第3話余の顔を見忘れたかっ!
3人は割烹料理屋「千寿」吸い込まれた。カウンター席が5席、座敷席が2つある小さな飲み屋であり、3人と入れ違いで座敷席が空いた。明日が土曜日と言うこともあり、座敷席が空いたのはラッキーだった。
カウンター内には板前1人と女将、そしてバイトの女の子2人がてんてこ舞いであった。
「先生、いらっしゃい。こちらの女性は?」
と、トノ様に尋ねた。
「新しい先生だよ!小林先生」
「こんばんはー、初めまして小林先生。わたし、3年前旭高校を卒業して、この店継ぐ事を決めた丸目香です。アダ名あるんですか?」
小林は恥ずかしそうに、
「マドンナって呼ばれてるの」
「じゃ、マドンナ先生人気者なんだね」
ヒロ坊が、
「香、もういいから、生ビール3つだ!」
「はーい」
「香はね元剣道部でね。県大会で2位だったんだ」
トノ様はおしぼりを顔に乗せた。
アチッ!そして、くせ~
香が生ビールと付きだしの、枝豆を持ってきた。
では、3人はジョッキを持ち、
「かんぱ~い」
と、ジョッキをぶつけてごくごく喉を鳴らしてビールを飲んだ。
1時間も経つとトノ様は顔が真っ赤になった。後の2人は顔色が変わらない。
「マドンナ先生、飲んでる?毒吐きなよ!デトックス、デトックス!」
ヒロ坊はマドンナを煽る。
すると、
チッ!
と、舌打ちして
「あのハゲ、しつこいのよねぇ~」
「お、いいぞいいぞ」
トノ様も楽しんでる。
「自分はパソコン触れないくせに、「どう?コンピューターの調子は?」って言うんですよ!あの青シャツの野郎」
3人はまた、追加注文した。
「ハイボール2つと、芋のロックで」
マドンナは芋のロックを飲みながら、いい対処法が無いか?2人の先輩に考えてもらった。
そこで、トノ様はひらめいた!
「うちの学校に学校の出来事を新聞にしてばらまいたり、廊下に張り付けたりする【地獄新聞部】があるよな?適当に金渡して、セクハラの瞬間をネタにしてもらおう」
「トノ様、上手くいくかな?」
「まぁ、この僕に任せなさい」
「宜しくお願いします」
赤い顔のトノ様は、
「もう、一軒!」
2人はトノ様に付き合った。マドンナは旭高校に赴任してから、孤独を感じる事が多かったが、今夜は一際、楽しんでいた。
月曜日
マドンナは服に録音機を付けて、部活帰りから小テストの採点を始めた。
すると、案の定、青シャツが近付いてきた。
「小林先生、あなたは美しい。今夜くらい食事に行こうじゃないか?分かってるよね。私は教頭で君はいち教員なんだよ?」
青シャツの息は臭かった。歯槽膿漏だろうか?
青シャツはマドンナの肩に手を置いた。
パシャッ!
その行為をカメラで撮影したのは、地獄新聞部員だった。
「ふんっ、それくらい言い逃れできるからな!」
それは、翌日のショータイムには十分過ぎる材料があること気付いていないことをいみしていた。
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