現鬼神—万物の異世界に住まう最強よ、今ここに集え—

砂糖しゅん

第一章 最強集結編

プロローグ——娯楽に飢えた神々——


 神々は娯楽に飢えている。

 数えるのも億劫になる時を生き続ける彼らはいつの日か娯楽を探し求めていた。

 しかし——何億年を費やそうとも娯楽は見つからない。神同士の談笑も、殺し合いも、湧き上がる熱は久遠に身を置く神にとっては一瞬の出来事。


 ある時、とある神が疑問に思った。


『下界の最強は誰か?』


 そんな突拍子もない疑問は瞬く間に神々に知れ渡った。「悪虐の始皇帝だ!」と挙げる有名神を筆頭にまた別の神が「いいや、神滅竜だろ!」と声高らかに叫ぶ。

 何時間と経過し——むろん満場一致になるはずもなく、ついには神が神器を手に睨み合った頃。長い髭を片手で撫でる老神がほくそ笑んだ。


「誰が真の最強か? そんなものいくら話し合ってもわからんじゃろう?」


 そのまま老神——ゼウスは続ける。


「なれば実際に殺し合わせやりあわせるほかないと思わんか?」


 はっと息を呑む神々が恐怖に似た謎の寒気に襲われた。

 つまりこれは——未知だ。人間の何兆倍以上も生きる神々ですら知り得ない未知である。


 その後ゼウスは意気揚々とその計画を語り始めた。



 幾つも存在する世界に名を轟かせる“最強”をたった一つの世界、宇宙最大星アダマスにかき集めて殺しあわせる。そして真の最強の座に返り咲いた者には己が望みを叶える機会を設ける、と。

 単純明快な内容に、これで暇を潰せるなどと考える娯楽に飢えた者神々は狂喜乱舞だ。


 

「よっしゃ! 皆んな今すぐアダマスに最強つわものを集めろぉ!」

「おぉ!」「やるぞぉ!」


 こうして神々の好奇心からたった一つの星で史上最大の闘争が始まろうとしていた。

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