第63話 そのアクの強さが輝く時
部屋に戻るとマリスがいた、ジグラードの部屋は高級ホテルの内装を更に豪華にしたような作りだから困る事はなかったと思われる。
冷蔵庫を開けたのか高そうな木製のイスに腰掛けてテーブルには小腹を満たすためのお菓子が並んでいた。我が師匠ながら中々に肝の据わった態度である。
あっマリスがこちらに気づいた。
「アーク!戻ってきたか、それでどうなったんだ?」
「…………」
その背後にお菓子を隠すように立ち上がるマリス、シリアスな雰囲気を出せば出すほどに何だコイツって思う私だ。
私もそうだがマリスもいい性格をしてますな全く……まっあの女王様と戦ったのはデュモスだけなので私は何か言える立場じゃないけど。
「マリスさん、特に問題はありませんでしたよ」
「そっそれはつまり…」
「はいっデュモスさんがちゃんと仕事をしてくれました、お陰であのホルセシアを問題なく倒せましたよ」
私はマリスに女王ホルセシアとの戦いを話した、しかし本来は向かった先で既に勝負は決していたしホルセシアはミリアを名乗っていたミリステアに持って行かれたんだけど、その辺りは一切話すつもりはない。
少なくとも今後ミリステアやその背後のイングラム帝国との暇つぶしに彼女を巻き込むつもりはないからだ。
そして話しを進める、取り敢えずデュモスは女王様との戦いで深手を負ってミーネにドラゴニアの病院的な施設に運ばれたという事にした。
何しろデュモスが元は好き勝手に暴れまくっていたモンスターである、流石にマリスと知り合いになられても困るじゃないの。
「大丈夫なのか?あの炎の魔人は…」
「ええっ私も魔法で応急措置はしましたし、まず命に別状はありませんよ」
……なんで、殆ど無傷のデュモスが深手を負った事になっているのか?。
それは私の話の中ではデュモスがゲームというとこのタンクキャラ、そしてミーネと私が遠距離からアタッカーとして戦ったという事になっているからだ。
そうっ私とミーネも戦闘に参加していた事にしたのだ。
───これが私が考えた作戦である。
「デュモスさんは前衛でホルセシアのブレス攻撃を退け、あの竜の王族と……私がヤツを攻撃しました」
「…あの化け物に攻撃が通用したのか?」
「竜の、それも王族の力を舐めてはいけませんよ。ホルセシアがどれだけの黄金像を盾にしようと意味はありません、なにより元は人間だからと手加減をするような方ではありませんしね」
「たっ確かにな。まさか竜の王族が知り合いと言うのも驚いたぞ、しかも土下…」
「アレは彼女なりのジョークですよ、ジョーク」
本当に余計なことをペラペラと喋ってくれたよあのドラプリは、しかしデュモスを連れていってくれた事は素直にグッジョブ。
お陰で私は心置きなくあの作戦を実行出来る。
そうっその作戦とは……。
「そして……最後に私の魔法でトドメを刺してあの恐るべき怪物を葬ったのです」
クッククククッ私は最後のトドメは自分が刺したって事にしたよ。
デュモス君の手柄、オールスティールである。
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