第10話 後輩の事務所のCEOとイチャイチャする
「すまなかったね。突然、呼び出してしまって。こんなおじさんとドライブデートは嫌かな?」
「たしかに、そのセリフは、しずかから聞きたかったですよ」
「それは残念だね。なら、美味しいウィスキーでも
「……何が目的ですか?」
「ずいぶん警戒しているな」
「そりゃあそうでしょ。いきなり、車で
「そんな言い方はないだろ。あくまで、話し合いをしたいんだよ。平和的に……」
「みすずに……しずかにこれ以上近づくなってことですか?」
「ふふっ、キミは面白いことを言うね。たしかに、アイドル事務所ならそう言うかもしれないけどね」
「回りくどい話はなしにしましょう。わかってます。しずかにとっても、俺みたいな存在は邪魔になるかもしれない。彼女の人気を邪魔してしまうかもしれない。そんなことはわかっています。でも……」
「いいね。その若さ……嫌いじゃないよ」
「そうやって上から目線で……」
「詳しい話は、中でしよう。この近くに僕が大好きな和風カフェがあるんだ」
コインパーキングに車を止めると彼はすたすたと歩き始めた。しかたなく、俺はあとを追う。
※
「これ、本当にどんな状況だよ」
俺の目の前には、抹茶パフェと和紅茶のセットが運ばれてきた。
「おや、あんみつの方がよかった?」
「いや、そういうことじゃなくてさ」
「とりあえず、パフェを食べてから話そう。アイスが溶ける前にね」
しかたなく俺は抹茶パフェを一口食べた。なんだよ、これ……めちゃくちゃ旨い。高い抹茶のアイスに、もちもちの白玉、甘すぎない黒蜜。上品すぎるデザートだ。夢中になって、俺は食べ続けてしまった。
「いいねぇ、若さがあふれている。見ているだけで飽きないな」
「なんですか、口説いているんですか。気持ち悪い」
「結論から話すよ。僕は、君としずか君のことをとやかく言うつもりはない。むしろ、彼女を君が支えて欲しいと思っている」
「なっ!?」
思わず驚いてしまう。普通は、男女トラブルなんて事務所は一番避けて欲しいことのはずだ。
「うちは特にアイドル売りはしていないからね。もし、キミたちの関係がばれたとしても、多少波風は起きるかもしれないが、すぐに収束できると踏んでいる」
「……」
「そして、キミと組み合わさって、メンタルが安定し、高いモチベーションを維持できるなら……有栖川みすずは、業界の
社員数3名から業界3位に躍進した希代の革命児は、怪しい笑みを浮かべた。
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