第5話 魔法訓練……?

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 部屋に入った私は早速魔法の訓練をすることにします。

 しかし、どうしたらいいのでしょう。ギルドでリオラさんに聞いておくべきでしたね。

 そういえば、リオラさんがギルドカードの登録を行う時、魔力を動かしているのが見えましたね。………<魔力視>ですか。やってみましょう。


 まずは自分のに纏っている魔力を見てみます。特に何も見えません。

 ……思い返せば、他の人のも見えませんでしたね。よく考えたら使いこなせるまでは放出されているものしか見えないだろうとか、言われたような覚えもあります。ということは体の内側から引き出すのでしょう。


 リオラさんの魔力の動きを思い出します。確かあの時は、そう心臓のあたりからでしたね。その辺りを意識してみます。

 もちろん坐禅を組んで。当然でしょう? 雰囲気は大事です。


 …………おや? なにか不思議な感覚がしますね。心臓の少し下に暖かいものを感じます。これでしょうか?

 とりあえず、それを動かしてみます。


 ……むっ、難しいですね。なかなか動きません。


 血管を通って血のように全身を巡るよう意識します。


 ……あ、動いた。

 一度動けば簡単です。ゆっくりかつ、少量ですが、たしかに全身を巡っています。


 ………いいですね、これ。だんだん動かしやすくなって来ました。量も増えてます。




………

……




 女の子がお風呂に呼びに来て、やっと気付きました。もう外は夕暮れです。

 結構長くやってましたね。…いや、なんかハマってしまって。

 そんなだから【寂しい人】呼ばわりされる?

余計なお世話です。ちゃんと成長したからいいんです。

 魔力、目を瞑っていたせいで〈魔力視〉での確認を忘れていましたが、おそらく魔力、を流す速さは2倍ほど、量はなんと3倍ほどに増えたんですよ!

 しかしこんな簡単に増えるものでしょうか? と思ったらアイツでした。

【寂しい人】は一人寂しく行う事に補正がかかるそうです。

 ……何故でしょう。成長が嬉しくなくなりました。


 ひとまずお風呂行きましょうか。



◆◇◆


 お風呂は思ったほど広くありませんね。頑張って三人同時といったところです。

 まあ問題ありません。一人ですからね。寂しくありませんよ。ええ。


 ……服を脱がなければですよね。これは仕方ないことです。自分の裸ですから、問題ありませんよね?

 ……うん、よし、えい!


 ――そこには真っ白な二つの果実がたわわと実っていました。特別何かを感じたわけではないです。ただ、なんとなく、私の手には到底収まらないそれを、揉んでしまいます。


「んっ」


 思わず漏らした声は艶っぽく、背徳感を感じてしまいました。


 …………ダメ! これ以上はいけません! さぁ入りますよ! ……ツルツルですね。


「ではなく!」


 深呼吸です。すーはー。よし、落ち着きました。なんでこんな情緒不安定なんですか私……。こんな感じじゃなかったはずなのですが。まあ、まだテンパっているだけですよね。急に異世界転生なんてしちゃったんですから。


 さあ、入りましょうか。


 しかし、異世界でこんなに早くお風呂に入れると思ってませんでした。ラノベ読んでてもそうですからね。

 お、石鹸です。でも質は悪そうですね。全然泡立ちませんし、匂いも微妙です。

 これは研究が必要ですね。脂肪酸を塩基でけん化するんでしたか。植物油と、なにか塩基性(アルカリ性)のものを探さないといけませんね。


 ふぅ、いいお湯です。明日は講習ですし、しっかり疲れをとれそうで良かったです。



◆◇◆

 お風呂から上がると、もう夕食が出来上がっていました。他の人はまだ帰って来ていないようですから混む前に食べましょう。


 出てきたのは何かの肉のステーキに白パン、野菜のスープです。これはリオラさんに感謝ですね。これが銅貨五枚で食べられるとは。非常に美味です。これは聞かねばなりません。


「すみません、これはなんの肉ですか?」

「ん?ああ、オークだよ」


 出ました! ファンタジー定番のオーク肉です!

 しかし、なおさら銅貨五枚で食べられるとは思えませんね。


「安くないですか?」

「旦那が昼間狩って帰ったやつだからね。問題ないよ。あの人がしたくてやってることさ」


 聞けば、旦那さんは宿屋と冒険者の二足のわらじを履いているらしいです。

 さらに料理も旦那さん作。まあおかみさんも綺麗な人ですし、いい人っぽいのでそんな人と結婚しててもおかしくないかもですね。


 んー、直接感想を言いたいですね。

 そう言ったら呼んできてくれました。くれたんですが……クマ?

 いえ、わかってます。人間です。

 豆みたいな手合わせ錬成の錬金術師さん(っ!?寒気?)の師匠の旦那さんだって人間ですから。

 きっと親戚なんでしょう。


 オークを狩ってくるって言いますからある程度は予想してましたが、これほどですか…。

 ん? クマ耳? クマ耳!

 よく見れば旦那さんクマの獣人ですね。おかみさんは人間らしく、メルちゃんはおかみさんの血が濃く出たようですね。良かったです。いや本当に。……クマ耳も捨て難かったか?


 ちなみに、最初案内してくれた子がメルちゃんですね。呼びに来てくれた時に聞きました。

 後で聞いたところ、おかみさんはレイラさん、旦那さんはベアルさんというそうです。 次からそう呼びましょう。……ベアのベアル、いえ、なんでもありません。忘れてください。やはり今の私はおかしいです。



◆◇◆

 夕食を終え、部屋に戻ったら魔法訓練再開です。

 まずあれが本当に魔力かを確認しなければなりません。


 魔力を手の方に集め、放出します。……うん、たしかに<魔力視>が反応しました。魔力で確定ですね。

 魔力は個人か、種族かはわかりませんが、人によって色が異なるようです。リオラさんの魔力はエメラルドグリーンでしたが、私のは白銀ですね。ときどき白金が混じるのは<神聖属性適正>があるからでしょうか?

 まあ今はいいでしょう。魔力の形をいじってみます。


 ……ふむ、やはり目に見えるのはいいですね。動きがよくわかります。目に見えるのでイメージもしやすいです。ボールのようにして体の周りをまわしてみたり、ボールを犬にしてみたり。鳥も作ってみました。これは、やばいですね。完全にハマりました。


 ……気がつけば同時に操れる魔力量が増えていました。一部をボールにしてとばし、残りを犬型に変えて取って来させる、なんて遊びをしたところで――寂しい人じゃありませんからね?――寝ることにします。


 今日は疲れましたね。明日の講習が楽しみです。


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