしもし、ママ?」
電話に出る遥は、ママと話し始めた。だが、直ぐに顔色を青くし、震えていた。……な、なんだ。何が起きた?
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