第10話


入院した娘に付き添い、病院内のコンビニに

行った。当たり前なのかもしれないが

通常のコンビニにはない入院グッズや

絵本やちょっとしたおもちゃが多めの

コンビニだった。

車椅子も通れる広々した通路には

車椅子目線?子ども目線の位置に

かわいいキャラクターや

お菓子がずらりと並んでいた。

私が付き添い出来ない時間帯用にと

飲み物やゼリー系、かわいいノート

懸賞付きクロスワードなど

選んで購入した。

「うわぁ。お母さんごめんね。

ありがとう。こんな贅沢して

お母さん大丈夫?」

「大丈夫じゃないから、早く

病原菌やっつけよう。このヨーグル菌で

やっつけてくれないかなぁ。」

「ハハッお母さん、そんなんで治ったら

ヨーグルの会社大もうけだよ。」

退院は未定で、しばらく検査と治療が

続いていた。

入学してから数分後に倒れた日から

娘の腕はやせ細り点滴の管が

外されることは無かった。

梅雨に入りジメジメした日が

続いたが、私は仕事を終えたあと

面会時間ギリギリまで病院に

通い続けた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

4月○日


病室暑いよー。

半袖が欲しい。

でも、やっぱ長袖でいいや。

点滴漏れて、右手の手首と関節

青むらさきだわ。

刑事ドラマで出てくるヤバイ薬してる人の

腕ってこんな感じだったかも。

あはは、笑おう。

私は元気。

この青紫、何かの花の形ににてるかも。

スミレ、パンジー、青むらさきのお花

あと何があったかな?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

4月○日


毎日日記書こうとしたけど、日記

1日で終わってしまった。

ポエムでも書こうかな?

でもポエムだと、痛いとかしんどいとか

グチポエムになってしまいそう。

日記も、グチっぽくなっているわ。

もうすぐ4月終わっちゃうよ。

日付けごまかすにしても……。

あっ、ダメだめダメ

ごまかすのは、良くない。

日記、1週間に一回どころか

月に一回になってる。

せっかくのかわいいノートだから

色々書こうと思ったけど、なんだか

手が痺れて文字もガタガタだあ。

字がきたない。

このノート何年ものだろう、長持ちだわ。

ゲルインクのボールペン、前より

書きやすくなったはずなのに

あく力もなくなったのかなぁ。

か弱い私だわ。

気は強いって思ってるけど、強がり?

わがままのようでなんだかねー。

か弱い自分、弱さをみとめてる自分、

弱さをみとめながら、今の私は

何ができるだろう?

へいへいぼんぼん、

ちょっと珍しい病気にかかった自分。

いっしゅんイッシュンの私

今、生きてる事に感謝。

か弱いわたしだけれど、

お母さんや、色々であえたことに

感謝します。

ありがとう、私は生きてます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一時帰宅と入院を繰り返し中学には

ほぼ通えなかった。

新年会で当たったゲーム機を職場から

頂いた。娘は喜び、ゲームソフトは

何があるか調べた。

同じ病室の子は、携帯を持っていたのか

一緒に調べてくれたみたいだった。

同室の子も、同じゲーム機を持っていたそうで

家の人にソフトと一緒に

持ってきてもらったそうだ。

いくつかのソフトを貸してもらい

やっと遊べたこころは、かなり

喜んでいた。


落ちゲーと呼ばれる有名なテトリ○、

ぷよぷ○は、しびれたうでや指には

かなりつらかったらしく、くやしがっていた。

リクエストされたゲームソフト、

農場のゲームや恋愛シュミレーシなど、

中古のゲームショップで買ってくると

同室の子とワイワイしながら

楽しそうに遊んでいた。

学校以外や幼馴染いがいで出来た

初めてのお友達だった。

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