🌖理想の併存関係
創作の場において、ワラシは自身の性別や年齢、家族構成、立場、境遇などについて言及したことがない。これまで一度も。
いや、Twitter上では「小学5年生くらいですよ」と軽くふざけておいたことはある。それは本当にそのくらいの年頃までの感性を一生失わずにいたい、という気持ちの表れであるから赦してほしい。
何故、自分に関する情報を伏せているかというと、似たような境遇、近しい立場から生まれる親近感を排して、作品そのものを眺め感じて欲しいからに他ならない。
あえて謎めかしておくことで、想像の地平線をより遠くへ遠くへ引き延ばしておきたいのだ。
自作小説において、書き手としてはできるだけ無味無臭の影の存在となるよう心がけているつもりだが、もちろん各々が自由奔放に想像してくれて構わない。
既にある程度ワラシに関する人物像を適当に形作って接してくれている方もいるだろう。それこそ、この文字によるやり取りの妙であり、ワラシが求めんとするところである。
ちなみに、ワラシは自身の趣味嗜好を小説に込めることはしない。
もちろん誰もがそうであるように、自分の知識や経験、興味本位を出発点にして調べ拡張し、それを炒めて塩を振ったりしながら
なんでもそんなものだろうが、詳しくなればそれなりに好意を抱く。
けれどワラシの小説は、ワラシの感性の表出であったとしても、好みや人と
琥珀や蒼翠といったキャラクターが登場することがあっても、それらはワラシの分身ではなく、撹乱するための罠である。
とはいえ、あれだけ多くの狸が出没しているのだから、このワラシの領域に踏み込む際は騙されないよう、気をつけておられる方が殆どだろうけれど。
作品を通してワラシを知って欲しいのではない。
興味関心の種から芽吹いたものをこっそりとお見せしたいのだ。「内緒ですよ」というおそらくは内緒にならないことを期待した呪文を添えて。
珍しいドングリを見つけたからご覧なさい、どんな樹になるや、気にはなりませんか。ええ? 水をやってくれるのですか。そんなそんな、腐葉土まで下さって。そうなんです、昨日双葉が開きまして。ああ確かに、そろそろ添え木が必要ですね。
そんな風に対象物を共に観察して、ワラシの側からは見えていない部分を見つけてくれたら本望なのだ。
ほお、そうですか。そちらからは緑に見えますか。成程ナルホド。ええ、こちらからだと少し黄色い。不思議なもんですなぁ。
こんな風に、互いの視点や感性が、ごく自然に
*
このように書いたからといって、自身の情報を出し惜しみせず活動している方や、キャラクターに自己を投影したり、「好き」という気持ちを昇華した作品を否定するわけではない。
むしろ読み手としては、その堂々たる骨格をもった作風に憧れる。
などと、こんな奥地まで来られる方に向かって、わざわざ説明する必要などないことは解っているつもりだ。
これはあくまでワラシ自身の問題で、創作の場における立ち方の話である。ちなみにワラシが二足歩行する生き物であるということだけは言っておこう。
そしてこのエッセイは、ワラシが生き物であるということを知らしめるために存在する。ここでなら、好きも嫌いも、ざっくばらんに語ることがあるかもしれない。
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