先輩(女)は今日も無自覚

猫のストーカー

第1話 ストレス発散にはこれが1番

「あぁぁぁ、勉強のストレスでおかしくなりそう」


2人しか居ない写真部の部室で俺が机に突っ伏しながら唸る。


「そう?勉強は楽しい」

「どこがですか…」


先輩が、漫画を読みながらそう言う。


「問題が解けた時の爽快感は堪らないとは思わない?」


「全然、これっぽっちも。第1、なんで将来絶対に使わないであろう事をやらされるんですか」


「さぁ、そんな事私に聞かないで」


「あぁ!もうこんな日本俺が変えてやる!」


「そう、なら勉強をしないと」


「日本は今のままでいいと思います」


勉強なんてしてやるか!絶対にやんないからな!


「はぁぁぁ、このストレスを何で発散しよう」

「ゲーム、スポーツ、カラオケとか今は色々ある」

「ゲーム下手、運動音痴、音痴なので全然発散出来ないですね、はい」


全て下手って、俺って生きてる価値あるのか?


「あぁ、死にたい」


「……そう、ならハグをしましょう」


「え?」


「知ってる?ハグにはストレス解消効果があるの。ほら」


そう言って先輩が腕を広げる。それにより、布が引っ張られ、先輩の育つところは育ち、締まるところは締まっている体が強調される。


「いやいやいや、何言ってるんですか」


「早く立って、部長命令」


「いや、でも」


「早く」


そう言われ、渋々座っていたパイプ椅子から立ち上がる。

それと同時に、先輩に包み込まれる。


先輩の体は綿雲のようにふわふわしていて柔らかかった。

先輩の嗅いでいて心地の良い匂いが鼻腔に広がる。

……辞めよう変態みたいだ。


「どう?解消できた?」


先輩が俺の耳元でそう言う。


「解消出来たかは分かりませんけど、まだ生きていてもいい気がしてきました」


「そう、なら良かった」


先輩は、今日も無自覚に俺の心を動かす。

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