彼女がドSすぎるから振ったら病んだ…。そしたらドMな後輩のご主人様になったんだが

いくら

第1話 ドS…

 ある少年が高校に向かって歩いていた。目が鋭く地毛の白髪でドS顔が似合う不良だと思われがちなこの少年、宮本ソウマは外見からは考えられないことを考えていた。


 今日は記念すべき高校入学式。彼が入った高校は私立山吹高校である、そして彼の隣を歩くのは黒髪ロングの幼馴染の篠田ヒナが歩いている。彼女は誰もが認める美少女、そして誰の告白にも答えたことがない。


 ヒナはみんなに優しいので勘違いをして撃沈していった被害者が大体だ。


 そしてこのヒナこそがソウマの意中の相手だった。そして、今日の入学式が終わったら告白するぞーと意気込んでいるのである。



―――――



 そんなこんなでソウマはヒナに告白し、そしてヒナはそれを受け入れた。ヒナ自身ソウマのことが好きだったのでよかった。


 これで。彼女彼らは幸せに暮らす…なんてことは起きずヒナが自分の本性を現し始めた…彼女はとんでもないドSだった。


 ヒナはソウマを搾取し、搾取し続け、やがてソウマの心はヒナから離れていった。ソウマがドMだったらよかったのだが、ソウマ自身Sだったので余計につらかったのだ。


「ねぇ、ソウマ。ジュース買ってきなさい」


 いつものようにヒナがソウマをパシリに使おうとする。


「…なぁヒナ」

「なぁーに?」

「…俺たち別れようか」

「ん?今なんて?」

「別れよう」


 ソウマはきっぱり言った。するとヒナの表情がだんだんと曇っていき絶望したような表情になった。


 ソウマ自身少しは何か感じるものがあると思っていたが何も感じなかった、ただただヒナから離れられる!とうれしかった。


「は?なんで!?」

「もう、飽きた」


 これは嘘だ。本当は彼女からの仕打ちが耐えられず別れを告げたが今のソウマはどうやったらもっとヒナを傷つけ、絶望させられるかというものにシフトしていた。


「……」

「ん?聞こえなかったか?飽きた、といったんだ。他にいじめる相手見つけてお幸せにな」

「…嘘よ、嘘よ、嘘よ、嘘よ…」


 そしてソウマはヒナに背を向け歩いて行った。


 なにやらぶつぶつとつぶやいていたがソウマの耳には届かなかった。彼は今までに感じたことのない高揚感を感じていた。ソウマにとってヒナの絶望しきった顔、困惑した顔は見ていてたまらなかったらしい。


「あは、あはははは」


 笑わずにはいられなかった。彼女の「私とは本気じゃなかったの?」みたいな顔がソウマにとってはツボだったのだ。


 この瞬間ソウマは自分がドSということに気づいた。


 不敵な笑みを浮かべながら去っていくソウマはとてつもなく様になっていた。


 現在ソウマは高校2年生。彼はヒナからのいじめに1年間耐え続けたのである。それが爆発したのが今。


 ちなみに今、ヒナを振ったのは昼休み中、彼はそのドS顔のせいで友達は一人もいない、なのでヒナを振ったら、ボッチになってしまう。


 だがそんなことはソウマは気にしない。彼の興奮はまだまだ収まっていなかった。校舎の端に座りさっきの映像を頭に流し続け感傷に浸りながら、彼の顔はいつも以上に凶悪なものになっていた。


 偶然ある女子生徒たちが彼と目が合ってしまった。


 高校1年生の後輩の学校の美少女の1人、矢野アオイとその取り巻きの2人である。


「あ?」

「「ひっ」」


 元々ソウマは声が低いのでソウマが睨むような形になっていたが彼にそんな気はなかった。


 睨まれたと勘違いした女子たちは走り去っていたがそのうちの1人はなぜか顔を赤くし、息を少し荒くしていた。


 そしてそれを見守る視線が1つあった…


「ふふふ、ソウマがわたしのことを振るわけないもんね……ふふふ」



 

 


 

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