最強集結編—悪虐の始皇帝VS機械軍の王1
————惚けてる場合か間抜けめ。
エクスを罵りながら、殴りかかるエンド。反応できずに棒立ちしていたため、確実に当たる——という確信はあったがそれは叶わなかった。
二人の間に割り込んだ乱入者がいたからだ。
いや、それを乱入者と呼べるのかは定かではない。
天井から床へと突き刺さっている一本の柱のようなそれは、一瞬正体不明の何かが偶然落ちてきた物だと思ったが——蛇のような動きを確認して今の考えを否定した。
そして、きづく。
————尻尾? これは……竜、か? まったく……今求めているのはオマエではないのだがな。
「喜べ、ワタシと同じ者よ。……これを使うのはキサマが初めてだ」
「こんな木偶竜で何ができるのか見ものだな」
と、言ったものの。エンドの拳を受け止めたのは確かだ。未だ尻尾しか姿は見えぬが、只者ではない。
「全力で叩き潰せ、
その言を聞いてか、遂に
敵は一匹ではなく、一人と大軍。リィルは問題なくても気を失っているマインは危険になろう。あまり強い魔法を使えば彼女の身体に尋常ではない負担がかかる。今の状態では特にそうだ。
「チッ!」
強靭な爪が振り下ろされ、一旦退くとリィルが口を開いた。
「こんな狭い部屋であのデカブツを暴れさせるなんてバカじゃないの!?」
「敵に怒っても無駄だろう」
しかし、その気持ちは分からなくはない。特にあの三頭竜は薄気味悪い。見ているだけで苛立ってくるほどに。
しかしそのような理由を話したところで相手は引き下がらないどころか、きっと顔面が喜色に染まってしまうはずだ。そんな屈辱を味わえばエンドの名が傷ついてしまう。
————まあいい。廃棄物が一つ増えただけだ。
どうせ、エクスだけでは物足りない。
「今度は竜の真似事か?」
まるで、本物の
通常なら適当な魔法で壁を作るか迎え撃つのだが……。マインに悪影響を与える可能性は少しでも排除しておきたい。
————まったく、仕方のない。この程度の木偶の竜にオレの真髄を披露しなければならないとは……。
次の瞬間、エンドの数歩先の床に複雑な文字——
「なに、これ?」
リィルが言葉を詰まらせながら聞いてきた。あまり愉快なものではないが、どうやら彼女にとっては相当不快らしい。
最もそれはエンドとて同じであったが。
「羅生門——大昔に神々が悪ふざけで力を与えたふざけた代物だ」
彼が召喚したのは、険しい鬼の顔が睨みを効かせる忌物でる。両側に付いているため、目に入ったリィルは少し怯えていた。
「ってそれよりも大丈夫なの、こんなので!?」
「黙って見ていろ役立たず」
「ぐぬっ!?」
不快な
だからこそ、己が
刹那——
しかし……
「嘘……!」
その一切合切は羅生門の特異によって塞がれる。彼らの方には熱気の欠片すらも来ていなかった。
やがて
その際にマインを置いて急ぐ。
「今度は三人で遊ぼうではないか!」
ニィ! と邪悪に笑いながらエクスと
「なッ!? キサマ……正気か!?」
「それ以外にどう見える?」
外へと投げ出されたエクスは鋼の翼で飛行する
すぐに戦場を変えるべきだな、と一人で思考して、疑問を問いかけられた。
「あの騎士を置いたのは間違いだな。
「ふんっ。くだらん事をほざく。あそこには羅生門を置いてきた。アレにはオレが死なぬ限り対象を守り続けるよう命令を出したのでな」
——問題はない。
そう付け加えるとエクスが更に疑問を呈した。
「……わからぬ。なぜ初めからその力を——」
「隠したかっただけだ。心底不本意だが、あの女とは今しばらく共にいる必要が出てきたのでな。どの道バレるだろう」
言葉とは裏腹に何処か楽しみを待ちきれない子供のような表情を浮かべているエンドはそれより、と話を変えた。
「……?」
露骨な路線変更を不審に思いながらエクスが首を傾げる。
——下、来てるぞ。炎の龍が。
「————ッいつの間に!」
途端。
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